2018年1月30日（火）、横浜国立大学先端科学高等研究院（IAS）は、「IAS Dissemination Conference－リスク共生学の確立に向けた取り組み－」を開催しました。
当日は、海外招待研究者として、ビルケント大学（トルコ）ProvostのProf. Adnan Akay、中国科学院科学技術戦略諮問研究院シニアフェローのProf. Liu Haibo、United Technologies Research Center（米国）Associate Director of ResearchのProf. Y. (John) F. Khalilの3名を迎えました。

午前の部では、本学高等研究院長の長谷部勇一学長の開会挨拶、伊藤洋一文部科学省文部科学審議官による来賓挨拶、野口和彦リスク共生社会創造センター長による展望講演「リスク共生社会の構築に向けて」、三宅淳巳副高等研究院長による「IASの研究活動サマリー」の講演を行いました。また、昼食休憩中のポスターセッションでは、本学高等研究院に所属する11のユニットより、各研究内容について紹介を行いました。

午後の部では、3名の海外招待研究者による特別講演を実施しました。Prof. Adnan Akayからは、大学に影響を与える政治的、経済的な要素や大学間の競争、世界大学ランキング等を分析しながら、大学が直面する課題について講演がありました。Prof. Liu Haiboからは、中国における知財マネジメントの標準化を含め、知的財産分野のリスクマネジメントについて、人的、構造的、外部環境リスクの面から分析し、リスクマネジメントの考え方を知財分野にどのように応用するかについて講演がありました。Prof. Y. (John) F. Khalilからは、水素エネルギーの安全利用とエミッション・フリー（排出ゼロ）の燃料に関する科学的なフレームワークについて講演がありました。

その後、運営諮問委員と海外招待研究者によって、これまでの本学高等研究院の活動について評価報告を行いました。海外招待研究者からは、午前中のカンファレンスや前日の同研究院の訪問を通じて感じた印象、今後の展望や期待についてコメントがありました。特に、同研究院が進めてきた「リスク共生」という研究トピックや、様々な分野の研究が融合している点を評価する声が挙げられました。

また、運営諮問委員として、理化学研究所の松本 洋一郎理事、日産自動車株式会社久村春芳フェロー、鈴木邦雄前横浜国立大学長・前先端科学高等研究院長が登壇しました。運営諮問委員からは、これまでの研究に対するサマリーとして、産業界との連携や人材育成分野への展開等、今後の同研究院の方針等についてコメントがありました。最後に森下信理事/副学長からは、今後のIASの展望について講演しました。

カンファレンス終了後、意見交換会及びポスターセッションを実施し、カンファレンス参加者と和やかな雰囲気の中で、同研究院に所属する11ある各ユニットの研究内容について議論が交わされました。当日は、150名以上の参加者を集め、本学高等研究院が進めてきた「リスク共生学」という新たな学問領域についての関心の高さが伺えました。意見交換会においても、同研究分野の取り組み内容、研究をより発展させていくために活発な意見交換がされました。