国立大学法人横浜国立大学の達成すべき
業務運営に関する目標(中期目標)


















国立大学法人横浜国立大学

    平成16年5月26日
変更 平成18年3月30日
変更 平成19年3月29日








国立大学法人横浜国立大学の中期目標



(前文)大学の基本的な目標
 横浜国立大学は,大学に課せられた使命を全うするために,四つの具体的な理念を掲げている。現実の社会との関わりを重視する「実践性」,新しい試みを意欲的に推進する「先進性」,社会全体に大きく門戸を開く「開放性」,横浜から世界に向けて発信し,海外からも広く人材を受け入れる「国際性」である。
 これら4つの理念の相互関係を重視しつつ,これらの理念を実現するための具体的な中期目標を策定する。

T 中期目標の期間及び教育研究上の基本組織
1 中期目標の期間

平成16年4月1日から平成22年3月31日までとする。
2 教育研究上の基本組織
   この中期目標を達成するため,別表に記載する学部及び研究科(学府・研究院含む)を置く。

U 大学の教育研究等の質の向上に関する目標
1 教育に関する目標

(1)教育の成果に関する目標
  横浜国立大学は,教育を通して,実践性・先進性・開放性・国際性の理念を実現する。諸科学に関する豊かな知的資産を伝え,知と技を創造する方法を体得させて,学問の基礎を教授し,高い実践的能力を備えた人材を世に送り出す。教職員は学生に魅力ある教育を提供するために,学生と共に横浜国立大学独自の先進的な教育文化を育て上げる。
 1) 学士課程における教育の成果に関する目標
  @ 教養教育の成果に関する目標

   教養教育の理念と目標
  1. さまざまな学問を主体的に学び,幅広く深い教養を培い,豊かな人間性を育む。
  2. 現代社会の提起する諸問題を多角的・総合的に解決する能力を養う。
  3. 自らの専門分野に対する関心を高め,専門教育に必要な基礎学力を修得させる。
  4. 国際感覚を養い,異文化への理解を深め,十分なコミュニケーション能力を培う。
  A 専門教育の成果に関する目標
  1. 現代社会の抱える重要な問題を的確に分析しながら,問題解決の方向を探求する力を育成する。
  2. 多様化する社会のニーズに柔軟かつ自律的に対応できる深い素養及び豊かな感性と広い知識を身に付ける。
  3. 異文化を理解し,コミュニケーション能力を身に付け,世界に貢献しうる素養と行動力を有する国際的人材を育成する。
  4. 複合大学としての特性を活用した教養教育の基礎の上に,専門を中心とした広い分野への展開を可能とする基盤教育を行う。また,大学院進学後における高度専門的知識のスムーズな修得に繋がる教育の高度化を行う。
2) 大学院課程における教育の成果に関する目標
  1. 自ら課題を探求し,未知の問題に対して幅広い視野から柔軟かつ総合的な判断を下すことのできるフロンティア精神に富んだ実務者・技術者を育成する。
  2. 創造的かつ持続的に発展する社会に対応し,人類が克服すべき課題を多面的にとらえ,その解決に要する高度専門的知識を修得した人材を育てる。
  3. 国際性,学際性,情報処理能力等を鍛え,高度な専門的・実践的問題解決能力を有する人材を育てる。
(2)教育内容等に関する目標
 1)アドミッション・ポリシーに関する基本方針

