第15回 神里 僚子さん

デザイン事務所勤務、飲食店経営などを経て、 2005年にデザインチーム「NEW FRIENDS」を 立ち上げ、デザインアートディレクターを務める。 東京都 在住

国内はもとより、世界中で活躍している本学卒業生の近況をお知らせします。

前号に続く、特別企画第二弾は、経営学部の卒業生で、デザインチーム「NEW FRIENDS」を運営し、本学の広報誌「YNU」「国大NEWS」のデザインも手がけた神里 僚子さんにインタビューしました。今回は、自身も会社を経営している社会人学生の広報サポーターの 竹 健治(経営学部3年)を始めとする4名がインタビューを担当しました。

2008年11月28日(金)「co-lab」にて

感覚で選んだ経営学部

 経営学部に進んだ動機を教えてください。


どの質問にも丁寧に答えてくれた神里さん

神里さん 地元、沖縄の進学校を卒業して横浜国立大学の経営学部に進みました。
最初から経営学部を目指していたわけではありません。学校の先生や研究者は自分には合わないように感じていたので、教育学部でも工学部でもない、経済よりはどちらかというと経営だな、という感覚で選びました。
卒業後、女性の同窓生は会計士や税理士などの手に職をつける分野に進みました。私は当時、出版社で編集の仕事をしたいと思っていましたが、バブル崩壊後の就職難だったので、出版社の募集はほとんど無かったですね。

 では、今の業界に進まれたきっかけは何だったのですか?

神里さん この業界に進んだのは、学生時代に広告研究会(アド研)や写真のサークルに顔を出していた時に、デザイナーのアシスタントを紹介されたことがきっかけです。アルバイト先でパソコン(Mac)を操作しているうちにデザインに興味が沸き、編集者としても道が開けるかもしれないと考え、デザイン事務所に就職しました。
今思うと、自分が希望していた企画やディレクターの仕事をするのであれば、広告代理店への就職が正解だったと思います。

ある一言から、デザイナーとして独立へ

 デザイン業界で独立を決意された経緯を聞かせてください

神里さん 務めていたデザイン事務所を辞めた後、飲食店チェーンの会社で経営に携わりました。その経験から商品や会社のコンセプトを考えるところから手がけてみたいと思い、31歳の時にマーケティング業界への就職活動を行っていました。
某マーケティング企業で社長面接まで進んだ際に、「あなたはデザイナーの方が向いている。デザイナーの経験を活かさないのはもったいない」と社長からアドバイスを受け、独立を決意しました。

「NEW FRIENDS」のスタイル

 神里さんの仕事のスタイルについて聞かせてください。

神里さん 私はアウトプットのデザインだけではなくプロモーションを考えるところからスタートしたいと思っています。クライアントの状況と製品やサービスの特徴を考えて提案をするようにしています。
例えば、「チラシを作りたい」というクライアントの話をよくよく聞いてみると、求めているのはチラシではなく、実は効果的なプロモーションだったということがあります。このように顧客のニーズを掘り起こしているこの仕事は、とてもやりがいを感じますね。
相手によっては、実物を製作し、目に見える形での提案をしています。やりたいことにはどんどん手を上げていくのが私のスタイルです。

 オフィス環境について聞かせてください。

神里さん 今のオフィスである「co-lab」へは、クリエイター向け雑誌の入居者募集記事がきっかけで入居しました。シェアオフィスのため、賃料がそれほど高くなかったのが入居を決めた理由です。
パーティションで区切られたスペースですので、周囲の音や人の動きがありますが、他の人の集中を妨げないというのが「co-lab」での暗黙のルールになっています。ここでは皆のやっている事がオープンで目に見え、それが刺激となり、自分も頑張ろうと思えます。


オフィス「co-lab」の様子
左:共用スペース 中央:NEW FRIENDSのスペース 右:階によって雰囲気が微妙に違う。照明もその一つ

 独立をしてから3年を振り返ってみていかがですか。

神里さん つらいことも多いですが、楽しい事もたくさんあります。
誰にも命令されずに勤務時間、仕事内容などの全てを自分で決める事ができる反面、自己管理が大切ですね。私はスタッフがいることで規則正しい勤務スタイルになり、責任感も強くなりました。
参考に、もしこれからデザインをやるなら、紙媒体は成熟している市場ですので、成長市場のウェブ媒体がおすすめです。ウェブは新しい業界なので、若い人がどんどん活躍できる場が増えています。
紙とウェブ両立させるならディレクターを目指すことが大切で、個々の製作の作業を振り分けるのがコツですね。

 スタッフが増えた時の全体のコンセプトはどう考えていますか?

