1. YNU
  2. 大学案内
  3. 学長
  4. 学長メッセージ(平成24年度入学式式辞)

学長メッセージ

平成24年度入学式式辞

 横浜国立大学へのご入学・ご進学おめでとうございます。本日この佳き日に、若き情熱に満ち溢れる多くの新入生をお迎えし、平成24年度横浜国立大学入学式を挙行できますことは、全ての構成員の大きな慶びとするところであります。教職員、卒業生、在校生を代表して、心から歓迎いたします。また、これまで皆さんを育て、温かく見守ってこられたご列席のご家族ならびに関係者の方々にも、お祝い申し上げます。今後とも温かく、励まして下さいますよう、お願い申し上げます。

   今年四月に入学される皆さんは、学部、大学院の合計2,833名です。その中には、アジアをはじめとする23カ国からの留学生222名が含まれています。

 皆さんが学生生活をおくる横浜は、153年前、1859年に安政の開国によって国際貿易港を開港しました。明治、大正、昭和を経、平成に入ってからも、近代文化の入り口として活気にあふれ、そして日本から海外へ常に先進的に発信をしてきました。横浜国立大学の前身である教員養成所が神奈川県下に設置されたのは、開港から十五年後の明治7年・1874年です。その後、神奈川師範学校、横浜経済専門学校、横浜工業専門学校など大学の前身となる学校が、神奈川・横浜の地で創設されています。1949年、横浜国立大学は、前身校を統合した神奈川県に基盤を置く国立新制大学・総合大学となりました。そして、昨年4月、理工学部、大学院都市イノベーション学府、教育人間科学部人間文化課程を開設しました。開学当時の3学部から、現在では4学部と5大学院からなる大学へと発展しています。本日ここにお迎えした皆さんが、歴史と伝統を踏まえて、更なる飛躍に向けて活力を与えてくれるものと期待しています。

 横浜国立大学は、国際都市・横浜に生まれ育った高等教育機関として、実践性・先進性・開放性・国際性を精神とする教育と研究により、これまで各界のリーダーとして活躍する多くの人材・社会の中枢となる人材を育成しており、社会基盤を支える研究成果の発信で社会に貢献しています。本学は、横浜から世界に、地域社会の持続的進化のためのパラダイムで、卓越した「実践的学術の国際拠点」をめざしています。

 本学が掲げている四つの基本精神についてお話しします。実践性は、諸問題の本質を見極め、時代の変化にも対応できる精神であります。先進性は常に前向きにとらえ、新しい試みに意欲的に取り組むチャレンジ精神、開放性は社会とともに歩み、公正さを大切にする精神、国際性はグローバルな視点とコミュニケーションの精神であります。これらは、人間のあり方、つまり倫理に沿ったものであり、文明開化と高度産業の地である横浜で大きく育った精神でもあります。皆さんは、東日本大震災の余韻が残る日々ではありますが、学びの中で、横浜で学ぶことの意味を考え、本学の四つの基本精神を思い起こすことで、学びの羅針盤としてください。

 皆さんの多くは、生まれ育った土地を離れ、この神奈川・横浜で新たな学びに挑戦することになります。未知の出来事、出会い、感激の体験、そして真理を探究する大学での学びの中で、自分の世界に閉じこもることなく、コミュニケーションを重ねることは、自己理解を深めることができ、キャリア形成にはとても大切なことです。学びの中で、皆さんに身につけていただきたいのは、自らが資質を向上させ、社会的及び職業的自立を図ることができる能力であります。コミュニティ、社会や時代を認識した学びによって、グローバル化した知識基盤社会で通用する実践的な力を養うことができます。

 大学での学びは、専門的知識の習得が大切であると同時に、「学びの手法」を身につけることも大切です。学びの手法は、自らの強い意志で調べ、体験し、感じ、考え、そして実践することを繰り返すことによって、初めて身につけることができます。自ら学ぶという姿勢・積極性が求められているともいえます。

 さて、皆さんもご存じのダライラマ十四世は、「人間には耳が二つ、口が一つ与えられたことの理由がある」と言っています。話すよりも聞く、話したがるよりも聞く心構え、聞いてあげるという生き方の道を諭しています。「聞く」という技は実に多種多様です。教室で、なんとなく聞いていたために、頭にまったく残らなかった経験も少なくないと思います。また、音楽を楽しむという聴き方もあります。ダライラマ十四世は、「聞き流すに意思を入れる、すなわち身を入れて聴くことによって培われる洞察力や知識は永遠の宝である」としています。聴くことに理解するという体系的な思考を加えることで、自らの「知」として身につけることができるということでもあります。大学で身につけてほしい教養のひとつです。

   知識基盤社会とは、あらゆる領域で、新しい知、理解、情報や技術が卓越する動的な社会のことです。基礎的な知識に裏付けされた高度な専門知識・理解に加えて、柔軟・広範で倫理性の高い判断力が必要となります。しかしながら、専門家と言われる人々は、細分化された専門分野には高度な知識と技能を持っているが、専門以外は素人にすぎないことが多いです。また、現実の社会では、スペシャリストと言われる専門家の知識・技術だけでは解決できない問題で溢れています。社会が必要としているプロフェッショナルとは、個々の専門性に加えて他の専門性を理解し、協働ができる複眼の視点あるいは俯瞰性であります。物事を異なる視点・複眼で見るためには、日頃から自分の関心事を広げておき、なじみや接点のない思考・表現にも触れるという積極性が必要となります。

 二十一世紀は、皆さんが推進役であります。専門以外のことも理解できるプロフェッショナルを目指してください。社会の担い手として、自らの目標に道が開けた時には、限りない喜びを感じます。

 次に、皆さん方は、本学の国際性を活かして、横浜から世界に向けた視点と知識を身につけていただきたい。本学には、世界各地から約九百名の留学生が学んでおります。また、海外からの教員、研究者も多くおります。在学中に海外に短期長期で留学をしたり、海外をフィールドとして研究をする学生も多くいます。教育カリキュラムとして、英語など外国語による教育プログラムも開設されています。横浜の地の利からも、皆さんが参加できる国際性を醸成させる教育研究プログラムや機会が広がってきています。 留学生の皆さんは、異なる言語、文化、習慣のもとでの大学生活となりますが、皆さんの情熱と多文化理解の精神を十分に発揮され、一日でも早く、勉学そして生活が軌道にのることを願っております。

   最後に、無限の可能性を秘めた皆さんにとって、今日から始まる学生生活が良き教師、良き友、そして良き本との出会いの場となり、人生の節目節目で必要となる豊かな科学的知識、倫理性の高い洞察力を身につけていただくことを祈念しまして、式辞を結びます。


平成24年4月5日
国立大学法人 横浜国立大学長

鈴木邦雄

ページの先頭へ

トップページへ

ページの先頭へ