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【プレスリリース】完全な情報セキュリティを保証する量子通信 グローバル化に必要な技術開発に成功!

【プレスリリース】完全な情報セキュリティを保証する量子通信 グローバル化に必要な技術開発に成功!

横浜国立大学大学院工学研究院の堀切智之准教授は、米国スタンフォード大学の山本喜久名誉教授(現内閣府ImPACTプログラムマネージャー)グループLeo Yu博士、Chandra Natarajan博士らとともに、国立情報学研究所、ドイツWürzburg大学などと共同研究を行い、完全な情報セキュリティを保証する量子通信[注1、2]長距離化に必須な中継器[注3]要素技術の開発に成功しました。

物理学では、光子と光子、あるいは光子と原子などが特殊な量子相関関係をもつエンタングルメント[注4]と呼ばれる現象があります。これを通信に用いると、送信者と受信者間の信号が完全な相関を持ち(つまり情報を送れる)、万一盗聴された場合もきちんと検知できるため、量子通信は完全なセキュリティを示します。
今回の成果は、量子メモリー[注5]物質と量子相関した光を発生させ、光ファイバー通信に適する通信波長へ変換することにノイズ極小で成功しました。さらに波長変換用レーザーの波長調整により、長距離光ファイバー伝送後も他の独立光源との高い干渉性を持たせることにも世界で初めて成功しました。これは将来長距離量子通信の構成要素となる中継技術開発に相当する成果です。
本研究成果は、2015年11月24日(日本時間)発行のネイチャー・パブリッシング・グループの学術誌「Nature Communications」に掲載されます。

<用語解説>
[注1] 量子
 光の最小単位である光子や、物質を構成する原子・電子などは量子である。波と粒子双方の性質を併せ持ち、量子通信においては、主に光が通信路(光ファイバーなど)伝送に用いられ、電子がメモリーとして用いられる。

[注2] 量子通信
単一光子やエンタングルメント光子対などの量子を利用することで、安全な暗号通信が可能となる通信方式。

[注3] 量子中継
量子通信の長距離化には、中継技術が必要となる。量子通信に必要な光は大変微弱であり、光ファイバーで送っても、距離とともに届く確率が指数関数的に減衰するからである。このため、例えば中継なしに1000km遠方に届けるのは絶望的になる。そこで、光ファイバー伝送は短い距離に区切って行い、量子メモリー物質への保存などの技術をもちいて距離延長を行う中継技術が研究されている。

[注4] エンタングルメント
量子もつれともよばれる、多体間の量子力学的な相関。例えば2つの物体A,Bを、離れた2地点にいるユーザー1と2に片方ずつ配分した場合、ユーザー1がAを受け取れば、ユーザー2はBを受け取ったとわかる。これだけなら古典的な相関である。
しかし、例えばエンタングルメント2光子があり、ユーザー1と2に分配した場合、ユーザー1が偏光板を通して出てきた光子を観察した結果水平偏光であるならば、ユーザー2が同様に偏光板を通した場合も水平偏光である。これは上の古典相関と同じであるが、加えて、彼らが円偏光状態を見た時も完全に相関が現れる。つまりもしユーザー1が、やってきた光子が左回り円偏光か、右回り円偏光かを測り、その結果右とわかった場合、同様に円偏光の測定をしたユーザー2も右と100%の確率で結果を得る。
つまり、水平偏光で見ても円偏光でみても完全な相関がユーザー1と2の測定結果には現れるのがエンタングルメントの代表的な性質である。
 このエンタングルメントを短距離間で生成し、段々と距離を伸ばしていくのが量子中継の代表的な手法である。

[注5] 量子メモリー
 伝送された光子の状態を物質中の状態に置き換え、長時間保存するためのもの。量子メモリーには色々あるが、本研究ではインジウムヒ素によって作成された量子ドットを用いている。


詳しくは、詳細資料をご覧ください。

問い合わせ担当先

横浜国立大学 工学研究院 准教授 堀切智之 045-339-3356
メールアドレス:horikiriynu.ac.jp

(担当:総務部広報・渉外課)


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