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入学式&卒業式式辞

平成29年度秋季卒業式・修了式 式辞

  本日、平成29年度秋季卒業式・修了式において、学部卒業生42名、大学院修了生48名の方々に学位記をお渡し致しました。皆さんの入学以来の努力に敬意を表すとともに、列席の理事・副学長・監事・部局長をはじめ教職員一同を代表して、心からお祝い申し上げます。 また、ご出席賜りました同窓会のご来賓各位に対しましても、厚く御礼申し上げます。そして、卒業生の皆さんを今まで育ててこられたご家族・関係者の皆様には、本学へのこれまでの多大なご支援に感謝すると共に、お喜び申し上げます。

  さて、本日、卒業という節目の日を迎えるにあたり、本学の理念である「実践性」について改めて考えてもらいたいと思います。おそらく、皆さんも入学以来、本学の特色としてこの実践性という言葉を多く耳にしたことと思います。「実践」は、よく「理論」と対比されますので、まず、理論と実践の関係から整理してみたいと思います。

  基本的な両者の関係は、一般的に次のように整理されます。
・理論は、生きた現実に対する実践、行動、或いは実験によって検証される。
・その結果、理論は正しいか、または、否定、修正される。
・その後修正された理論は、改めて実践によって検証される。

  このように、理論と実践は往復運動という関係にある、ということです。これに加えて、私は次の二つのことも強調したいと思います。
  第一は、実践の結果だけに注目し、成果が出れば良し、というような実用主義に陥ってはならない、ということです。実践の結果を理論から解明する事で、理論が発展します。問題の本質に迫るための理論的探求を軽視していけない、ということです。
  第二は、「生きた現実」という言葉には、現実は変化するものであることが含まれており、時代の変化を見極める態度も重要である、ということです。特に21世紀にはいって、新興国・途上国の急速な経済成長と人口増大に伴う環境問題、エネルギー問題、格差問題など、持続可能性に係わる諸課題、いわゆるSDGs(Sustainable Development Goals)がクローズアップされています。このSDGsに貢献するよう理論と実践を発展させることが重要だと思います。

  皆さんは、今日まで、それぞれの専門分野における理論を身につけてきました。大学で得た理論は、実社会でそのまま通用することはめったにありません。では、そこで通用するためには、どうすれば良いでしょうか。
  まずは、現実社会の課題に対して正面から取り組む勇気や創造性が必要です。たとえば、従来のコンピュータの計算速度を大幅に超える量子コンピュータが近い将来登場すると、ビットコインなど仮想通貨に使用されている現在の暗号メカニズムは無力になると言われています。このような変化に対して新しい暗号理論を発展させることは、大きなチャレンジになるでしょう。
  次に必要なことは、立ち向かう現実の諸課題は複雑で多様で有ることから、自らの専門だけでなく、他の分野の理論と連携できる力を持つことです。このためには、卒業してからも専門の学びを継続するとともに、他の学問分野にも広く関心を持ち、異なる分野の人々との繋がりを大事にしてください。
  今後、皆さんが大海原で風や波にも負けないで泳ぐがごとく、実社会でたくましく活躍されることを期待しています。

  留学生の皆さん、遠く祖国を離れ、異なる言語、文化、習慣の壁を克服してきたことに深く敬意を表します。これからは身につけた知識や技術を母国の発展のために大いに役立てて、母国と日本との友好の架け橋となることを期待しています。

  横浜国立大学は、今日に至るまで約11万の卒業生を輩出し、卒業生を中心に、校友会や各同窓会が、活発に活動しています。毎年開かれる各同窓会の総会、校友会や大学主催のイベント、海外同窓会開催の折は積極的に参加してください。専門性、年齢、国境を超えたこうした交流により、異なる分野の人的なネットワークを広げ視野を広げて下さい。 結びとして、皆さんが母校となる横浜国立大学で学んだことをプライドとし、未来社会を切り開いていく実践的な人間として成長されますことを心から祈念しまして、私の式辞といたします。

平成29年9月15日
国立大学法人 横浜国立大学長

長谷部勇一

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