欧州英語討論会を実施しました

討論会に参加したオウル大学の学生とレストランにて
討論会に参加したオウル大学の学生とレストランにて

 第3回「欧州英語討論会(Euro-Japan Dialogue 2008)」を、11月3日(月)〜7日(金)、オウル大学(フィンランド)とボン大学(ドイツ)で行いました。

経済学部からは、3年の水本穣戸さんをリーダーとして、4年の田川夕貴さん、3年の上野育真さん、服部由布子さん、渡辺真知子さん、引率としてマッコーレー アレクサンダー准教授の計6名が参加しました。

討論テーマは、日本がこれから直面する移民問題を含めた「multiculturalism(多文化主義)の未来」でした。

 3日(月)には、フィンランドの北部に位置する、雪の降り始めたオウルにて討論会が行われました。オウル大学の内部はまるで大学とは思えないカラフルな内装をしていました。

午前中には、オウル大学経済学部長Svento教授より、世界有数の携帯電話会社Nokiaの発展が、オウル大学との産学連携によって成されたという歴史をお教えいただき、また同大学のMBA制度、英語を主体とする大学院の授業についてもご説明をいただきました。


フィンランドでは、自国の学生は基より、留学生の授業料も無料であるという事実から、世界一の教育水準を誇るフィンランドの高等教育の片鱗を見た気がしました。

午後からは、学部生との英語での討論会が行われました。
今回の討論では、互いに相手国の多文化の現状をまとめ、それに対する提言を行うという、とても挑戦的な試みを行いました。

本学は、人口減少社会が始まるフィンランドに対して、移民がもたらす経済効果を説明し、移民の積極受け入れを主張しました。
Svento教授からは、本学生の発表内容に対してお褒めの言葉をいただきました。

一方、オウル大学は、多文化が日本の社会制度の変革に寄与するという事を、日産のカルロス・ゴーン社長の例を交えて主張しました。

互いに人口減少社会に直面する両国にとって、今回のテーマで議論できた事は非常に有意義であり、互いが模範とできる制度作りを考える上でのきっかけとなる時間でした。

その後は、食事を交えながら、オウル大の学生と親交を深めました。Svento教授は「欧州討論会」の様な制度をオウル大学にも作り、学生を本学での討論会に送りたいと仰っていました。

  6日(木)には、ドイツの北西部に位置する、紅葉の始まった古都ボンで、討論会を行いました。

ボン大学は、ドイツでも有数の名門大学で、ボン市内の至る所にキャンパスがありました。

本学は、日本語学部の学生と討論を行ったため、英語と日本語両方でセッションを行いました。

日本語では、本学のキャンパスの様子や学生の活動等をボン大学生に紹介しました。

ボン学生からは、授業内容や放課後の学生の課外活動についての質問が出ました。彼ら学生の非常に高いレベルの日本語に驚かされました。

英語でのセッションでは、日本側は、ドイツの移民の大多数を占めるトルコ系移民が社会に統合されていない現状をまとめ、社会統合のための政策提言を行いました。


ボン大学のキャンパスで学生と
ボン大学のキャンパスで学生と

一方で、ドイツ側からは、日本の閉鎖性や外国人差別の問題など、日本語学部ならではの手厳しい質問を受け、本学学生は苦戦していましたが、大変白熱した議論となりました。

議論を通して、海外から見た日本を教えられ、自国の制度を振り返る貴重な時間となりました。また、既に移民を受け入れているドイツからは、移民がもたらす正・負の影響を学び取る事ができました。

その後は、作曲家ベートーベンの生まれた古都ボン市内と、世界遺産ケルン大聖堂を案内してもらい、ケルン大聖堂の規模の大きさと荘厳さに圧倒されました。

昼食の席では、ドイツ伝統料理を食べながら、ドイツ学生との交流を深めました。
ボン大学での討論の様子
ボン大学での討論の様子


 7日(金)には、ドイツで第三者検査機関として有名なTUVRheinlandのケルン本社を訪問しました。

TUVはボイラー検査機関として19世紀に発足し、130年以上の歴史を持つ企業です。今では、全世界62ヶ国に拠点を持ち、従業員数は12,500人以上を誇るグローバル企業となりました。

日本では、新横浜に拠点を持ち、主に日系企業の海外輸出製品の検査を行っています。企業訪問では、オフィスと社内食堂を案内していただきました。

また、第三者機関による製品の必要性、更にはグローバル企業で働くために必要な資質などをお話していただきました。

その後は、ドイツ学生の自宅に招かれ、家庭料理を囲み、夜遅くまでドイツと日本の文化交流を行いました。


  今年の討論会は学生主体をコンセプトとし、討論テーマ・日程の調整などを相手側の学生と話し合って決めました。そのため、討論テーマが最終的に決まるまで時間がかかり、短時間で討論の準備をすることとなり、納得の行く内容にはなりませんでした。しかし、限られた時間の中で学生達は奮闘し、精一杯の努力をしたので、非常に良い経験となりました。
(経済学部)