1. YNU
  2. 大学案内
  3. 広報活動情報
  4. インタビューで知る横浜国立大学
  5. こちら現役国大生!
  6. 第6回 「写真家として活動しながら経営を学ぶ」 山市さん(経営学部)

山市さん 経営学部

インタビュー・記事:学生広報サポーター ショウ・イ
(取材日:2009年4月21日)

中学時代に見た1枚の写真をきっかけに、次第に写真家を目指し始め、日本写真芸術専門学校へ進学。現在は、写真家として活動する傍ら、横浜国立大学で経営を学んでいる山市さんをご紹介します。

作品を撮るために海外各地を旅して、2009年は、東京と大阪で「アジアン・トゥデイ」と題して写真展を開催。

経営を学ぶ理由や写真展についてなどの話を伺いました。

「経営」を学ぶ理由

ショウ 国大に入学した理由を聞かせてください。

山市さん 国大に入った理由は、経営の理論を本格的に学びたかったので経営学部のある国公立を探したら神戸大か国大だったんですね。それで、自分が一年間働きながら受験勉強をする前提で大学を選んでいたので、働いている東京の渋谷に近い国大を選びました。

ショウ 経営学部を希望した理由を聞かせていただきたいのですが。

山市さん それはすごく写真の話になります。 写真は、画面の中で自分がこれを撮って伝えたいという意志でシャッターを押すんですが、画面の中に自分が意図していないものも入ってきちゃうんですよ。シャッターを押して初めて気づく部分もいっぱいあって。そう考えると、写真を写すことはどれだけ曖昧か分かると思う。

写真には理論を固めていくやり方もありますが、でもどうしても曖昧になってしまうんです。曖昧なものを曖昧に組み立てていくというかーーでもこの確固とした理論的な考え方がないと、自分の写真を売っていくことができないっていうジレンマにぶち当たって。

じゃあ、自分がどういう風にマネジメントしていくかということを考えたら、経営だと思いました。企業を経営するときにも、失敗は許されない、黒字を出さなきゃいけない、そのためには、理論を理論で固めて、そこから証明されていく実証例、また理論ができていく、この繰り返しの作業は写真と真逆ですね。だから経営を勉強したいと思いました。

ショウ つまり経営自体を勉強したくて勉強したわけではなく、写真のために勉強しようと思ったんですね。

山市さん そうです。「大学を出た後どうしたいですか?」って色んな人に聞かれますが、僕は、今の写真家としての活動を本当に軌道に乗せるために、営業とかもやっていって、そのまま写真家として食べていこうと思っています。

写真家は、個人プレーですが、個人を企業としてみるなら、経営を勉強するのは合っているし、理論を勉強するという自分の意志にも合っているので、写真家をやっていく上で必要だと感じています。

写真家を目指し始めたきっかけは一枚の写真

ショウ 写真家を目指し始めたきっかけを聞かせてください。

山市さん ケビンカーターの写真は知っていますか?ピューリッツァー賞を受賞した「ハゲワシと少女」という、スーダン内戦紛争のときに黒人の女の子が餓えてうずくまっている後ろでハゲワシがじっとその子を見ている写真です。

その写真家がその後、「なぜ少女を助けなかったんだ」という批判を受けてそれが原因なのか、ピューリッツァー賞を受賞した翌年に自殺した話が、中学校3年の英語の教科書に載っていて。

僕は、「すごいな」と思ったんですよ。その自殺の経緯よりもその写真がすごいと思ったんです。

戦場風景じゃなく、その周辺の部分なのに、戦場がどれだけ悲惨で、その国はどういう風になっているのかが、その一枚で判ったんですね。

僕もそんないろんなことが伝えられるメッセージ性の強い写真家になりたい、と思ったときに、先生が「これを見て、写真をやりたいと思った人はこの後、来て」と言って、僕はまんまと誘いに乗って行ったら、その先生に「今から練習すれば、ハタチそこそこで、それなりに写真が撮れるようになる」と言われて、うれしくて写真を始めました。それがきっかけです。

写真展「アジアン・トゥデイ」への思い

ショウ 山市さんが今回の写真展「アジアン・トゥデイ」を通して伝えようとする思いは何ですか?

山市さん 今回の作品について自分が言いたかったのは、町が都市化していく過程で、似通っている部分、失われている部分が確実にあることです。

1階建てのぼろぼろの家屋がなくなっていって、高層マンションが増えていく。それが世界各都市で繰り返されている。これはどういうことなんだろう、と考えるきっかけにしてもらえればうれしい、という曖昧な部分までしか僕は明示していません。

僕は、都市化がいけないとは全く思っていなくて、逆に肯定的に捉えています。

なぜかというと、例えば、首長族の人たちは首輪をしているけど、そのメリットは観光収入以外、何もないんですよ。それで、首輪は昼間だけつけて、夜は外している。それを悲しいと思う人は酷いと思う。日本人だって、ちょんまげや、刀をなくして、スーツを着ているし、いろんな文化を捨ててきているでしょう。でもそれが悲しいと日本人は思っていないじゃない?というのが僕の感覚です。

