• お問い合わせ
  • アクセス
  • 検索
  • Language
  1. YNU
  2. Headlines
  3. 第3回スポーツ指導者ミーティング開催レポート

第3回スポーツ指導者ミーティング開催レポート

2010年8月21日(土)・22日(日)に「第3回スポーツ指導者ミーティング」を開催しました。

本ミーティングは、「スポーツの原理原則を踏まえた最先端のスポーツの理論と実践について研究することで、指導者の普遍的指導力の向上とスポーツの普及に寄与することを目的としています。また、様々なスポーツの指導者が交流し、スポーツの基本についてディスカッションすることで、相互の情報交換を図れる自然な環境を構築する」という趣旨で開催しています。

今年で3回目になりますが、今回は「東洋と西洋の技術融合」というテーマで2日間8講座を開講しました。

平成22年8月21日(土)


①ヨガで心身を癒す(石川由希子・法政大学非常勤講師)
 トレーニングも鍛錬ばかりでは息が詰まってしまいます。自分を見つめなおす機会が必要です。特に一流のアスリートほど心の中がストレスでいっぱいになっている選手が多いのではないでしょうか。そういった時や、トレーニングの合間にヨガを取り入れてみてはどうかという試みで講習を行いました。まずヨガのポーズと呼吸法についての説明があり、その後実技に入りました。今回の講習ではヨガのCDから流れてくる心地よい音楽に合わせてゆっくり動作をすることで、受講した指導者自身がとても気持ちよさそうに実技を楽しんでいました。思ったよりもハードでしたが、授業の中にも積極的に取り入れていきたいし、また受講したいという反響がありました。

②天然に近いサプリメントMCM(畠山雅彦 株式会社海洋科学研究会)
 2007年の世界陸上競技選手権大会(大阪大会)では、日本の選手が足に痙攣を起こしていました。その原因の1つとしてミネラル不足が考えられました。また病気の予防としても、ミネラルは欠かせません。しかし、サプリメントといっても何をどのような基準で選んだらよいのか、指導者が迷っているのが現状ではないでしょうか。今回の講習会では、特許取得製品を選択の1つの基準として捉えてみました。健康補助食品の中でも病気の治療、予防としてその効果に特許を与えられているものは多くありません。海洋深層水からミネラルを入念な工程で抽出したマリーナクリスタルミネラル(海洋ミネラル成分からなる治療及び/または予防剤・2001年特許取得)は、1.ストレスを緩和させる効果2.免疫に関する働き3.酵素の構成成分4.自律神経を整える。効果があるということでお話がありました。当日試供品も配られましたが、指導者からは、実際に試してみたいという声がありました。

③世界の指導者と指導法(日本陸連強化部跳躍部長・米倉照恭)
 元 棒高跳の日本記録保持者にして澤野大地選手(現 棒高跳日本記録保持者)のコーチでもある米倉照恭氏より講習をしてもらいました。世界陸上競技選手権大会での内容を例に、オーストラリアのコーチ(6m以上の選手を4名育成)、その戦略戦術について話をされました。また他の国のプロコーチの練習での段取りとリアルタイムメモについて、そしてトレーニングでの基本練習の徹底と試合でのアップ方法、プロコーチの育成システムについて等、多岐にわたって話がありました。指導者からは大胆かつ緻密な戦略戦術に感嘆した。そして棒高跳びのコーチからはトレーニングの基本と試合でのアップについては一番聞きたかった内容でした。海外の指導法を参考にしながらも、日本にしかない独自の指導法も確立できればいいなと思いました等のコメントをいただきました。

④リラックスと超速(YNUS理事、日本陸連上級コーチ・籾山隆裕)
まず、このトレーニングに至った経緯について、2人の選手の例を挙げて説明がありました。その内容を抜粋します。「2009年に100走で9秒58の世界記録を出した短距離のウサイン・ボルト選手は、特に加速局面、等速局面では素晴らしい動きをしています。それに対して、1991年、人類史上最大のアスリートと言われたカール・ルイスが東京の世界陸上競技選手権100m走のゴール前20mで他の選手をいとも簡単にあっという間にスルスルッと抜き去り、当時の世界記録9秒87で優勝したシーンは、周りからみていると超速現象と映りました。カール・ルイスの走りの特徴は減速局面で発揮されていることにあります。」今回の講習の発端は、このカール・ルイスの超速シーンを見たことから始まったそうです。そして、日本選手は大事な後半の走りになると硬くなり、特に減速局面で減速する傾向が顕著で、筋力に劣る日本選手には、「加速・等速・減速」ではなく、「加速・等速・超速」を身につけさせたいということから、この技術を具体的にリラックスと動きづくりトレーニングとして体系化して紹介されました。指導者からは、上り坂や下り坂、階段等の環境をうまく利用し、遊び感覚で身につけられるものも多くあり、楽しくトレーニングを継続することで超速を身につけたいという声が寄せられました。

平成22年8月22日(日)


