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入学式&卒業式式辞

令和元年度秋季卒業式・修了式 式辞

   本日、令和元年度卒業式・大学院修了式において、学部卒業生36名、大学院修了生72名の方々に学位記および修了証書をお渡し致しました。皆さんの入学以来の努力に敬意を表すとともに、列席の理事・副学長・監事・部局長をはじめ教職員一同を代表して、心からお祝い申し上げます。

  また、ご出席賜りました同窓会のご来賓各位に対しましても、厚く御礼申し上げます。そして、卒業生の皆さんを今まで育ててこられたご家族・関係者の皆様には、本学へのこれまでの多大なご協力に感謝すると共に、お喜び申し上げます。

  本日は、皆さんが横浜国立大学の卒業生として社会、大学院へ羽ばたく節目にあたります。そこで、本学の卒業生として自覚を持って欲しい2つの事についてお話し致します。

  一つ目は、これからも、学び、研究し続けて欲しいということです。私が大学を卒業した1970年代の終わり頃、日本は高度経済成長ほどではないものの、毎年4~5%の経済成長率があり、国際的には東西冷戦構造のもとアメリカとソ連の政治的対立があり、アメリカは自由貿易の旗手、Flag bearerとして行動していました。そして、科学技術の分野ではマイクロコンピュータやポケットコンピュータが登場しはじめ、大型コンピュータの時代から個人の手元でコンピュータを使える時代に入り始めました。それから40年経過し、世界は驚くほどの変化を遂げました。平成に入り、日本の経済成長率は停滞し、それとは対照的に中国が経済改革と高度経済成長を進め、2018年の統計では、中国のGDP、国内総生産は13.4兆ドル(約1500兆円)になり、日本の5兆ドルの2.7倍の規模に、アメリカの20.5兆ドルの2/3の規模になっています。そして現在、そのアメリカが今や自国第一主義ともいうべき保護貿易主義の先頭に立ち、中国が自由貿易を擁護し、EUもイギリスの脱退というBREXITで混迷している時代になっています。科学技術の分野では世界中が高速のインターネットで結ばれ、スーパーコンピュータの1億倍とも言われる高速な演算速度を持つ量子コンピュータが予想より20年から30年も早く実用化が始まっており、それによるデータサイエンスやAIが飛躍的に発展しつつあります。さらには、台風、地震、異常気象などの自然災害もグローバルな規模で発生するようになっています。このような人間社会、自然界における様々な変化は今後もさらに続くことでしょう。その時に必要なこととはなんでしょうか。それは、常に好奇心を持ち、新しい問題に挑戦し、自分の頭で考え、答えを見いだそうとする研究心です。大学では、卒業論文、修士論文、博士論文を書くことが必修になっているのも、皆さんが論文執筆のプロセスで、このような研究心を身につけるためです。大学を卒業してもこの研究する精神を忘れないで下さい。

   二つ目は、横浜国立大学コミュニティの一員で有り続けて欲しいということです。大学は、学術を極めるための、学生、教員、職員からなる組織ですが、これに加えて同窓会や校友会という卒業生の組織も加えた一つの共同体、コミュニティだと思います。特に近年では、同窓会と校友会の皆さんからは、大学基金への募金活動、学生の皆さんへのキャリア支援、大学が進めます産学官連携への支援など教育、研究面での発展のために貢献頂いています。本学には、教育人文系同窓会である友松会、社会科学系同窓会である富丘会、理工系同窓会である名教自然会があり、学生の皆さんへの支援、卒業生同士の縦の交流活動を活発に行っております。また、卒業生の横の交流を繋ぐ組織である校友会では、業種、分野を超えた交流や海外の卒業生との交流も推進しています。現在、本学の11万人を超える卒業生、修了生が国内外で活躍しており、人文系、社会系、理工系が揃ったバランスのある組織であることも本学の強みになっています。毎年開かれます各同窓会の総会、大学主催のホームカミングデーでもある横国Day、海外での同窓会開催の折は積極的に参加してください。専門性や年齢、国境を超えた交流は皆さんの学びや研究を継続する上で、知的好奇心を高め、多様な人間関係を構築する良い機会となるでしょう。また、大学としましても、教員はいつでも相談に応じますし、大学院における社会人の受入、公開講座などの形で常に皆さんに門戸を開いています。明日からの人生でいくつもの挑戦をしていくこととなると思いますが、是非、横浜国大のコミュニティの一員であるということを自覚して、世界、日本、そして地域のいろいろな場所で活躍して下さい。

  結びとなりますが、横浜国立大学は創立以来、実践性を重んじてきました。理論的な研究だけでなく、その実践までを視野におき、社会に貢献するという精神です。映画界において、コメディを通して人間の愛、社会正義を訴えたチャーリー・チャップリンは、実践する・行動することに結びつかない想像力は意味がないという趣旨で、次のようなメッセージを残しています。
  Imagination means nothing without doing.

  皆さんが、これからも研究する心を失わず、心身ともに健やかで実り多き人生を歩まれ、横浜国立大学で学んだことをプライドとし、これからの21世紀社会を切り開いていく推進役として成長されますことを心から祈念しまして、私からの式辞といたします。

令和元年9月13日
国立大学法人 横浜国立大学長

長谷部勇一