  @ 学士課程
  1. 各学科・課程の理念・目標を踏まえ,それぞれの専門分野ごとに求める学生像を明確にし,それに応じた入学者選抜を工夫し,改善を図る。
  2. 高等学校での多様な履修履歴等に対応した入学者選抜方法の改善を検討する。
  3. 学部の特性と社会的要請を考慮し,社会人,留学生等に対する選抜方法の多様化,弾力化を進める。
  A 大学院課程
  1. 専攻・課程の理念・目標を踏まえ,それぞれの専門分野ごとに求める学生像を明確にし,それに応じた入学者選抜方法を工夫し,改善を図る。
  2. 研究科・学府の特性と社会的要請を考慮し,社会人や留学生,帰国学生に対する選抜方法の多様化,弾力化を進める。
 2) 教育課程,教育方法,成績評価等に関する基本方針
  @ 学士課程
 (@)教育課程に関する基本的方策
   教育理念,教育目標,育成人材像を具体的に実現するため,教育課程自体及びそのカリキュラムを定期的に再検討する。また,基礎学力と問題解決能力の育成,国際社会での活動能力の育成,高い倫理性と責任感の涵養を実現する教育プログラムを開発する。
 (A)教育方法に関する基本的方策
   学生に勉学に対する刺激を与え,実力が養われる授業形態と学習指導法を確立するため,大学全体として,あるいは各学部において授業評価及びFD活動を行う。
   単位制度の実質化を進めるため,教育内容と方法を不断に改良するための活動を行う。
 (B)成績評価に関する基本的方策
   それぞれの講義,演習,実験などに到達目標と成績評価基準を定め,目標を達成した学生のみに単位を与える単位制度の実質化により,適正な評価を実施する。
  A 大学院課程
 (@)教育課程に関する基本方針
  1. 教育目的・目標に則してカリキュラムを編成し,適切かつ体系的な授業内容を構築する。
  2. 高度専門教育の実現による問題解決能力と創造性を涵養する。
 (A)教育方法に関する基本方針
  1. 創造的開発を行うための強固な基礎力を修得させることを目的に,適切な授業形式の実施により,原理・原則の深い理解を図る。
  2. 基礎知識の修得のための講義科目と実践的な問題解決能力を磨く演習等を組み合わせて,高度専門職業人教育などに積極的に活用する。
 (B)成績評価に関する基本方針
  1. 授業形態の特性に応じた成績評価基準を適切に定める。
  2. 複数教員による多面的・総合的な評価及びGPA制度の導入を検討する。
  3. 学位授与基準の明確化を図る。
  4. 成績評価が学生の学習・研究改善に役立つような制度を検討する。
(3)教育の実施体制等に関する目標
 1)教職員の配置に関する基本方針
  1. 学術や社会の要請・動向等に応じた教育上の目標,課題を踏まえ,教員組織の構成を見直す。
  2. 学生の視点に立って学部教育の在り方を見直し,学部間の連携による教育体制を整備する。
  3. 多様な教育を実施するため横浜国立大学教員のみならず,研究所,民間企業,他大学教員等との連携を図る。
  4. 大学院生の増加や学生の多様性に対応したきめ細かな教育を実施するため,TA,RAの活用などにより,教育支援体制の強化を図る。
 2)教育環境の整備に関する基本方針
高度情報技術の活用等により,教育施設・設備の有効活用・整備を図り,教育効果を高める。
 3)教育の質の改善のためのシステム等に関する基本方針
  1. 教育内容・教育活動に関する自己点検・評価及び外部評価・第三者評価を適宜行い,評価結果を授業内容・授業方法の改善に結びつけるフィードバックシステムを整備する。
  2. 教育内容等に対する外部評価・第三者評価をカリキュラムの改善やアドミッション・ポリシーの見直しに結びつける。
  3. 教材開発,学習指導法の改善などFD活動を充実させる。
  4. 全学教育研究施設等の整備を図り,教育目的・目標実現のため,新たな大学教育の展開を図る。
(4)学生への支援に関する目標
   大学の主要な使命である教育において優れた成果を生み出すために,学生への学習支援,健康・生活相談,就職支援,課外活動支援,経済的支援等を多面的に検討し,きめ細かく実施する。
2 研究に関する目標
(1)研究水準及び研究の成果等に関する目標
  横浜国立大学は,研究を通して,「実践性」「先進性」「開放性」「国際性」の理念を実現する。
  1. 自由な発想を支える柔軟なシステムのもとに広く内外の研究者と協調して先進的な研究を遂行し,世界の第一線に肩を並べる高い水準の研究成果を創出する。
  2. 社会と自然及びそこに生きる人間の諸問題を探求し,各学問分野における世界的研究拠点となり,人類の将来に向けた的確な提言をする。
  3. 研究の成果を広く発信し,国,地方公共団体,産業界,市民社会,諸外国が抱える課題の解決に寄与するため,独創性・有用性・新規性・未来可能性などを持った研究成果の還元に努める。
(2)研究実施体制等の整備に関する目標
  1. 横浜国立大学は,これまでの実践的,先進的研究をさらに推進していくために研究組織,研究資金,研究環境の弾力的・流動的運用に努める。
  2. 横浜国立大学の特色である研究部と教育部を分離した大学院組織を生かし,学術と社会の変化に柔軟に対応した教育研究を実施するため,大学内の各部局・センターの人材・施設等を,先進的,融合的,学際的な研究課題に基づき弾力的・流動的に組織して研究を推進する。また,外国の大学を含む他研究機関との間で研究者の人事交流を促進する。
  3. 時代に相応しい研究の課題を定期的に精査し,公表する。課題に対する成果は,組織あるいは教員個人として,多面的に評価する。そのため,成果を適切に評価する方法を研究分野の特徴に応じて構築するとともに,それらを研究の質の向上に資するためにフィードバック体制の整備に努める。
3 その他の目標
(1)社会との連携,国際交流等に関する目標
   「社会に開かれた大学」として,先端的かつ複合的な学術研究を発展させ実践的な高度専門職業人を育成することを基本方針とする横浜国立大学においては,社会との連携を積極的に推進し,多様なニーズへの対応や諸課題の解決において貢献することは重要かつ不可欠のものである。
  1. 大学として本来の研究・教育活動を行うとともに,産業界,地域社会等との研究面での連携活動や教育面における連携も積極的に行う。
  2. 国際都市横浜を背景とし,国際性を重視する伝統を踏まえ,教育面及び社会面における国際協力・交流活動を積極的に行う。
(2) 附属学校に関する目標
 1)設置目的
   知・徳・体のバランスがとれた人間性豊かな児童・生徒の育成をめざし,さらに附属学校の特質を生かした教育課程の開発・実践を進め,近隣教育界の範となることを目的とする。
 2) 教育活動の基本方針
   教育課程の開発・実践にあたっては,小・中・特別支援の各附属学校の連携を密にし,教育人間科学部などの学内諸部局・施設,並びに教育委員会等地域の教育機関との連携・協力を重視していく。また,実践的指導力を備えた教員の養成や職員の交流人事,現職教員の研修などを通して,開発した教育課程やその実践方法を地域教育界に還元する。
 3)学校運営の改善の方向性
   特色ある学校づくりをめざし,選抜方法改善の検討,保護者の学習参加の促進,地域に開かれた学校運営の実現に向けた取り組みを行う。

