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入学式&卒業式式辞

平成29年度入学式 式辞

 

 桜の花と共に若葉の緑が目に鮮やかなここ横浜において、新入生の皆さんを迎え、平成29年度入学式を挙行できますことは、横浜国立大学すべての構成員の大きな慶びです。皆さん、横浜国立大学への入学・進学おめでとうございます。列席の理事・副学長・監事・部局長・評議員をはじめ教職員一同を代表して、心からのお祝い申し上げます。また、これまで皆さんを育て、温かく見守ってこられたご列席のご家族ならびにご関係の方々にも、お祝い申し上げます。
 2017年4月に入学された皆さんは、学部生1,740名、大学院生912名の合計2,652名となります。

 まず、横浜国立大学の成り立ちと特色についてお話しします。本学は歴史的に、3つの源流を持っています。まず、教育学部の前身である教員養成所が神奈川県下に設置されたのは、明治7年・1874年です。今年は、明治維新からちょうど150年にあたりますので、一四三年前に本学は産声を上げたことになります。その後、神奈川師範学校となり、日本の近代化を推進した学校教育を支え、現在の教育学部の源流となりました。大正時代に入り、第一次大戦後の日本における更なる産業発展を支える人材の育成のため、大正9年・1920年官立横浜高等工業学校が設立されました。これが、現在の理工学部の源流となっています。さらに、ここ横浜も大きな被害を受けた関東大震災が発生した大正12年・1923年には、震災復興と海外で活躍する人材育成のため、官立横浜高等商業学校が設立されました。現在の経済学部、経営学部の源流です。
 以上のような戦前からの伝統を踏まえ、戦後間もない昭和24年・1949年、師範、高等工業、高等商業という前身校を統合し、神奈川県に基盤を置く国立新制大学として、学芸学部、経済学部、工学部の三学部体制で横浜国立大学は発足しました。その後、時代の変化に対応して、学部と大学院の改革を進めてきました。
大きな学部改革としては、昭和42年・1967年に経済学部から経営学部が分離独立しました。1960年代の高度経済成長期という時代状況の中で、それに対応する経営関係の研究と教育を展開する時代の要請を踏まえての新設でした。大学院に関しては、本学では早くから修士課程を整備し、博士課程に関しても、1985年の工学研究科を皮切りに、社会科学系、そして教育系も東京学芸大学との連合大学院という形で、その設置が認められ、国際化時代に対応した先進的な研究と高度専門職人材の育成を行ってきました。現在、教育学研究科、国際社会科学府、工学府、環境情報学府、都市イノベーション学府というユニークな構成の五つの大学院を有し、研究大学としての発展を遂げてきました。

 このような歴史を経て、本学は平成16年・2004年に国立大学法人化しました。その際に、今までの伝統を踏まえ、本学の特色を表すため、以下の4つの基本精神を宣言しました。第一は、師範、高等工業、高等商業という戦前からの実学の伝統を踏まえた実践性(Be Active)です。これは、時代の変化に積極的に対応し、現実の生きた社会に原点を置く学問を志向するという精神です。第二は、先ほど述べたように新制大学の中で早くから大学院を整備し、研究大学としての実績を踏まえた先進性(Be Innovative)です。これは、常に最先端を目指し、新しいことに意欲的に取り組むチャレンジ精神でもあります。第三は、地元地域を中心に、市民社会、産業界、行政が抱える課題の解決に寄与するため、社会連携を積極的にすすめるという開放性(Be Open)です。第四は、国際性(Be Global)です。これは、グローバルに活躍できるコミュニケーション能力と異文化理解力を有し、諸外国との交流を積極的に進める精神です。

