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【プレスリリース】都市化や集約的な配置が土壌の多機能性を低下

都市の空き地における生物多様性の役割を解明

本研究のポイント

・人口減少に伴い今後の増加が予測されている「空き地」を対象に、生物多様性(植物や微生物)と生態系がもたらす多様な機能(多機能性)の関係を明らかにしました。
・空き地周辺の都市化の進行や、空き地をまとめて配置する「集約的な配置」が、多機能性を減少させることを明らかにしました。
・一方で、空き地の集約的な配置は、植物種数を増加させることも判明しました。
・人口減少時代において空き地を含めた都市計画を構築する際には、生物多様性の保全と多機能性向上のバランスを図る空間配置が重要であることが示唆されました。

研究概要

 横浜国立大学大学院環境情報研究院の岩知道優樹研究員(現:東京都環境科学研究所)、都市科学部学部生(研究当時)の勝原向日葵、環境情報学府大学院生(研究当時)の前原果歩、筑波大学の冨髙まほろ研究員、同大学総合学術高等研究院の瀬戸健介助教、香港科技大学の潮雅之助理教授、横浜国立大学大学院環境情報研究院・総合学術高等研究院の鏡味麻衣子教授、佐々木雄大教授は、人口減少に伴い今後さらに増加することが予想されている都市部(神奈川県横浜市)の空き地を対象に、生物多様性(植物、真菌、細菌)と生態系の多機能性の関係を評価しました。
 この結果、空き地周辺の都市化率(アスファルトなどの面積率)の増加により土壌の多機能性が失われることを明らかにしました。さらに、空き地の集約的な配置が、植物種数の増加や真菌組成の変化を通して、多機能性の減少をもたらすことを示しました。反対に、空き地における土壌水分量の増加は、多機能性を増加させることを示しました。
これらの結果は、人口減少が進む都市における都市計画においては、増加する空き地を単に集約するだけでは多機能性が減少するため、生物多様性保全と多機能性向上とのバランスを図ることができる空き地の空間配置を模索していくことが求められます。
 本研究成果は、国際科学雑誌「Ecology and Evolution」に掲載されました(2026年1月28日)。

研究成果

 世界的な都市の拡大が世界中の生物多様性に悪影響を与える一方で、日本の多くの都市は「都市の縮退」[用語1]が進み、空き地の増加とその管理が新たな課題となっています。これからの持続可能な都市計画においては、単に空き地を緑地として残すだけでなく、増え続ける「空き地」における生態系が発揮する多様な機能(多機能性)をどう活用するかが重要です。しかし、これまでの研究では空き地が持つ機能の評価に留まっており、空き地を取りまく環境要因、生物多様性、多機能性の関係性については解明されていませんでした。そのため、空き地の多機能性を向上させる効果的な都市計画に資する知見が不足していました。
 本研究では、神奈川県横浜市内の69箇所の空き地を対象に、周辺の都市化率や土壌水分率といった環境要因、植物および微生物を含む生物多様性、そして土壌生態系の各機能(土壌の安定化係数、分解速度、土壌炭素、土壌窒素、水分浸透率)および多機能性を定量化し、構造方程式モデリングを用いて、環境要因による生物多様性の変容が各生態系機能や多機能性(各生態系機能の平均値)に及ぼす影響を評価しました。
その結果、空き地の土壌水分が高いほど多機能性が増加する一方で、周辺の都市化が進行すると多機能性が減少することが明らかになりました。さらに、空き地をまとめて集約的に配置すると、植物の種数は増加するものの、真菌組成の変化により、結果として多機能性が減少することが明らかになりました。
 これまで、未利用地として、その役割や活用方法が見出しにくかった都市の空き地ですが、その空間配置によって空き地が発揮する土壌の多機能性が大きく変わります。そのため、今後の人口減少社会の都市計画においては、空き地をどう空間的にデザインするかを、「生物多様性の保全(集約的配置)」と「多機能性の向上(分散的配置)」という2つの側面から、効果的にバランスをとっていくことが求められます。

図1.本研究の概略図。赤矢印は負の影響を、青矢印は正の影響を表す。
図1.本研究の概略図。赤矢印は負の影響を、青矢印は正の影響を表す。

謝辞

 本研究は、鹿島学術振興財団(2025-general research-19)、日本学術振興会科学研究費(24K23128, 25K02041)およびYNU研究拠点活動支援制度の支援を得て、実施されました。

用語解説

[用語1]
都市の縮退:人口減少や少子高齢化に伴い、空き地や空き家が増加することで、都市化が物理的に小さくなる(縮退)ことを指します。かつての都市計画は「人口が増え、街が拡大する」ことを前提としていましたが、日本や数多くの先進国は、現在、その逆の「縮小」という現実に直面しています。

論文情報

掲載誌 Ecology and Evolution
タイトル Urbanization and Spatial Aggregation Impair Multifunctionality in Urban Vacant Lots
著者 Yuki Iwachido, Himari Katsuhara, Kaho Maehara, Mahoro Tomitaka, Kensuke Seto, Shun Nonaka, Masayuki Ushio, Maiko Kagami, and Takehiro Sasaki
DOI 10.1002/ece3.72995新しいウィンドウが開きます

資料

研究者プロフィール

佐々木 雄大新しいウィンドウが開きます
大学院環境情報研究院 教授

お問い合わせ先

<研究に関すること>
大学院環境情報研究院 教授 佐々木 雄大
メールアドレス: sasaki-takehiro-kw ynu.ac.jp

<報道に関すること>
総務企画部 リレーション推進課
メールアドレス: press ynu.ac.jp

(担当:リレーション推進課)


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