V 業務運営の改善及び効率化に関する目標
1 運営体制の改善に関する目標
 1)効果的な組織運営に関する基本方針
   学長のリーダーシップのもとに,役員会,経営協議会,教育研究評議会,各部局教授会などが協調し,効果的な大学運営を行う。また,全学的な企画立案体制の強化を図る。
 2)戦略的な学内資源配分の実現等の基本方針
   教育研究を充実させ,活性化を図るために,予算,研究室面積,人員等の有効な資源配分を進める。このため,学長のリーダーシップのもとに適切な資源配分を企画立案し,必要な審議を経て実施する。
2 教育研究組織の見直しに関する目標
   教育研究上の目標,課題等を踏まえて,教育研究組織の柔軟かつ機動的な編成・見直し等を行う。
3 人事の適正化に関する目標
   優れた人材を確保するため採用人事にあたっては公募制を積極的に活用し,必要に応じて任期制を用いた教員の採用を行うとともに,評価に基づき定期的な組織の見直しを行う。また,流動性を高め,厳正な業績評価に基づき適切なインセンティブを付与するための給与等の整備を進め,戦略的・効果的な人的資源の活用や非公務員型を生かした柔軟かつ多様な人事システムの構築等を行う。
  また、「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)において示された総人件費改革の実行計画を踏まえ,人件費削減の取組を行う。
4 事務等の効率化・合理化に関する目標
  1. 事務組織及び業務の見直し,改革を行い,機動的・効率的な運営ができるようにするとともに,事務職員と教員が一体となっての企画立案機能を高める。
  2. 事務局事務と部局事務における業務全般の権限と責任の所在,事務処理システムの在り方,アウトソーシング方式の採用などによる精査を通じて,大学全体の事務組織の合理化・簡素化のため,組織再編を行い,事務職員の大学事務局,各部局への適正な配置を図る。
  3. 各部局における教育研究活動の活性化を支える事務サービスの向上を図り,そのための効果的な組織編成と適正な人事配置を行う。

