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入学式&卒業式式辞

令和元年度秋季入学式 式辞

   秋の訪れを感じる本日ここに、若さ溢れる新入生の皆さんをお迎えし、令和元年度秋季入学式を挙行できますことは、横浜国立大学すべての構成員の大きな慶びです。皆さん、横浜国立大学への入学・進学おめでとうございます。全ての教員、職員、卒業生、在校生を代表して、心から歓迎の意を表します。また、これまで皆さんを育て、温かく見守ってこられたご家族ならびに関係の方々にも、お祝い申し上げます。

  本年十月に入学される皆さんは、学部、大学院あわせて109名です。その中には、34の国と地域からの留学生82名が含まれています。留学生の皆さんは、遠く祖国を離れ異なる文化のもとで、今日から横浜国立大学で学ぶことになります。期待と共に不安もあると思いますが、本学には一千名を超える留学生が学んでおり、国際教育センターを中心に皆さんの学習や生活のサポートを最大限努力して行っています。母国の発展のため、そして母国と日本の友好を深めるため、充実した学生生活を送られることを期待しています。

  さて、新入生の皆さん。本日から、新たな学生生活がスタートします。大学とは、学生、教員、職員からなる組織で有り、一つの共同体・コミュニティです。今日からその一員と成るにあたって、心得て欲しい3つのことをお話しします。

  まず、一つ目は、本学は長い歴史と伝統を持つ大学である、ということです。最初のルーツは、1874年に神奈川小学校教員養成所が設立されたことにさかのぼります。それ以来、現在の教育学部にいたる145年の歴史を有しています。理工系のルーツは、1920年に設立された官立横浜高等工業学校であり、来年2020年には創立100周年を迎えます。また、経済・経営等社会系のルーツは、1923年に設立された官立横浜高等商業学校であり、2023年に同じく創立100周年を迎えます。それぞれに同窓会があり、同窓会をヨコに繋ぐ組織として校友会があり、就職支援など大学と連携した活動をしていただいています。現在、11万人を超える卒業生が国内外で活躍しており、皆さんは今日からその仲間に加わることになります。

   二つ目は、本学には4つの基本理念があるということです。第一は、実学の伝統を踏まえた実践性(Be Active)です。これは、現実の生きた社会に原点を置き、教育と研究の成果をもって社会の福祉と発展に貢献するという精神です。第二は、研究大学としての実績を踏まえた先進性(Be Innovative)です。これは、常に最先端に意欲的に取り組むチャレンジ精神です。第三は、市民社会、産業界、行政等が抱える課題解決に寄与するため、社会参加を積極的にすすめるという開放性(Be Open)です。第四は、国際性(Be Global)です。これは、グローバルに活躍できる専門性とコミュニケーション能力を有し、諸外国との交流を積極的に進める精神です。これらは、開港以来の文明開化と高度産業集積の地であるここ横浜で大きく育った精神であり、是非、皆さんも今後共有して下さい。

   最後の三つ目は、大学は研究するところである、ということです。研究とは、自ら設定した課題に対し、先行研究を踏まえ、観察、実験、調査などで明らかになった事実やデータを元に、新たな命題を体系的、論理的に表現することです。言い換えると、高校までの教育が、正解のある問題の解き方を学ぶことであったのに対し、大学では、正解の無い問題を自らが設定し、自らの独自の解答を誰にとっても分かりやすい形でまとめていくことにあります。その集大成として卒業論文、修士論文、博士論文を書いていくわけですから、大学においての学生は教員と同じ研究者仲間でもあります。ゼミナールや研究室で教員や仲間の学生と共に討論をしながら研究をしていくという精神を忘れないでください。

  21世紀に入り、国際社会も大きく変貌し、科学技術も予想を超えるスピードで変化をしています。このような時代は、かつての常識が通用しないことが多く、まさに正解の無い問題にチャレンジし、自らの頭で考え抜くことが求められようになります。それは、決して易しいことではなく、失敗するなど試行錯誤の連続かもしれません。しかし、それに負けないチャレンジ精神を持って下さい。アメリカの発明王と言われたトーマス・エジソンは一生を通じて発明し続けた研究者ですが、彼は次のような言葉を残しました。

  私たちの最大の弱点は諦めることにある。成功するのに最も確実な方法は、常にもう一回だけ試してみることだ。
Our greatest weakness lies in giving up. The most certain way to succeed is always to try just one more time.
- Thomas Edison (トーマス・エジソン) -

  未来社会に求められる課題解決のため、学生の皆さんとともに私たち教職員一同も努力することをお約束し、私からの祝辞といたします。

令和元年10月2日
国立大学法人 横浜国立大学長

長谷部勇一