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入学式&卒業式式辞

平成28年度秋季入学式 式辞

 残暑も和らぎ秋の気配を感じるここ横浜の地において、新入生の皆さんを迎え、平成28年度秋季入学式を挙行できますことは、横浜国立大学すべての構成員の大きな慶びです。皆さん、横浜国立大学への入学・進学おめでとうございます。全ての教員、職員、卒業生、在校生を代表して、心から歓迎いたします。

今年10月に入学される皆さんは、学部、大学院の合計102名です。その中には、アジアをはじめとする27の国と地域からの留学生73名が含まれています。

先ず、横浜国立大学を紹介します。ここ横浜は、今から157年前、1859年に日本で最初に開港しました。明治、大正、昭和、平成の時代を経て、日本の近代化、戦後の高度経済成長を支える中心地として発展し、また世界の芸術、文化の入り口として、そして港町として多くの観光客を受け入れ、海外へ常に先進的に発信をしてきました。今や、日本第二の都市に成長した横浜・かながわ地域の発展を支えた活力基盤として共に歩んできたのが我が横浜国立大学です。

本学は3つの源流を持っています。第一は、開港からわずか15年後の明治7(1874)年に設置された教員養成所です。教育人間科学部の前身です。明治以降の日本の近代化を推進した学校教育を支え、その後、神奈川師範学校となりました。大正期に入り、日本のさらなる産業発展を支える人材の育成のため、大正9(1920)年横浜高等工業学校が設立されました。これが、現在の理工学部の源流となっています。さらに、関東大震災が発生した大正12(1923)年には、震災復興とアジア、中南米で活躍しうる人材育成のため、横浜高等商業学校が設立されました。現在の経済学部、経営学部の源流です。このような戦前からの伝統を踏まえ、1949年、神奈川県に基盤を置く国立新制大学として、横浜国立大学は発足しました。

その後、時代の変化に対応し組織改革を行い、現在の4学部になり、来年4月には50年ぶりの新学部である都市科学部が設置されるのにともない、5学部体制になります。また、大学院に関しては、早くから修士課程のみならず博士課程を設置し、博士号を取得できる研究大学としても発展し、現在、5つの大学院として、教育学研究科、国際社会科学府、工学府、環境情報学府、都市イノベーション学府、それに加えて東京学芸大学との連合である学校教育学研究科を有し、人文系、社会系、理工系の各分野において実践的、先進的、そして文理融合的な研究を推進しています。また、本学は、140年余りの歴史を有する大学として、今までに国内外で活躍する約11万人の卒業生・修了生を送り出しました。海外からの留学生も毎年約900名が在籍し、学生数の約10%を占める留学生の比率の高い大学として有名であると同時に、留学も盛んな国際的な大学として発展してきました。

本学は、先ほどの歴史と伝統に基づき、将来社会を見据えた大学憲章を有し、四つの基本精神を柱としています。第一の実践性(Be Active)は、諸問題の本質を見極め、時代の変化にも対応できる精神です。第二の先進性(Be Innovative)は常に前向きにとらえ、新しい試みに意欲的に取り組むチャレンジ精神、第三の開放性(Be Open)は社会とともに歩み、公正さを大切にする精神、そして第四の国際性(Be Global)はグローバルな視点とコミュニケーションの精神です。その核となるのは、「現実の生きた社会に原点を置く学問を志向し、社会の福祉と持続的発展に貢献する」という実践性です。

21世紀社会は、様々な分野でイノベーションが求められると同時に、地球温暖化、少子高齢化、地域紛争とテロ、或いは難民など多くの課題を抱えています。今年6月のイギリスのEU離脱も含め、予測不可能でしかも解決の難しい問題ばかりです。このような答えのない問題に果敢に挑むことも実践性に含まれる大事な要素です。皆さんが、今後、これら課題に対して自らの専門的知識を活かして、真摯に課題解決に向けて取り組まれることを期待しています。

本日出席された留学生の皆さんは、異なる言語、文化、習慣のもとでの大学生活となります。皆さんの情熱と多文化理解の精神を十分に発揮され、一日でも早く、キャンパスライフが軌道にのることを願っております。留学生の皆さんがキャンパスで活躍することが、ひいては本学の日本人学生の国際コミュニケーション能力と多文化理解を向上させることにも繋がります。そのため、本学の国際教育センターでは,日本語教育をはじめ、生活支援、就職支援など、日本人学生や地域ボランティアの方々の力も借りて、留学生の皆さんへの様々な支援を行っていますので、是非、活用して下さい。

結びとして、アルフレッド・マーシャルの言葉を紹介します。マーシャルは、アダム・スミスと並んで経済学の父とも言われる経済学者です。彼は、1885年にケンブリッジ大学教授に就任した際に、学生に対して演説をしました。その当時、新興国であったアメリカの成長などもあり、イギリスは長期不況に見舞われ、ロンドン市内には失業者があふれていました。そのような状況を実際に見ていたマーシャルが、学問は冷静に論理的に行う必要がある。しかし、貧困を解消するという暖かい心も同時に必要であるという意味を込めて、‘Cool heads but warm hearts’ と述べました。

新入生の皆さんが、これからの大学、大学院での学びにおいて、現代社会の諸問題に対してそれぞれの学問的立場から論理的にアプローチするだけでなく、人間に対する温かい心を持つことを期待します。そして、この10月から新しい横浜国立大学の歴史を刻むべく、学生の皆さんとともに私たち教職員一同も努力することをお約束し、お祝いの言葉といたします。

平成28年10月6日
国立大学法人 横浜国立大学長

長谷部勇一

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