泉谷 淑夫(いずみや よしお)/2025年度YNUプラウド卒業生

油彩画制作と鑑賞教育を並行して実践・研究

経歴

泉谷 淑夫
1952年神奈川県伊勢原市で生まれる
1975年横浜国立大学教育学部美術科卒業
平塚市立大住中学校に赴任
1983年横浜国立大学大学院教育学研究科修士課程修了
1985年横浜国立大学教育学部附属横浜中学校に赴任
1994年岡山大学教育学部に赴任
2014-2017年『筒井康隆コレクション』全7巻の装幀・装画担当(出版芸術社)
2018年『美の巨人たち』に尾形光琳の《紅白梅図》屏風の構図解説で出演
岡山大学名誉教授
大阪芸術大学美術学科教授
2024年圓明山法華寺に日蓮聖人生誕800年記念天井画対作を奉納
大阪芸術大学美術学科客員教授(現在)

主な受章・受賞・展覧会

1977年 第12回神奈川県美術展大賞受賞
1984年 第30回一陽展一陽賞受賞
1993年 第37回安井賞展入選
1998年 第8回花の美術大賞展大賞受賞
     第1回トリックアート大賞展大賞受賞
2001年 第47回一陽展 安田火災美術財団奨励賞受賞
2002年 第53回岡山県美術展大賞受賞
     第6回小磯良平大賞展優秀賞受賞
2007年 伊勢神宮式年遷宮美術館 特別展『月・歌会始御題に寄せて』
2017年 岡山県奈義町現代美術館 『美しい驚き 泉谷淑夫展』
2019-2020年 池田20世紀美術館 『美しい驚き・泉谷淑夫の世界』
2021年 平塚市美術館への3点の作品寄贈で紺綬褒章受章
2023年 岡山県天神山文化プラザ展示室提案事業 回顧展『泉谷淑夫 羊のいる世界 羊のいない世界』

業績

  泉谷氏は、油彩画制作と鑑賞教育を長年にわたり並行して実践・研究してこられました。中学校での現場経験と、大学における研究・指導歴を背景に、教育と美術の関係性を理解することは社会を読み解くことにつながる、というお考えのもと、教育と美術の双方の世界で活躍されています。
 油彩画においては数々の受賞歴を重ね、個展も横浜、平塚、岡山などで43回開催されています。1970年代の日本では、高度経済成長の進展とともに公害問題が顕在化し、文明の負の側面が社会に突きつけられました。泉谷氏は、こうした時代を見つめながら「時代の証言」としての制作を始め、大作では「文明のパラドックス」を主題としてきました。便利さの追求が新たな不便を生み出すという逆説的な面白さは、泉谷氏の絵画に込められたメッセージのひとつです。その逆説的な視点から「美しい驚き」を描き出し、見る人が世界をより深く、豊かに捉え直すための手がかりを提示しています。
 また、「風景」すなわち「空間」への強い関心のもと、まず現地に赴いて印象的な風景と出会うと、その体験を写真として持ち帰ります。アトリエでの制作においては、写真を参照しながら現場での感動体験や強烈な記憶をいかに絵画として呼び戻すかを重要視されています。泉谷氏は、「何を描くか」を重視しており、作品は答えを提示するものではなく、見る者に問いを投げかけます。構想画、風景画、静物画、動物画、名画のパロディといった多様な表現領域において、その造形思考が万華鏡のように展開されています。
 教育の分野では、比較鑑賞を取り入れた対話型の鑑賞法を確立し、大学の講義や講演会、研修講座、放送大学の面接授業などを通して広く社会へ発信されてきました。著書『美との対話』をはじめ、鑑賞教育に関する著作や論文は多数にのぼります。また長年「中学校・美術」の教科書著者として開隆堂や日本文教出版で活躍し、具体的な授業プランを提案してこられました。      

主な著書

  • 「鑑賞教育の実践 見る喜び・知る楽しさ」 開隆堂出版 1992年
  • 「美との対話 : 鑑賞への誘い」日本文教出版 1998年
  • 泉谷淑夫作品集「楽園の寓話」エルテ出版 1999年
  • 「琳派鑑賞法 光琳《紅白梅図屏風》を中心に」日本文教出版 2005年
  • 泉谷淑夫作品集「羊の惑星」エルテ出版 2007年
  • 泉谷淑夫作品集「美しい驚き」出版芸術社 2016年
  • 泉谷淑夫画業50周年エッセー 「二兎追流 ~たくさんの幸運と出会いの中で~」日本文教出版 2018年
  • 展覧会図録「美しい驚き・泉谷淑夫の世界」池田20世紀美術館 2019年

参考資料

  • 「広場の造形 美しい驚き 泉谷淑夫の万華 鏡世界」芸術:大阪芸術大学紀要(43),2026,p.55-82

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