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“ 横浜国立大学が取り組む新型コロナウイルスに係る研究事例について ”

 新型コロナウィルス感染症が世界的に流行する中で、先行きの見えない不安定な状況が続いています。引き続き新型コロナウィルスにかかわる治療薬・ワクチン等の開発など防疫や医学的な対応が最優先に求められることは間違いありませんが、それに加えて、社会・経済・文化のあり方や流行収束後の再構築プロセスまでを見据えた学術を発展させることが重要です。
 横浜国立大学は「実践的学術」を希求する研究大学として、人文学・社会科学・理工学の観点からこれまでに蓄積してきた研究資源を活用し、新型コロナウィルス感染症をめぐる現在進行形の諸問題、そして将来の社会課題への対応を志向した研究活動を開始しています。大学の知を今こそ社会に還元していけるよう、引き続き努力して参りますので、改めてご支援・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

- 横浜国立大学 学長 長谷部勇一

“新たな生活様式を支えるモビリティシステムの提案と実証”

路線バスの感染リスクを低減する車内混雑度可視化システムの実証と、新たな需要形態に対応したバス経営モデルの分析を行い、それらの成果を月例のウェビナーで発信する。

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- 都市イノベーション研究院 中村文彦

【活動概要】

【1】路線バスの感染リスクを低減する車内混雑度可視化システムの実証実験

 COVID-19等の感染リスクの拡大時には、日常生活において個々人がいわゆる三密(密閉・密集・密接)の回避に努める必要がある。そのような状況において、特に大都市圏で求められるのが、必要な移動を安心安全に提供する公共交通サービスの実現である。公共交通手段の中でも三密になりやすいのが多需要路線のバスであり、横浜駅西口から本学や釜台方面に向かう相鉄バス「浜10」「浜11」系統などがこれに該当する。浜11系統については、本学の学生や教職員だけでなく、専門学校生や病院利用者など、多様な年代の利用者が混乗するため、窓を解放できない雨天時などは特に感染のリスクが高くなる。そこで、バス車内混雑度の可視化実験を行い、本学の学生・教職員や他のバス利用者の行動変更誘発効果、その結果としての路線バスの乗車密度低減効果通勤通学時間の分散効果を検証する。
 具体的にはNEC製のWi-Fiセンサー(図1)を用いてバス車内の人数や混雑度をリアルタイムに推定し、バスの現在位置と混雑レベルをアプリで可視化する。Wi-Fiセンサーで計測されるのは、携帯電話などWi-Fi通信機能をONにしている端末の秘匿化された端末識別番号であり、その計数に特殊なアルゴリズムを適用して実乗車人数を算定し、それをLTE通信でサーバーに送信・蓄積する。一方、アプリは、本拠点が2017年に開発した国内初の事業者統合型バス運行情報提供アプリである「YNUナビ(図2)」を改修し、混雑レベル表示機能を実装する。

図1 Wi-Fiセンサー

図2 YNUナビ(本拠点が開発)


【2】新たな需要形態に対応したバス経営モデルの分析

 COVID-19禍への全世界的な緊急対応の過程で、テレワークやオンライン会議、遠隔授業など、日常生活におけるニーズ充足手段の選択肢が急拡大した。これにより、総量としての通勤通学需要の減少と、同移動需要の時間的・空間的な分散が進展すると予想され、朝夕ピーク時の均質で安定した高密度な移動需要を前提に構築されてきた公共交通サービスの経営モデルについても、そのあり方を見直す時期にある。そこで、在宅勤務、自宅近傍勤務、時差出勤、混雑忌避といった新たな移動需要の実現パターンを複数設定し、運賃収入、運行経費、資産維持管理費といった収益構造の分析を通じて、With COVID-19時代のバス経営モデルを定量的に評価する。


【3】都市交通の未来を探る月例ウェビナー

 自動運転やMaaS(Mobility as a Service)など、都市交通分野の最先端の動きに関わる専門家をゲストとして招き、【1】【2】を含む本拠点の活動成果報告をインプット情報として、With COVID-19時代の都市の課題や目指すべきビジョン、ビジョンの実現に貢献する交通システムのあり方について、参加者を交えて多角的に議論する。聞き手は拠点長の中村が務める。本拠点の活動に対する社会的な認知を広め、様々なステークホルダーを継続的に引き付けるため、毎月の開催を基本とする。当面はウェビナー形式で実施し、終了後には講演資料や議論の様子を、本拠点のホームページに動画で公開する。