⑤皮膚からみた調整術・西洋編(聖路国際病院皮膚科研究員・百瀬葉子)
 主に皮膚の構造、役割、そして紫外線と疲労との関係、皮膚の手入れの方法、捲き爪等についてのお話がありました。皮膚は臓器の1つですという内容から始まり、皮膚の3層構造の説明、そして皮膚の5つ役割について順序を踏まえて丁寧にお話をされ、とてもわかりやすい内容になりました。また角質層には、菌がうまく共生しているので、サラッと洗い流してあげることが大事であるという説明も斬新でしたし、目の紫外線疲労が全身疲労を引き起こすこともあまり知られていませんでした。保湿クリームについては試供品が配られ、特に女性人に好評でした。そして質問が相次ぎました。質問の一部を紹介します。「紫外線のことを考えるとどの時間帯にトレーニングをしたほうが良いのですか」という質問に対しては、「紫外線のことを考えると早朝か夕方をお勧めします」とのことでした。また「UVカットのシャツも有効なので着用してください」と説明されました。

⑥元気の出る調整術・東洋編(日本体育協会公認上級アスレティックトレーナー・朝日山一男)
 前半は、東洋医学の理論から元気の出る調整術について、「漢方とツボと経絡ストレッチ」の本の内容を中心にお話がありました。経絡(気の流れ)と臓腑との関係については、漢の時代から伝わっているという由来の話から始まり、主な内容としては、東洋医学的の視点から体質について7つのタイプに分けて説明しました。1.気虚タイプ(元気がなく、すぐ疲れるタイプ)2.陽虚タイプ(元気がなく、だるく、冷えるタイプ)3.血虚タイプ(たちくらみ、動悸、不眠、貧血タイプ)4.陰虚タイプ(痩せ型で、肌・髪・唇の乾燥、手足がほてる、不眠タイプ)5.血瘀タイプ(顔色がどす黒い、肌がカサカサ、肩こり、腰痛が出やすいタイプ)6.気帯タイプ(イライラしたり、憂鬱になったり、胸やのどがつっかえた感じがする、お腹がはるタイプ)7.痰濁タイプ(メタボタイプで肥満、むくみ、汗をかきやすいタイプ)。それぞれのタイプに対して効果のあるツボと食事法について具体的に元気の出る方法を説明されました。後半の実技としては、ツボとストレッチを併用させて行いました。胃のツボは足の前面に流れていますので、そこを刺激すると、格段に柔軟性がアップしました。指導者からは、例えば人体のツボであればツボのことだけについてはお話を聞いたことがありましたが、東洋医学的に体質を分類され、それに関連させてツボと食事のことについて話を聞いたのは初めてで、しかもわかりやすかったとコメントをいただきました。

⑦首肩のストレスを取り去る(松浦治療院院長、天満屋長距離トレーナー・松浦浩市)
 第1回のスポーツ指導者ミーティングでは、「背骨をほぐす方法」について説明があり、簡単かつ効果的な方法ということで、受講者から質問が止まらないくらい出ました。そして昨年の第2回では豊富な施術の経験から、腰痛のパターンを5つに分類して再び受講者を圧倒していました。今回の講習では、首と肩に着目して話が進められました。肩甲骨については、主要な筋群に対しての具体的な5つのストレッチの方法と、首に関しては主に前・中・後斜角筋の調整ストレッチ、最後に胸郭のストレッチを行うことで呼吸がしやすくなる方法を紹介しました。指導者からは、深層筋によってストレッチの方法がこれだけ変わるのかと驚かれていました。そして長距離走では、日々実施しなければならないストレッチばかりだと痛感したという声があがりました。

⑧跳躍走をスプリントに生かす(YNUS常任理事、日本陸連上級コーチ、横浜国立大学教育人間科学部准教授・伊藤信之)
 バイオメカニクスの研究では、トップスピードに乗った時には、スピードを上手く処理する為に、接地脚が曲がった状態で接地して、その後離地していること。脚が伸びきった状態では蹴りだしていないことをまず説明されました。そこを中心にして、具体的なトレーニングについて7つの過程を踏まえて順番に実施しました。1.身体に軸を通すこと2.身体の中心から動かすこと3.脚を上から振り下ろして接地すること4.地面の反発をもらうこと5.乗り込むこと6.挟み込むこと7.上半身と下半身をバランス良く動かすこと。指導者からは、楽しく軸づくりができ、段階的な指導法を学ぶことができました。今後スタビライゼーション的な軸づくりをトレーニングの中に組み込んでいきたいというコメントをいただきました。別の視点では、バイオメカニクスのデータの読み方ついても詳しく知りたいと言う指導者もいらっしゃいました。

*今回、全国各地(北海道、茨城、東京、静岡、愛知、岡山、香川、神奈川県)から熱心な指導者が延べ50名以上参加しました。そしてアンケートからは同じ趣旨で今後もスポーツ指導者ミーティングを継続的に開催してほしいという意見が寄せられました。

(担当:YNUスポーツアカデミー)


ページの先頭へ