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第4回 Global Applied Economics Forum at Stockholm School of Economics

The 2017 GAEF corhort
The 2017 GAEF corhort

 2017年11月13日から21日、スウエーデンにて第4回Global Applied Economics Forum (GAEF) が実施されました。今年度GAEFが取り組んだテーマは “Gender Equality and Women’s Participation in the Labor Market in Japan”です。2017年度GAEFの主な活動目的は、Stockholm School of Economics(SSE)とこのテーマについて共同セミナーを開催することです。

 GAEFはGlobal Studies in Economics (GSE) の最終段階のプログラムで、参加資格はGSEのセカンド・ステージにある3つのプログラム(交換留学、アジア英語討論、欧州英語討論)から最低1つ履修していることです。GAEFでは参加者がGSEの経験を活かし、プログラム内容を企画、運営しなくてはなりません。2017年6月に来日したSSEの学生とGAEF参加者はスウェーデン大使館で行われた“Sweden day”に参加しました。その際、両大学の学生は共同セミナーについて打ち合わせをしたうえで、11月にストックホルムに渡り、共同セミナーのほか、企業訪問や教育施設訪問などを実施しました。

Discussion with SSE students
Discussion with SSE students
Presentation at SSE
Presentation at SSE

 共同セミナーにはSSE学部生、European Institute of Japanese Studies(EIJS;欧州日本研究所)所長Marie Söderberg教授やEIJSに所属する研究者が参加しました。GAEFメンバーがテーマについて日本の現状をデータにより説明した後、女性の労働参加の阻害要因を分析し発表しました。その後のディスカッションでは男女平等についての政治的な思想や価値感の違いにまでにも議論が発展し、ワーク・ライフ・バランス、労働組合のあり方や国の政策に関してスウェーデンと日本の違いも浮き彫りになりました。

 その他の教育活動しては企業訪問や教育施設視察を行いしました。企業訪問ではJETROスウェーデン事務所、三菱商事(Mitsubishi Corporation Stockholm Liaison Representative)、三菱電機株式会社(Mitsubishi Electric Europe B.V.)スウェーデン支社に伺うことができました。JETROでは三瓶氏からスウェーデンが男女平等を実現していく過程を経済的、また教育的側面から講演していただきました。三菱商事の樗木氏や三菱電機株式会社森崎氏や石井氏から、スウェーデンの人々の働き方に日本企業がどのように折り合いをつけていくべきかについて、また海外で働く人材に必要なものは何かという点についてインタビュー形式で質問に答えて頂きました。

Talk about medical care with Dr. Omae
Talk about medical care with Dr. Omae

 次に女性の視点からスウェーデンと日本で働いてきた実体験をもとにカロリンスカ大学病院に勤務している大前氏に女性の社会進出について講演をしていただきました。講演ではスウェーデンと日本を比較しながら、医師そして研究者として働く上でのモットー、母親として子育てをする際の社会保障制度、医療事情や死生観についてまで言及があり、学生たちが活発に質問を続け時間が足らないほどでした。

Preschool visit
Preschool visit
Stockholm city tour
Stockholm city tour

 教育機関としてプリスクールとSwedish for Immigrants(移民のためのスウェーデン語の語学学校)に行く機会をもつことができました。男女平等と女性の社会進出を考えるためにプリスクール(日本の保育園児の相当する年齢の児童が通う教育機関)を訪問し副校長先生から教育内容について説明を受けた後、施設を案内していただきました。プリスクールは児童の権利に関する条約や国の学習指導要領を最重視しながら、独自のカリキュラムに基づき教育を行っています。教育では人種、民族、ジェンダーと様々なことに関する平等という概念を浸透させる努力がなされ、平等実現に向けての措置も講じられています。例えば、教員は男女という既成概念を超えた枠組みで児童を教育したり、政府は母語がスウェーデン語ではない児童には両方の言語で学修できる環境を整えたりしています。特に言語に関しては児童だけではなく、母語がスウェーデン語ではない成人(移民)もSwedish for Immigrantsでスウェーデン語を無料で学ぶことができます。そこでGAEFはSwedish for Immigrantsも視察しました。学校ではスペイン、パキスタン、インドなどからスウェーデンに移り住んだ大学卒業資格を持つ人たちのための授業に参加し、一緒にスウェーデン語を学びました。またGAEF参加者からインストラクターに最近の移民事情や平等社会についてもインタビューする機会も持つことができました。

 第4回GAEF参加者は以上の教育活動を通して深めた内容を “Gender Equality and Women’s Participation in the Labor Market in Japan”というタイトルで報告書としてまとめました。また、11月28日の成果報告会では以上の教育活動を報告するとともにさらにテーマを掘り下げ考察した結果を発表しました。

今回のGAEF成果報告書は、こちら のページで読むことができます。