表1 本拠点によるセミナー開催実績

“研究機関の統合危機管理ガイドラインの社会実装”

本学から発行した研究機関の危機管理ガイドラインは、今回のコロナ禍においても危機管理の指針として活用されている。本課題では、アフターコロナに向けたリスクマネジメントの在り方を提言する。

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- 先端科学高等研究院 澁谷忠弘

【活動概要】

 当該活動については、以下に示すリスク共生社会創造センターのウェブページに詳細がございますので、こちらをご覧ください。

※クリックすると上記サイトが開きます

“フォトニクス技術に基づく新型コロナウイルス検知センサの開発”

シリコンフォトニクス技術を用いた新型コロナウイルス検出素子の開発を目指します。本素子により、従来のPCR法等と比較して簡易、迅速なかつ高感度なウィルス検出が可能となることが期待できます。

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- 工学研究院 荒川太郎

【活動概要】

 これまで光通信技術に用いられてきたシリコンフォトニクス技術を新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検出素子に応用します。 関東学院大学・石坂雄平准教授の研究グループと共同研究として、シリコン微小リング共振器を用いた検出素子の設計、試作を行い、検出素子の実現することを目標としています。 ウイルス検出部には、研究協力者の横浜市立大学・梁明秀教授の研究グループで開発されたSARS-CoV-2を特異的に検出できるモノクローナル抗体を用いることを目指し、その動作実証を行います。

※クリックで拡大

“人と共に進化する次世代人工知能によって「信頼できる未病対策」を実現する”

血液中に約2,500種存在するマイクロRNAと疾病との関係を独自のAI技術によって明らかにし、健康状態の把握と将来の変動を予測する未病対策によって「大病にならずに済む近未来健康社会の実現」を目指す研究を行なっています。

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- 環境情報研究院 長尾智晴

【活動概要】

 人工知能の産業・社会への導入を推進するためには、人と機械が互いの知能を高め合うことができる「説明できるAI」(XAI: explainable AI)が必須です。 我々は進化計算の技術をもとにそれらを実現する「進化的機械知能」(EMI: Evolutional Machine Intelligence)(下図)の研究開発を行なっています。 昨年度の先導研究に引き続き、本年度採択された経済産業省NEDO「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」の受託研究(本学でのプレスリリースはこちら)では、次に示す項目の研究開発を行なっています。
  • 次世代人工知能基盤技術「人と共に進化する進化的機械知能(EMI)」の開発。
  • EMIを産業界・社会で利用してもらうための産業応用基盤技術(APIなど)の開発。
  • EMIのヘルスケア・製造業・サービス業などの分野での産業応用・ビジネス化。

 まず最初に手掛けるヘルスケア分野では、東京医科大学・キユーピー(株)とともに、血液中のマイクロRNAと疾病との関係を明らかにすることによって病気になるリスクと健康状態の将来変動を予測するXAI技術を開発中であり、 これまでに深層回路を線形回路に変換して説明する技術など複数の特許を出願しました。本技術は様々な対象・分野に適用できるXAI基盤技術であり、新型コロナウィルスなどへ人工知能を応用する際にも貢献できる技術として大いに期待されています。今後の研究成果にご期待下さい。

〇「進化的機械知能」(EMI: Evolutional Machine Intelligence)※クリックで拡大

“ 遠隔操作ロボット技術のオンライン医療への応用 ”

将来に向けた医療技術開発の一環として、遠隔操作ロボット技術を援用した遠隔手術や遠隔触診といったオンライン医療に関する研究を進めています。

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- 工学研究院 下野誠通

【活動概要】

 神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)実用化実証事業「次世代医療福祉ロボット」グループのグループリーダーとして、本学、KISTEC、慶應義塾大学などとの地域連携研究を推進し、未来医療ロボット技術に関する医工融合研究を行っています。
 特に、鋭敏な力触覚の伝送機能を備えた遠隔手術ロボットや、遠隔触診を実現する超音波プローブ装置など様々な医療機器の試作開発を医学者と協働して行っております。今後は社会実装に向けた実証研究を推進すると共に、これまでの研究実績を基に感染症対策技術への応用にも展開していきます。