僕たちが進んできたように、彼らも進んでいく。それは当たり前なことです。

僕は、写真が記録をするツールであることを前提に、都市の過程の現実を写真に撮って、君たちはこれを見てどう思う?という提示をしたくて、あの作品に取り組みました。


東京で開催された写真展の様子

いい意味でのギャップを感じた国

ショウ 山市さんの数多くの旅の中で一番印象に残った国はどれですか。

山市さん カザフスタンが一番印象に残った国ですね。自分のイメージと一番ギャップを与えられた国でもあります。

中央アジアに位置していて、シルクロードの真ん中。ステップ気候で、遊牧騎馬民族がいた地域。元ソ連領でソ連解体と共にカザフスタン共和国として独立を果たした国--そういう情報は知っていても、それが実際どんな国なのかはわからないし、情報を探してみてもなかなか有効なものは見つからなかったんです。


タイからマレーシアへ移動中、マレー鉄道車内にて

なら行ってみるか、と思って行ったら、すごく綺麗な町で、ビルはあまり高くなくて、3,4階建てが主流で高くても7,8階くらいしかなかったんです。

道路はすごく広くて、樹々も多い。都会なんだけど田舎みたいな、牧歌的な感じがミックスされていていいなぁと思って。

英語が全く通じないから、すごく困ったけれど。

ショウ そこで通じるのはロシア語?

山市さん ロシア語とカザフスタン語ですね。

カザフの民族は、日本人と骨格が似ているので、時々間違えられて、「キミはどこの人なのって」話かけられるんですよ。僕は「イポーニィ(日本人という意味)」と答えると、「あぁ」って、そこで絶句するんですね。ロシア語が通じないのが分かって、自分が日本人に会えてうれしいけど、それをどう伝えたらいいか分からなくて。僕も話かけられてうれしいんだけど、ロシア語分からないから、話せなくて。二人で止まるんですよ。

そういう体験をほぼ毎日したので、この人たちはすごく人なつこいんだなあ、と思って。ロシア語の指差し会話帳というのを持っていたので、お互いにそれを指差し合いながらの会話を繰り返して大勢と仲良くなりました。


山市さんの旅の必需品
名刺、充電式乾電池、海外用携帯電話、
マルチ電源アダプタ、ipodなどなど・・・

メモ帳をいつも一カ国一冊持って行くんですけど、メモ帳が全部真っ黒になったのは、カザフが初めてでしたね。

ソ連の暗いイメージを持っていたから、こんなに開放的なんだ、というのがうれしかったし、自分がここまで受け入れられる国はなかなかないなあと。

タイとかカンボジアでも結構仲良くなって、今でもメール続いている人がいっぱいいますけど、あそこまで親しくされたのはカザフが最初で最後。

ショウ 言葉が通じないのに、逆に親しくなれるということはすごく興味深いことだなと思う。

国大生へのメッセージ

ショウ 最後に、国大生へのメッセージをお願いします。

山市さん 大学四年間は、いろんなことにチャレンジできる最後の期間だと思うんですよ。社会人になると、新しいことを始めようとしても、時間的な制約とかでできなかったりするし、仕事での失敗は取り返しがつかない場合がある。でも大学生のうちは、失敗しても、次のステップに行こうと考えられるし、周りに友達がいるし、先生もいるし、アドバイスしてくれる人がいっぱいいる。そういう最後のチャンスを逃しちゃいけないなと思う。

後はいい意味でも、悪い意味でも本当の友達を作る最後のチャンスだと思います。仕事場で友達を作ったとしても、それは同僚であって、そこから一歩踏み込むには、大学時代より時間がかかると思う。学生もライバルだけど、肩書きぬきにして仲良くなれるから。

取材を終えての広報サポーターの感想

インタビューの最後に「最高の幸せ」とは何なのかを山市さんに聞いてみたら、「普通に生活できること」っていう予想外の答えでした。 ベストワンだけを追求してきた自分にとって妙に感動が与えられた言葉でした。

人生というものには近道がなく、自分が日々考えている問題意識を大事にしつつ、真心の声を真剣に聞き、平穏なメロディーの中でも、私たちは最高の傑作を創作することができると思えるようになりました。

(ショウ・イ)


インタビューの様子
広報サポーターのショウ(左)と 山市さん(右)
山市直佑写真展「アジアン・トゥデイ」
東京開催/終了
2009年4月7日(火)-4月13日(月)10:00-19:00(最終日は16:00まで)
新宿Nikon Salon新宿エルタワー28階・ニコンプラザ新宿内
・ギャラリートーク/4月11日(土)13:00-14:00
大阪開催
2009年6月25日(木)-7月1日(水)11:00-19:00(最終日は15:00まで)
大阪Nikon Salon ヒルトンプラザ・ウエストオフィスタワー13階・ニコンプラザ大阪内

(担当:広報・渉外室)


ページの先頭へ

トップページへ

ページの先頭へ