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入学式&卒業式式辞

平成30年度秋季卒業式・修了式 式辞

  本日、平成30年度卒業式・大学院修了式において、学部卒業生45名、大学院修了生70名の方々に学位記および修了証書をお渡し致しました。卒業おめでとうございます。皆さんの入学以来の努力に敬意を表すとともに、列席の理事・副学長・監事・部局長をはじめ教職員一同を代表して、心からお祝い申し上げます。
また、ご出席賜りました同窓会のご来賓各位に対しましても、厚く御礼申し上げます。そして、卒業生の皆さんを今まで育ててこられたご家族・関係者の皆様には、本学へのこれまでの多大なご支援に感謝すると共に、お喜び申し上げます。

  本日は、皆さんにとって、明日から社会へ、或いは大学院へ羽ばたく節目にあたり、新たな挑戦に臨む日でもあります。そこで、これからも挑戦し続けるために必要な事柄について、皆さんの先輩にあたる本学の卒業生である藤嶋昭名誉博士の業績を紹介しながら、考えてみたいと思います。

  藤嶋先生は、1966年、本学工学部電気化学科を卒業された後、東京大学大学院で学ばれ、修士1年生の時に、酸化チタンによる光触媒反応を発見しました。光触媒とは、水の中に酸化チタンの電極と白金の電極を入れ、強い光を当てるとそれぞれの電極から酸素と水素が発生し、水が分解されるというものです。これは、植物の光合成を人工的に再現したとして、有名な世界的科学誌であるネイチャーにも掲載されました。その後、光触媒は、大腸菌などを殺す抗菌効果が高いことも明らかにし、快適な生活空間を作ることを目的として、光触媒の環境問題への適用を本格的に始めました。そして、産業界との密接な共同研究を進めて、現在では、病院の手術室の床や壁に付着する菌の撲滅、セルフクリーニングする外壁塗装など多くの実用技術として市場化されています。このような50年にわたるご業績に対し、藤島先生は、昨年秋に文化勲章を受章されました。

  藤嶋先生は、何故、50年もの間、挑戦し続けることが出来たのでしょうか。そこには、三つの条件があると思います。第一は、志です。先生は、「人々の快適な生活に貢献する」という高い志を持って研究を進めていました。第二は、志を実現するための確固とした専門性です。藤島先生には工学部で学んだ電気化学というしっかりとした専門的能力がありました。そして第三は、協力と連携です。先生は、光化学Optical Chemistry、環境科学など他の学問分野の研究者や産業界の人々との広範囲な連携・協力を大胆に進めることで、実践的な応用研究まで広げることが出来ました。

  皆さんは、明日からの人生でいくつもの挑戦をしていくことになると思いますが、是非、世界や日本、そして地域のいろいろな課題に立ち向かう高い志を常に持ち、本学で学んだ専門的能力に自信をもち、それをさらに磨き続け、周りとの連携、協力を大事にして行ってください。

  連携、協力という点では、本学の同窓会、校友会を通じた卒業生の皆さんとの交流が大いに役立ちます。本学には、教育人文系同窓会である友松会、社会科学系同窓会である富丘会、理工系同窓会である名教自然会のほか、それらを横断した組織として校友会があり、現役学生の支援、卒業生同士の交流活動を活発に行っております。毎年開かれる各同窓会の総会、大学主催のホームカミングデー、海外での同窓会開催の折は積極的に参加してください。専門性や年齢、国境を超えた交流は皆さんの学びを継続する上で、沢山の知的刺激を受け、多様な人間関係を構築する良い機会となるでしょう。

  結びとなりますが、皆さんの新たな挑戦に向けた船出に際して、米国の第32代大統領フランクリン・ルーズベルトの夫人であるエレノア・ルーズベルトの言葉を送ります。エレノアは、ルーズベルト政権時代の女性やマイノリティに関する進歩的政策に大きな影響を与えるとともに、夫の死後も国連代表として世界人権宣言の作成と採択に指導的な役割を果たした女性運動家でした。彼女は、困難を恐れず、常に前を向いて行動しようという趣旨で、次のメッセージを残しています。

  目の前の恐怖に真正面から立ち向かうたびに、あなたは強さと勇気と自信を身につけることができるのです。
  「こんなに恐ろしいことをやり遂げたのだから、もう何が来ても大丈夫」と言えるようになります。
  自分にはできないと思うことに、挑戦してみなさい。

  You gain strength, courage and confidence by every experience in which you really stop to look fear in the face.
  You are able to say to yourself, ‘I have lived through this horror. I can take the next thing that comes along.’
  You must do the thing you think you cannot do.

  これからも挑戦する心を失わずに、常に学び、豊かな人間関係を築き続けることを期待します。そして、皆さんが、心身ともに健やかで実り多き人生を歩まれ、母校となる横浜国立大学で学んだことをプライドとし、21世紀社会を切り開いていく推進役として成長されますことを心から祈念して、私の式辞といたします。

平成30年9月14日
国立大学法人 横浜国立大学長

長谷部勇一

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