リアルハプティクスによる力触覚伝送を有する遠隔PCR検体採取システムの開発
【2020年9月10日 プレスリリース】 【動画URL】

“ 新型コロナウイルスの感染についてのシミュレーション ”

外来生物としての新型コロナウィルス感染症の、地理的な分布拡大と感染の状況を予測するシミュレーションを行い、結果をウェブサイトで発信しています。

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- 環境情報研究院 小池文人

【活動概要】

 新型コロナウイルスの感染についてのシミュレーション結果をウェブサイトで発信しています。
外来生物の分布拡大予報

“ 植物を利用したワクチン等の高効率生産 ”

将来の技術応用に向けて、植物を利用したワクチン等の高効率生産に関する研究や、発光レポーターを利用した高感度検出方法に関する研究を進めています。

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- 環境情報研究院 平塚和之

【活動概要】

 本学の受託研究で、これまでの経済産業省およびNEDOプロジェクトの研究成果として

  1. ① 植物を利用したワクチン等の高効率生産に関する研究:特許第 6652763 号「害虫防除剤、害虫の防除方法、形質転換効率促進剤、及び 形質転換効率促進方法」令和 2 年 1 月 28 日登録。

    ①の研究成果を利用して、近年実用化が進められている植物を利用したワクチン生産の効率を向上させる技術に繋げます。


  2. ② 発光レポーターを利用した高感度検出方法に関する研究内容:特許第 6579539号「光識別方法、物質の検出方法、レポーターアッセイ方法、キ ット、ルシフェリンールシフェラーゼ反応阻害剤、その他別紙記載」令和 1 年 9 月6日登録。

    ②の研究成果は極めて高感度な病原体等の検出に応用されることが期待されています。

“ 文化施設と市民を結び付けるバーチャル型サポートの提言・実施 ”

演奏会の実施が困難になっている音楽施設等と協働し、メッセージや動画の配信プロジェクトを提言・実施しています。

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- 都市イノベーション研究院 小宮正安

【活動概要】

 福井県立音楽堂(ハーモニーホールふくい)や、大宮のソニックシティの公式ホームぺージ上で、中止や延期を余儀なくされている演奏会に代わり、新たな情報発信のあり方を実践しています。例えば福井県立音楽堂では、5月から、「ようこそベートーヴェン」というシリーズを立ち上げました。

 週に1回のペースで、エッセイや動画等を掲載しつつ、利用者との交流の一環としてQ&Aコーナーも設け、演奏会が困難になる中でのベートーヴェン生誕250周年企画を実施しています。
ハーモニーホールふくい「ようこそベートーヴェン」

“ 音楽文化の現状調査と新しい実践の事例収集 ”

「新型コロナウイルスと音楽産業JASPM緊急調査プロジェクト2020」に関わっています。また「ポストコロナ時代の音楽実践の事例収集」という関連プロジェクトを立ち上げました。

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- 都市イノベーション研究院 中川克志

【活動概要】

 関連研究者が日本ポピュラー音楽学会と連携して推進している「新型コロナウイルスと音楽産業JASPM緊急調査プロジェクト2020」という調査プロジェクトに関わっています。コロナ禍と日本政府の政策とが日本の(ポピュラー)音楽文化に与える影響を質的・量的に調査することを目指し、音楽関連業種の人々(ミュージシャン、PA、ライブハウス経営者等々)や音楽愛好家に質的・量的調査を行い、その成果を随時報告しています。
covid19.jaspm.jp/

 また、このプロジェクトにも関連して、コロナ禍のなかで試みられている様々な(アヴァンギャルド/アンダーグランドな)音楽実践の事例収集プロジェクトを進めています。こちらの調査成果の報告プラットフォームは準備中です。

“ 新型コロナウィルスをめぐる法政策にかかわる ”

中央社会保険医療協議会で新型コロナウィルス感染症に伴う医療保険制度の対応を協議し、YNU成熟社会コンソーシアムで年齢差別などニューノーマルな社会について研究しています。

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- 国際社会科学研究院 関ふ佐子

【活動概要】

 中央社会保険医療協議会では、公益委員として新型コロナウィルス感染症に伴う医療保険制度の対応を協議しており、例えば、レムデシビルの医療保険上の取扱いなどを検討しました。中医協の協議内容については、次のウェブサイトをご参照ください。
中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)

