【プレスリリース】先端科学高等研究院と理化学研究所 量子コンピュータ研究センターが連携
【プレスリリース】先端科学高等研究院と理化学研究所 量子コンピュータ研究センターが連携
量子未来社会実現のための研究を加速
国立大学法人横浜国立大学(学長:梅原 出、以下「横浜国立大学」)先端科学高等研究院(研究院長:梅原 出)と国立研究開発法人理化学研究所(理事長:五神 真、以下「理研」)量子コンピュータ研究センター(センター長:中村 泰信)は、2024年7月1日に量子力学の原理に基づく革新的な情報処理技術研究を推進するための連携協定を締結しました。
本協定のもと両機関の強みを最大限に発揮し、量子未来社会実現に向けた実用化研究を加速することを目指します。
量子コンピュータは、創薬、素材科学、金融モデリングなど、従来のコンピュータでは時間がかかりすぎる複雑な計算が必要な分野での応用が期待されています。現在世界中で量子技術に大きな研究開発投資が行われ、新しい成果が技術開発のブレークスルーをもたらそうとしています。
横浜国立大学先端科学高等研究院は、ダイヤモンド中の窒素空孔(NV中心)(注1)を用いた量子インターネット・量子コンピュータにかかわる実証研究や超伝導素子を用いた極低消費エネルギー集積回路の研究で顕著な成果を上げています。理研量子コンピュータ研究センターは、量子コンピュータの実現を目指して、ハードウェアからソフトウェアまで、また基礎科学から応用まで一貫した研究開発に取り組むとともに、国の量子技術イノベーション拠点(注2)の一つである量子コンピューティング開拓拠点の一部として量子技術の可能性を拡げています。また、理研量子コンピュータ研究センターでは、国産超伝導量子コンピュータの初号機「叡」(注3)(注4)を、2023年3月27日に稼働させています。
両機関は、相互の研究施設やノウハウを共有した研究開発や人材交流等を通して双方の強みを最大限発揮し、量子力学の原理に基づく革新的な情報処理技術研究を推進することを目的として連携協定を締結しました。本協定のもと両機関の強みを最大限に発揮し、「経済成長」、「人と環境の調和」、「心豊かな暮らし」の観点で様々な価値の創出が期待される量子未来社会(注5)実現に向けた実用化研究を加速していきます。
注1:ダイヤモンド中の窒素空孔中心(NV中心)とは、ダイヤモンド中の隣接した二つの炭素において、一つの炭素が窒素(N)に、もう一つの炭素が空孔(V)に置換されたものです。NV中心は、電子スピンや核スピンを持ち、これがスピン量子ビットとして用いられます。そのメモリ時間は、最大で1秒を超えるほどで、超伝導量子ビットや半導体量子ドットなどの他の材料に比べて非常に長いことが知られています。
注2:国の量子未来産業創出戦略において、量子技術イノベーション拠点の強化が決定されました。
https://www8.cao.go.jp/cstp/ryoshigijutsu/230414_mirai.pdf
注3:量子コンピュータを利用できる「量子計算クラウドサービス」開始
-国産超伝導量子コンピュータ初号機の公開-
https://www.riken.jp/pr/news/2023/20230324_1/
注4:国産量子コンピュータ初号機の愛称「叡(えい)」に決定
-量子コンピュータ実機開発の第一歩であることを表現-
https://www.riken.jp/pr/news/2023/20231005_1/index.html
注5:内閣府は、量子未来社会ビジョン~量子技術により目指すべき未来社会ビジョンとその実現に向けた戦略~を、2024年4月22日発表しました。
https://www8.cao.go.jp/cstp/ryoshigijutsu/ryoshi_gaiyo_print.pdf
問い合わせ担当先
先端科学高等研究院 量子情報研究センター 川崎、小清水
メールアドレス:ias-imsynu.ac.jp
(担当:リレーション推進課)