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博士学位論文の適切な作成指針について

平成29年6月8日
横浜国立大学

 

横浜国立大学(YNU)は、学位規則(昭和28年文部省令第9号)第9条に基づき、博士の学位を授与された日から1年以内に、その博士学位論文の全文を「横浜国立大学学術情報リポジトリ」から原則としてインターネット公表し、日本のみならず全世界に公開しています。
本学における研究活動は、「横浜国立大学における研究活動行動規範(平成19年2月22日制定)」及び「国立大学法人横浜国立大学における公正な研究活動の確保等に関する規則(平成19年2月22日規則第8号)」に則って実施することになります。また、政府においては、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部科学大臣決定)」を公表し、大学教員・研究者自身の規律や科学コミュニティの自律を基本としながらも、大学が責任を持って研究活動における不正行為への対応等に実効ある取組を強く求めています。
本指針は、このような社会の流れにおいて、本学大学院生が博士学位論文を執筆し提出するに際し、特に留意すべき点をまとめたものです。なお、大学院生が所属する学府又は研究科において、固有の留意すべき点がある場合は、別に提示されますので必ず確認してください。
 (公正な研究活動の確保)別カテゴリーへ移動します
 (横浜国立大学学術情報リポジトリ)新しいウインドウが開きます

  1. 大学院生の研究者倫理(科学者の行動規範)について
    本学大学院は、大学教員・研究者のみならず、大学院生に対し研究者倫理(行動規範)を徹底させ、専攻分野の特性に応じた研究者倫理(行動規範)の知識と技術の獲得を強く求めています。特に博士学位論文は、本学の「学術情報リポジトリ」によりインターネット公表が原則であるため、著作権法(昭和45年法律48号)等の法令遵守が不可欠となります。
    本学研究推進機構(研究戦略推進部門研究支援室)発行の研究倫理パンフレット「研究の心得」や日本学術振興会(JSPS)発行の「科学の健全な発展のために-誠実な科学者の心得-」を確実に理解するとともに、著作権法の確認には、本学研究推進部発行の「著作権ガイド」や文化庁、公益社団法人著作権情報センター(CRIC)のWeb等を参考にしてください。
    また、共同研究者や関係出版者の属する国の法令にも留意してください。
    (研究倫理教育冊子(研究の心得・研究者の作法))別カテゴリーへ移動します
    (JSPS)新しいウインドウが開きます
    (著作権ガイド)PDFファイルが開きます
    (文化庁)新しいウインドウが開きます
    (CRIC)新しいウインドウが開きます
  2. 適正な引用について
    著作権法第32条(引用)は、“公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない” と定めています。
    公表された他人の著作物(文章、図表、写真等)を著作権者の許諾なしに、博士学位論文に「引用」して利用することは可能ですが、「公正な慣行」に合致し、研究その他の引用の目的上「正当な範囲」内であると著作権者の利益を不当に害さないよう引用の条件を厳密に定めています。また、引用に当たっては、著作権法第48条により「出所の明示」が必要となります。
    1. 公正な慣行
      「公正な慣行」に合致するとは、例えば、引用を行う「必然性」があることや,言語の著作物については「引用部分」が明確に識別(カギ括弧など引用符で囲うことやフォントを斜体にするなど)されていることが考えられます。
    2. 正当な範囲
      「正当な範囲」内で他人の著作物を自分の著作物の中に「引用」するとは、例えば、引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であり、博士学位論文が「主」、引用された著作物が「従」の関係にあることが考えられます。
      また、引用できる文章や図表の分量は、著作権法上の定めはありませんが、他人の著作物を引用する必然性があり、引用される分量が必要最小限度の範囲内であることが必要と考えられます。なお、専門分野や学術雑誌によっては、1 編の学術論文から引用できる図表や文章の具体的な分量の上限が指針として示されていることがあります。
    3. 出所の明示
      「出所の明示」とは、出典の文献情報を明記することであり、著者、論文タイトル、雑誌名、巻、号、ページ、出版年、DOI(Digital Object Identifier)情報など、それぞれの専攻分野の学術コミュニティにおける慣行に従ってください。
    4. 剽窃検出ツールの活用
