【プレスリリース】世界初、ダイヤ中でエラー耐性量子演算処理に成功
【プレスリリース】世界初、ダイヤ中でエラー耐性量子演算処理に成功
~室温万能量子コンピューターに道~
JST 戦略的創造研究推進事業において、横浜国立大学の小坂 英男 教授、同 大学院工学府 博士課程の長田 昂大 大学院生(前期2年)、倉見谷 航洋 大学院生(後期1年)は、ダイヤモンド中の窒素空孔中心(NV中心)にある電子や核子のスピンを量子ビットとして用い、室温の完全無磁場下で、操作エラーや環境ノイズに耐性を持ち自在に多量子操作ができる万能な量子ゲート操作に世界で初めて成功しました。幾何学性を利用することにより、従来必要であったエラー訂正が不要で任意の精度の量子操作が可能となります。幾何学量子ビットと名付けたこの独自の量子ビットのホロノミック量子ゲート操作により、エラー耐性を持ち、より高速で高精度な演算が可能になります。
量子コンピューターや量子暗号通信の実現には量子ビットの脆弱性の克服が課題でしたが、ダイヤモンド中のNV中心に存在するスピン量子ビットは、操作の正確性や情報保持時間の観点で有望視されていました。本研究では、これまでの量子ビットとは異なり、エネルギー差がない2つのスピン状態を量子ビットとして用いた独自の量子ゲート操作技術を開発しました。
本成果は、室温で動作する万能量子コンピューターや量子シミュレーター、これらを量子暗号通信でネットワーク接続するために不可欠な量子中継や量子センシング、量子計測、IoTセキュリティーデバイスなど、あらゆる量子情報素子の実現へ道を拓くと期待されます。
本研究成果は、2018年8月13日(英国時間)に「Nature Communications」のオンライン版で公開されます。
詳しくは、詳細資料をご覧ください。
問い合わせ担当先
工学研究院 教授 小坂 英男 TEL:045-339-4196
メールアドレス:kosakaynu.ac.jp
(担当:総務部広報・渉外課)