 四つの基本精神の中心となるのが「実践性」です。実践的であるためには、現実の生きた社会が常に変化発展していることから、時代の変化をしっかり捉えることが必要となります。21世紀以降、新興国が経済成長を続ける一方、先進諸国は、低成長と財政危機、少子高齢化、難民・テロなど多くの困難な課題に直面しています。このような諸課題に如何に応えるか、ここに国立大学の使命があります。
 私たちは、このような使命を自覚し、21世紀の時代の特色を踏まえ、イノベーションを創出し、本学が位置する横浜・神奈川地域のローカルであるとともにグローバルな課題にも積極的に対応すべく、全学で教育組織を改革することとしました。その結果、経営学部以来五十年ぶりとなる新しい学部「都市科学部」を開設しました。都市科学部では、まさにグローバルとローカルが接する大都市=横浜・神奈川をフィールドに人文社会系と理工系の融合をいかした都市づくりと、豊かさとリスクのバランスを適切にマネジメントする「リスク共生」の考え方を学び、グローバル社会に適応し、イノベーション創造を担う、今までにない新しいタイプの人材養成を行います。教育人間科学部は、学校教育課程に特化した「教育学部」とし、地域の教員養成の中核として役割を果たします。経済学部・経営学部は、グローバル新時代に即した幅広い知識の修得に向けて二学科体制、四学科体制をそれぞれ一学科体制へ改編しました。そして、理工学部は、新しい価値の創造やイノベーションを導く付加価値の高い理工系人材を育成するため、四学科体制を三学科体制に改編しました。新しく生まれ変わった横浜国立大学の第一期生として、皆さんが21世紀社会で活躍するための諸能力をそれぞれの専門分野で築かれることを大いに期待しています。

 さらに、本学の国際性についても触れておきたいと思います。本学には、アジア諸国をはじめとして留学生が約900名在籍し、学生数の十パーセントという留学生比率の高い大学として有名です。本年度も189名の留学生の皆さんが本日の入学式に臨んでいます。41の国と地域の130近い海外一流大学と学術交流協定を結んでいます。本学では、交換留学制度のほか、英語討論会や現地企業を視察するなどの短期滞在型プログラム、夏休みなどを利用した英語キャンププログラム、海外インターンシップなども開催しています。国際教育センターは、このような国際交流や留学を支援する組織です。是非積極的に国際交流に参加して下さい。また、国際交流に必須な素養として、「共生社会(共に生きる)」の理念を身につけ実践することも必要です。共生社会とは、これまで必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障がい者、外国人などが積極的に参加していける社会です。本学においても、数名の障がいのある学生さんが在学し、周りの学生の皆さんに支えられて学業生活を送っています。大学としてもバリアフリーの環境作りに努力していますが、大事なことは、バリアフリーという物理的な整備だけでなく、周りの学生の皆さん、私たち教職員の心遣いや支え合いというソフト面も充実しなければならないということです。学生の皆さん一人一人が共生社会のマインドを持ち、いろいろな場面で支え合い、学びの共同体を本学において実践されることを期待します。

 以上のように横浜国立大学は、140年余りの歴史を有し、実践的学術を先進的に進め、国際交流の盛んな大学として、国内外で活躍する11万人を超える卒業生・修了生を輩出してきました。卒業生の組織として、教育・人文系として友松会、社会科学系として富丘会、理工学系として名教自然会という同窓会組織があり、それぞれの専門性を活かし、就職支援などを中心に大学をサポートして頂いています。また、在学生と教職員と卒業生すべてを含む大学支援組織としてYNU校友会が発足し、学部の枠を超えた横断的な取り組みを始めております。国内外で活躍する卒業生との絆を深めるためにも、各同窓会やYNU校友会の活動は重要です。本日ここにお迎えした新入生の皆さんが、このような歴史と伝統を踏まえて、横浜国立大学の一員として、更なる飛躍への活力を与えてくれるものと期待しています。

 結びとして、本日の入学式のパンフレットで触れたレイチェル・カーソンを紹介します。彼女は、1907年にアメリカで生まれた生物学者であり作家です。1958年に出版した『沈黙の春』では、当時のアメリカでは、有毒な殺虫剤が空中散布されるなど化学物質の危険性が知られることなく使用されている実態があり、自然環境と人間の健康を蝕んでいることを科学者として明らかにしました。彼女は、自然とのかかわりを大切にし、自然観察や体験を通じることで、単に知るだけでなく、自然の不思議さ・素晴らしさを感じ取ることが重要であると説きました。実践とは、知識を持つだけでなく、それを具体的に行動する中で活かしていくことです。行動することで未知の領域があることも分かってきます。その未知を感じ取る能力を磨くことで、さらに探求したい、行動したいという情熱を持つことにつながります。
 新入生の皆さんが、これからの大学、大学院において、沢山のことを学ぶと同時に、実践にも心がけ、人間として感じ取る能力も磨かれることを期待します。そして、この4月から新しい横浜国立大学の歴史を刻むべく、学生の皆さんとともに私たち教職員一同も努力することをお約束し、お祝いの言葉といたします。


平成29年4月4日
国立大学法人 横浜国立大学長

長谷部勇一

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