1. YNU
  2. ニュース&インフォメーション
  3. 学生広報サポーターが教育人間科学部美術専攻 卒業制作展を取材しました

学生広報サポーターが教育人間科学部美術専攻 卒業制作展を取材しました

2月17日、横浜市民ギャラリーにて開催されている教育人間科学部学校教育課程美術専攻学生10名による卒業制作展を、学生広報サポーターが取材しました。

赤木範陸教授に今回の卒業制作展についてお話を伺いました。

―今年の卒業制作展の特徴を教えてください。
美術作品は大きく平面と立体に分けられます。今年度は、平面と立体の作品が例年通りの割合で展示されています。近年の特徴として、アニメを題材にしたものやデジタル作品が登場してきています。これまでは手を動かして描く作品が主流でしたが、最近ではPCを使用した作品が増えています。

―教育の現場でも漫画やアニメといった分野は広がっているのですか。
以前に比べて文部科学省の学習指導要領で漫画やアニメの分野は現在削られる方向にあります。しかし、世の中の流れの中で無視できない分野であることは間違いありません。近年、アニメの誕生により平面と立体の境目がぼやけてきています。また、現代美術の傾向として場の共有と展示空間全体を体験してもらうことを意図したインスタレーションアートも普及してきています。

―普段美術と触れ合うことの少ない人に鑑賞のポイントを教えてください。
美術には大きく分けて絵画・彫刻・工芸・デザインという4つのカテゴリーがあります。最初はその分類に従って鑑賞することがおすすめです。それを踏まえた上で、全体の中でのそれぞれの作品のあり方に目を向けてみましょう。最後に展示空間の全体像を自分なりに感じてみてください。何か新しい発見があるはずです。気を張らず楽しみながら鑑賞してみてください。

渡辺邦夫教授に今回の卒業制作展についてお話を伺いました

―この卒業制作展を通じて学生に何を学んでもらいたいとお考えですか。
この卒業制作展が一味違っている点は学生が一から企画し開催されていることです。例えば東京藝術大学の卒業制作展では大学の美術館で行われることになっていますが、横浜国立大学の場合、学生が自由に場所を決め、自分達のお金で場所借りて、ポスター作り、OBOGに案内状を送って…、と学生が何から何まで企画して行われています。卒業制作展を企画し開催することを通じて、学生にとっての内省的な勉強となることを期待しています。

―この記事を読まれている方へ、メッセージをお願いします。
この卒業制作展のことを知った人は一人でも多く足を運んで作品を鑑賞していただきたいと思っています。文化作品には実技と鑑賞という2つの楽しみ方がありますが、音楽に比べて美術は鑑賞されることが少ないように思われます。実技が出来なければ鑑賞することも出来ないと思われているのかもしれません。ですが、一枚の絵や彫刻を見て何か考えたり感動したりすることはきっとあるはずです。さらに、作品を話題として人と人が交流するきっかけになることもあるかもしれません。作品は作者にとってのアイデンティティを表現するための手段であると同時に、作者の思い描く自分がしたい、なりたい、こうありたい、という望みをかなえる手段でもあります。どんなものでも、誰かが夢に描かないと実用化されることはありません。作品を見て様々な可能性を感じ取っていただければ、と思っています。

作品紹介

美馬光司さん『モジ×キカガク』(所属:デザインゼミ)

―作品のテーマについて教えて下さい。人間が生活するうえで欠かせない存在である「モジ」。そして、古代から普遍的な美の要素として意識されてきた「キカガク」。この2つの柔軟性と応用性を研究し、文字の形として表現しました。また、直感的に見て楽しめるものを制作することを考え、幾何学的な構成や色使いに気を配りました。


―作品を製作する上で一番苦労したことを教えて下さい。

3年生の時は二次元と三次元の中間について研究していたのですが、それを表現するためのテーマを決めるのに3ヶ月ほどかかりました。当初、他にもいくつか別の案を検討しましたが、他者と共通して理解出来ることを求めた結果、文字をテーマとして扱うことに決めました。また、文字であるからには誰が読んでも分かるものでないといけません。26文字×26種類のデザインを決める上で、デザイン性と両立させるために試行錯誤を繰り返しました。

岩坂駿太郎さん『bonno』(所属:デザインゼミ)

―この作品を作った経緯を教えてください。この作品は人間が誰しも抱える「煩悩」がテーマです。明確な対象を描くのではなく、自分の心に浮かんだものを欲望の赴くまま、好きな時に、好きな場所で絵にしました。PCを使って直感的に線を描きました。また、自分の作品づくりにとってコアになっているカラーを大切にすることを心がけました。


―作品のレイアウトについて教えてください。

この作品には3種類の作品の見せ方があります。一つ目は煩悩の4つのカテゴリーを示した大判の4枚の作品です。自身の煩悩のイメージを108描き、それを4つに分類しました。これがこの4枚です。二つ目は4つの分類から派生した具体的なイメージを描いた24枚の作品です。自分の欲望を一枚一枚描いた108枚の中から24枚を選んで並べました。三つ目は中央に置かれたPCです。作品の制作過程が常時見られるようになっています。3つの見せ方により、自分の制作意図が伝わるように工夫しました。

山内志穂子さん「絵本『このいろなにいろ』〜読み聞かせとワークショップ実践報告〜」
(所属:美術教育ゼミ)

―この制作のテーマを教えて下さい。
絵本は子どもたちが幼い頃から楽しむことが出来る身近な美術です。絵本との関わり方は見ること読むことの他に、他者による読み聞かせがあります。大学3年次での教育実習の読み聞かせ活動の中で、自然と物語に耳を傾けている子どもたちの姿を見て、絵本の読み聞かせの持つ影響力や可能性に興味を持ちました。そこで、「絵本の読み聞かせは、子どもたちの聞き合う力を育てるのではないか。」という想定を元に、美術と教育が結びついたツールとしての絵本を扱うことにしました。
具体的には、絵本『このいろなにいろ』を制作し読み聞かせを行うこと、そして、子どもたちが色を見て想起したイメージや感情から色に名前を付けてそれを発表しあう、というワークショップを開催しました。このワークショップが、子どもたちにとって「伝えること」「聞くこと」という活動のきっかけになることを目指しました。

―ワークショップを行う上で苦労したことを教えて下さい。

「美術教育」である以上、教育としての側面を無視するわけにはいきません。教育として子どもたちにどのようにアプローチすればいいのか悩みました。私が心がけたのは、ある答えを導くために筋道立てて進めるのではなく、子どもたちの自由な発想を活かしてあげるということです。色を見て名前をつける、という活動の中で、「赤」に対して「赤」からかけ離れたような名前を付けたとしても決して否定せずにその理由を聞いてみるようにしました。その中で、想定していなかった考え方やイメージを知ることが出来たのが面白かったです。

下境駿さん『UMA×MAN』

下境駿さん『UMA×MAN』

卒業制作展は2月23日まで行われております。ぜひご来場ください。
詳細は以下のホームページに掲載されています。
「卒業制作展 横浜国立大学教育人間科学部美術科」新しいウィンドウが開きます

木村真理さん『望郷』

(担当:総務部広報・渉外課)


ページの先頭へ

トップページへ

ページの先頭へ