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デジタルプラットフォーム開発
3回の事業転換。崩壊の危機。
苦しい時期を乗り越えられたのは、
信頼できる仲間と先輩に出会えたからです。
石田 寛成 ・坂本 京士朗(株式会社JapanFuse)
経営学部経営学科
学生起業家インタビュー動画
学内でのビジコン優勝で、
オフィス使用権を獲得。
石田
僕たち株式会社JapanFuseは国際物流における見積査定業務を自動化するクラウドサービス「PortX」の開発・提供を行っています。製造会社や商社等の荷主が輸送手配をする際、トラックや船などの用意で各所に見積もりを取るのですが、送られてくる見積もりの形式が統一されておらず、1つひとつexcelに転記する作業が発生しています。企業にとって大きな業務負荷になっており、これを解決するために「PortX」を開発しました。
坂本
国際物流に注目したのは、大きい市場を対象としたプロダクトを作りたいと思ったからです。大規模だけど、まだデジタル化できていなくて、かつ日本が強い市場ってどこだろうと思ったときに見えてきた場所でした。今JapanFuseは、次なるシリーズ到達を見据え、プロダクト開発や組織拡大に注力しています。「PortX」を通じて日本のスタートアップ企業を代表するような存在になるのが目標です。
石田
起業にむけて具体的に動き出したのは大学2年の夏。そのころ坂本と一緒にいろいろなビジネスコンテストに応募していました。横浜国立大学のビジネスコンテストでは優勝することができ、賞金のほか、登記先として大学の住所を使う権利やYOXOBOX(ヨクゾボックス) という三菱地所さんと大学が提供しているシェアオフィスが無料で使える権利をいただいたんです。法人化して活動する上での基盤ができたことで「ここからスタートしていこう」となりました。
3回の事業転換で、
チームは崩壊寸前に。
坂本
今は「PortX」の開発が主な事業になっていますが、ここまでに3回の事業転換を迫られました。起業した当時はブロックチェーンとSNSをかけ合わせたアプリ開発を行っていて、次がサブスクリプションサービスの開発、3回目が店舗向け在庫清算のマーケットプレイスの立ち上げをしていました。
石田
事業がうまくいかなくなるたびにピボットをしてきたのですが、大きな転換についていけず、去ってしまった仲間もいます。元々は6人の会社でしたが、3回の転換後には自分と坂本の2人だけになっていました。一緒に頑張ろうと約束した仲間が去ってしまうのは、何度経験しても心が削られます。
石田
苦しい時期を乗り越えられたのには、2つ理由があるかなと思っています。1つは坂本の存在。彼は人間性とスキルがどちらも高く、しかもタフ。腹を割って話ができる人が近くにいるのは大きな支えになっていました。もう1つは先輩起業家とのつながりができて、事業相談をしたり、起業家としてマインドセットする機会が持てたことです。横浜国立大学には起業家のエコシステムがあり、教授がハブとなって、起業した先輩方を紹介してくださいました。
坂本
そうした機会を通じて、自分達が起業した理由や、プロダクトを開発することでどんな未来が提供できるのか、会社のビジョンにあたる部分を考え直す時間を設けていました。苦しかったけど、ビジョンがしっかりと固まればやるべきことは見えてくる、というのを実感した時期でもあります。
常に意識を高く持った人たちに囲まれて
自分の感覚も磨かれていく。
石田
まだ振り返るには早い起業家人生ですが、事業というのは失敗することが当たり前で、10回挑戦して1回成功するかどうかのことを2年、3年…5年と続けることができるかどうかも、かなり大切なことだと考えるようになりました。答えのない世界に飛び込んでいくようなものなので、受験勉強のとき以上の大変さ、苦しさがあります。一方で、そういった答えのない世界において、自分自身でどんな価値を生み出していくのかを考えるのが面白いと思える人にはすごく楽しいはずです。
坂本
横国は、人柄がよくて、常に意識を高く持って過ごしている人が集まっている場所です。こういった環境にいると、自分の意識や目標も上に上がっていく感覚が持てます。同じ意識を持った仲間と出会えるのは、起業家として最もうれしいことの1つ。横国でそういった人たちと出会えるのを、とても楽しみにしています。
2022年2月