W 財務内容の改善に関する目標
1 外部研究資金その他の自己収入の増加に関する目標
 1)科学研究費補助金など外部研究資金やその他の自己収入の確保及び増額の基本方針
  1. 積極的に外部資金の導入を図るとともに,自己収入の確保に努める。
  2. 自己収入額の取り扱いについては,各事業年度に計画的な収支計画を作成し,当該収支計画による運営に努める。
2 経費の抑制に関する目標
   全学的な見地から,経費の総点検を行うとともに,その結果については,評価システムの構築と効率化により,管理的経費抑制を図る。
3 資産の運用管理の改善に関する目標 
   大学が保有する資産の点検・評価に基づき,その特性に応じて,効率的・効果的な運用を図る。

X 自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標
1 評価の充実に関する目標
   大学の諸活動の成果の客観的な見直しにより,大学の自律的発展をさらに促進するため,横浜国立大学の教育・研究,組織運営,財務等に関して全学的な自己点検・評価及び外部評価を適時にかつ厳正に実施し,その評価結果を速やかに公表するとともに,大学運営の改善に十分に反映させる。
2 情報公開等の推進に関する目標
   教育研究,組織運営,財務など大学運営全般にわたって透明性を確保するため,各種の情報伝達媒体を利用して,運営の実態に関する情報を社会に対して積極的に公開するよう努める。

Y その他業務運営に関する重要目標
1 施設設備の整備・活用等に関する目標
   大学としての施設の整備に係る基本方針及び長期的な構想を明確化するとともに,教育研究スペースの有効利用を図りつつ,重点的かつ計画的な施設・設備の更新及び整備を実施し,教育研究環境の効果的かつ効率的な整備に努める。
 1)施設設備の整備・活用に関する基本方針
   施設の点検・評価に基づき,その効果的・効率的利用を推進し,教育研究に係る将来構想に基づき,重点的かつ計画的整備に努める。
 2)施設設備の機能保全・維持管理に関する基本方針
   教育研究の確実な遂行及び施設の安全性・信頼性を確保し,所要の施設機能を長期間発揮するため,計画的な整備,維持・保全を行い,適切な教育研究環境の確保に努める。
2 安全管理に関する目標
 1) 全学的な安全管理体制を構築し,学生・教職員の安全教育対策を始め,盗難や事故防止等のセキュリティ対策,情報セキュリティ対策など,教育研究環境の安全・衛生の確保に努める。
 2) 新たな教育研究環境を創造するため,環境を意識した教育・研究,環境と共生する施設設備の整備及び環境に配慮した管理・運営に取り組み,広く社会及び地域環境と調和のとれたキャンパスの構築を推進する。
 3) 学校保健法及び労働安全衛生法に則り,全学的な安全衛生管理体制を構築し,学生・教職員の健康管理を充実させる。 






別表(学部,研究科(学府・研究院含む))

学部 教育人間科学部
経済学部
経営学部
工学部
研究科

(学府・研究院含む)
教育学研究科
国際社会科学研究科
工学府・工学研究院
環境情報学府・環境情報研究院
東京学芸大学大学院
連合学校教育学研究科(参加校)