神里さん これは重要なテーマの一つです。デザイナーはそれぞれが異なるテイストを持っているので、必ずしも私の思う通りのものが他の人にできるとは限りません。ですから、どこまで自分が的確に伝えられ、どこまで許容できるかが重要だと思います。できれば同じテイストを持った仲間の方がうまくいくかもしれませんが今は試行錯誤ですね。


アシスタントの方が製作したロゴ

例えば広報誌「YNU」の『研究力』というロゴ(右図)は、アシスタントが制作したものですが、私には同じものを生み出せないでしょう。自分に無いものを頭から否定するのではなく、面白いと感じたものをどのように活かしていくか、という発想が大切だと考えています。

学生時代は“一人旅”がおすすめ

 在学生に向けてメッセージをお願いします。

神里さん 学生時代にやって欲しい事は「旅」。一人で行く長い旅がおすすめです。違う文化に触れる事で視野が広がり、人の気持ちを理解できるようになります。

鈴木 旅より知識を吸収する方が大事ではないのですか?

神里さん 私も学生時代に学んだ簿記が今になってとても役立っていますが、学生の時に得た知識が役立つのはもう少し先になってからではないでしょうか。
若いときはお金もそれほど余裕がないので取捨選択をしなくてはなりません。
何といっても学生時代の最大の資源は「時間」です。その時間を活用してアルバイトでお金を貯めて一人で行く旅は達成感が得られます。旅先で困ったことが起きれば否が応でも話さなくてはなりません。必然的にコミュニケーション能力が高まりますし、そこから得られる人とのつながりは、社会に出てきっと役立ちますよ。

全員 長い時間お付き合いいただきありがとうございました!


インタビューを終えて
前列/左からショウ、神里さん 後列/左から竹、古屋、鈴木

インタビューを終えた感想

神里さん「今回のインタビューを振り返って改めて感じたことは、私自身少し変わった進路を選んだことで悩んだ時期もありましたが、いろいろな方々との出会いを通して、結果的にはとても面白い仕事環境を生み出せたこと。
だから、もし今、自分の将来に対して不安を感じている学生へ私なりに伝えられることがあるとすれば、『世の中の状況というのは常に人の意思とは関係なく変わっていくものだから、それに振り回されないよう、自分を信じて好きなこと・やりたいことを見つけて続けていくことに大切なチカラを注いでほしい』ということです。」

広報サポーターから

竹 健治 「話をしていると、ぐーっと引き込まれていくのを感じます。とても後輩を想ってくれる先輩だと思いました。デザイン業界に進みたいと考えている方にはぜひコンタクトして欲しい先輩です。」

邵懿 (ショウ イ)「『可愛い子には旅をさせよ』という諺のように、今回のインタビューの中で、神里さんが自分の経験を交えながら旅の重要性を語ってくれました。自立精神を培うことは無論のこと、グローバリゼーションの波に飲み込まれないだけの広い視野と客観性を身につける手段としても期待できるのではないかと思いました。」

古屋 裕大 「一連のお話を聞いて、自分が好きなことで、かつ得意なことを追求することの大切さを感じました。また、その過程での神里さんのフットワークの軽さや考え方の柔軟性が、聞いていて非常に勉強になりました。」

鈴木 雄也 「神里さんからは大変貴重なアドバイスをいただき、今後の人生に役立てていきたいと思いました。異文化に触れて自分の内面を磨くことはとても大事だというお話を伺ったので、長期休暇を利用した異国への旅を計画中です。本当にどうもありがとうございました。」

(担当:総務部 広報・渉外課)


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