      本学大学院では、学術論文等剽窃検出のためのソフトウエアiThenticate(アイセンティケイト)などを用いて、博士学位論文における適正な引用の確認を行う場合があります。大学院生の所属する学府又は研究科の指示に従ってください。
  3. 二重投稿やオーサーシップ(authorship)の取扱について
    二重投稿は、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部科学大臣決定)」において、“科学への信頼を致命的に傷つける「捏造、改ざん及び盗用」とは異なるものの、論文及び学術誌の原著性を損ない、論文の著作権の帰属に関する問題や研究実績の不当な水増しにもつながり得る研究者倫理に反する行為として、多くの学協会や学術誌の投稿規程等において禁止されている”と指摘しています。
    本学大学院生が博士学位論文を執筆し提出するに際し、学術誌等で既に出版された論文に基づき博士学位論文を構成しようとする場合、当該学術誌のポリシー表明があれば留意するとともに、博士学位論文の著者であっても、当該学術誌のポリシーに反して本学「学術情報リポジトリ」で公開ができないなど、大学院生の所属する学府又は研究科の指示に従ってください。
    また、学術誌等で既に出版された論文に基づき博士学位論文を構成し、当該論文に共著者がいる場合、①博士学位論文に構成すること、②本学「学術情報リポジトリ」上で公開することについて事前に共著者の了解が必要となります。共同研究者や共同作業者との成果を博士学位論文に構成する場合も同様となります。
    なお、主要な学術誌については、次の公開データベースで検索することができます。また、これらデータベースに登録されていない場合、当該出版者に直接照会する必要があります。
    (JPCOAR)新しいウインドウが開きます
    (海外出版社SHERPA/RoMEO)新しいウインドウが開きます
  4. 発明等の取扱について
    本学大学院生が博士学位論文を執筆し提出するに際し、その博士学位論文に発明等の内容が含まれる場合は、博士学位論文の公知前に特許等知的財産権の出願ができるよう事前に大学院生の所属学府又は研究科、必要に応じて本学研究推進機構(産学官連携推進部門知的財産支援室)に発明の届け出をする必要があります。
    特に、博士学位論文の審査が公開で行われる場合は留意が必要となります。
    (知的財産の手続き)新しいウインドウが開きます
  5. 学術情報リポジトリ公開の留保について
    博士学位論文のインターネット公表については、学位規則(昭和28年文部省令第9号)において、やむを得ない事由がある場合は大学の承認を受けて、当該博士学位論文の全文に代えてその内容を要約したものを公表することができます。やむを得ない事由とは、次に掲げる博士学位論文その他大学院生が所属する学府又は研究科教授会において承認された場合となりますので、必ず公開を留保する手続きを行う必要があります。
    1. 博士学位論文が立体形状による表現を含む等の理由により、インターネットの利用により公表することができない内容を含む場合
    2. 博士学位論文が著作権保護、個人情報保護等の理由により、博士の学位を授与された日から1年を超えてインターネットの利用により公表することができない内容を含む場合
    3. 出版刊行、多重公表を禁止する学術誌への掲載、特許の申請等との関係で、インターネットの利用による博士学位論文の全文の公表により博士の学位を授与された者にとって明らかに不利益が博士の学位を授与された日から1年を超えて生じる場合
    4. その他大学院生が所属する学府又は研究科教授会でやむを得ないと承認された場合
    5. なお、博士学位論文の公開の留保が承認された場合であっても、全文に代えてその博士学位論文の要約を公表するとともに、当該博士学位論文の全文を求めに応じて閲覧(本学及び国立国会図書館)に供することになります。
      また、やむを得ない事由が消滅した場合は、博士学位論文の全文を本学「学術情報リポジトリ」からインターネット公表となり、大学院修了後にあっても申し出る必要があります。
  6. 社会的責任の自覚
    日本学術会議「科学者の行動規範-平成25年1月25日改訂版-」では、“科学者は、自らの研究の成果が、科学者自身の意図に反して、破壊的行為に悪用される可能性もあることを認識し、研究の実施、成果の公表にあたっては、社会に許容される適切な手段と方法を選択する(第6項)。”とし、科学研究の利用の両義性を声明として公表しており、科学者の社会的責任の自覚が必要となります。

(担当:学務・国際戦略部教育企画課)


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