 新型コロナウィルス感染症は、もっともか弱いバルネラブル(脆弱)な人たちを苦境に立たせています。例えば、高齢者については、介護を受けられる環境を失い、とりわけ海外においては高齢者関連施設が多くの死者を出しているのみならず、人工呼吸器を装着する順番が年齢により決められました。
 主宰するYNU成熟社会コンソーシアムでは、withコロナ時代、ニューノーマルな社会において、年齢差別のない社会、障がい者といったバルネラブルな人たちをめぐる課題、テレワークといった新しい働き方、採用のあり方などについて、様々な研究者とともに研究しています。
 YNU成熟社会コンソーシアムとは、横浜国大を中心に文系・理系を問わず多様な研究者が集まり、成熟社会をめぐる課題について文理融合研究をする集まりです。
 

Involvement in policy making concerning COVID-19.
At the Central Social Insurance Medical Council, as a public interest member, I am involved in the discussion concerning the way to deal with COVID-19 in the National Health Insurance system.

At the YNU Seijyuku Society Consortium, we discuss the society with COVID-19 and post-pandemic New Normal society. Integrated scholars of arts and sciences of YNU discuss age discrimination, issues concerning most vulnerable people such as disabled persons, the new way to work such as remote work and so on.
The Japanese term "Seijyuku" society means mature society, the next society that is diversified and integrated.
COVID-19 put vulnerable people into difficult situations. For example, the elderly not only are at higher risk for developing more serious complications from COVID-19, they are at risk of losing their lives in nursing homes in some countries. They also lost care environments at home and facilities. Moreover, some countries have prioritized younger over older patients in using intensive care unit beds, ventilators and other medicines. Not only their underlying illnesses, but age became the indicator in prioritizing the use of medical resources. Even when there could be an 80 year old who could live 10 or 20 more years, and an 50 year old who could not live for 10 more years. The age-related rationing discriminates against the elderly only because they are old. Lots of underlying problems became clearer with the COVID-19 pandemic and YNU Seijyuku Society Consortium discuss about these issues.

“ 分枝過程(Branching Process)に対する停止時刻を用いた統計的検定 ”

ウィルス感染の基本モデルである分枝過程(Branching Process)の基本再生産数に関して停止時刻を用いる統計的検定(逐次検定)の研究を京都大学経済研究所等と共同で実施しています。

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- 国際社会科学研究院 永井圭二



【活動概要】

 感染症疫学で重要な役割をはたす分枝過程(Branching Process)に対して、停止時刻をもちいた統計的検定(逐次検定と呼ばれる)を研究しています。
 ビッグデータの観測がオンラインで行われる今日、様々な情報量を用いて、早期意思決定が可能となっています。この研究では、分枝過程に対しフィッシャー情報量(Fisher information)に基づいた停止時刻を用い、充分な情報が蓄積された時点で意思決定を行います。特に、基本再生産数(一人の感染者が新たに生み出す感染者の期待値)が1以上か、1未満かの検定に関して停止時刻を用いる統計的逐次検定の研究を行っています。この研究の出発点は、経済時系列の単位根の逐次検定で、われわれは2019年8月にクアラルンプールで行われた統計学分野における世界最大のコンファレンス62nd ISI World Statistics Congress で単位根の逐次検定に対して新しい数理統計学的手法を提唱しました。その後、コロナウイルスの問題が生じた時点から集中的な研究をおこない、分枝過程の基本再生産数に関する検定に対しても 我々の数理統計学的手法が適用できることを確認しました。
 ウィルス感染の確率モデルとしての分枝過程は、国境閉鎖して海外からの感染者の移入がないモデル(移民項のないモデル)と、国境開いているとき海外からの感染者の移入があるモデル(移民項のあるモデル)に分けられますが、我々の手法はどちらのモデルにも適用できるものです。

Sequential test for the criticality of branching processes
Abstract

Due to great demand for statistical procedures to monitor the COVID19 pandemic, we consider sequential tests for the criticality of branching processes with and without immigration. Using stopping times based on the observed Fisher information, we propose three sequential tests, a locally most powerful test, a test giving quick alarm, and a test combining the two tests. We derive asymptotic properties of three tests using Bessel processes and Bessel bridges.
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国立大学法人横浜国立大学
産学・地域連携課 産学連携係
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TEL:045-339-4447 FAX:045-339-4387
E-mail : sangaku.sangaku(アットマークを記入してください)ynu.ac.jp