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T2K実験、ニュートリノ「CP位相角」を大きく制限 -ネイチャー誌で発表 -


 本学の南野彰宏准教授(大学院工学研究院知的構造の創生部門)らが参加する T2K実験国際共同研究グループは、ニュートリノが空間を伝わるうちに別の種類のニュートリノに変化するニュートリノ振動という現象において「粒子と反粒子の振る舞いの違い」の大きさを決める量に、世界で初めて制限を与えることに成功しました。

 CP位相角と呼ばれるこの量は、ニュートリノの基本的性質を示す量の一つであり、理論的には -180度から 180度の値を取り得ますが、これまで全く値がわかっていませんでした。今回の結果では、CP位相角の取り得る値の範囲の半分近くを 99.7%( 3シグマ)の信頼度で排除することに成功しました(図1)。ニュートリノについての未解明の問題の一つである、粒子と反粒子が異なる振る舞いをするかどうかという問題に大きく迫る成果です。

 この研究成果は、総合学術雑誌「ネイチャー」に 4月 16日掲載予定です。詳細については、東京大学宇宙線研究所と高エネルギー加速器研究機構のプレスリリースをご確認ください。

図1: T2K実験のニュートリノ「CP位相角」測定結果
図1: T2K実験のニュートリノ「CP位相角」測定結果

本研究成果のポイント


今後への期待


 T2K実験グループは、前置ニュートリノ検出器を改良して測定精度を高めるとともに、さらにデータを蓄積することで、CP対称性の破れの検証を進めていきます。

 J-PARCでは、より大強度のニュートリノを生成するために、加速器およびニュートリノ実験施設の性能向上に着手しています。さらに次世代の実験として、スーパーカミオカンデの約 10倍の有効体積を持つハイパーカミオカンデ実験が計画されています。

 ハイパーカミオカンデ実験では、増強された J-PARCニュートリノビームを測定することにより、CP対称性の破れの決定的証拠を捉えるとともに CP位相角の精密な測定が可能となります。これらの研究によって、素粒子の性質や、宇宙から反物質が消えた謎の理解が進むことが期待されます。

論文情報

タイトル:Constraint on the Matter-Antimatter Symmetry-Violating Phase in Neutrino Oscillations
著者:K.Abe et al. (T2K Collaboration)
雑誌名:Nature Vol.580, pp.339-344, on April 16, 2020
DOI:10.1038/s41586-020-2177-0

(担当:大学院工学研究院)


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