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挑戦する横国の学生たち

VENTURE SPIRIT

017

地域の子どもたちを喜ばせたい。
「がやっこ探検隊」のチャレンジは続く。

小学生の健全育成を目的に、横浜市保土ケ谷区と横国が連携して取り組んでいる「がやっこ事業」。なかでも人気は、地元の子どもたちと教育学部の学生が交流する「がやっこ探検隊」です。企画・運営に3年間携わった長谷川さんに、本活動の魅力を伺いました。

長谷川 茉奈

教育学部学校教育課程

長谷川 茉奈

ただのレクリエーションではない
意欲を引き出す仕掛け

——がやっこ探検隊の取り組み内容についてお聞かせください

年間で全7回のプログラムです。対象は保土ケ谷区の小学 3〜6 年生。大学構内で実施する回では、水鉄砲で遊んだり、巨大なクリスマスツリーを飾り付けしてサンタの劇を行いました。学外に出向く回は、芋ほりのほか、宿泊を伴うキャンプがあります。それぞれが年間通してどんな位置付けなのか。それを念頭に置いて学生主体で企画を練り上げます。重視しているのは、私たちが「世界観」と呼んでいるものです。例えばゲームなら、「みんなで協力して悪者を倒す」といったストーリーを設定するとさらに盛り上がります。子どもたちの意欲を引き出す「世界観」という仕掛けが、本プログラムに欠かせません。

——中でも印象深い企画はなんでしたか?

やはり一番大がかりな1泊2日のキャンプです。野外炊事やキャンプファイヤーのほか、みんなでお風呂に入るのも子どもたちにとっては貴重な体験となります。企画は1か月かけて立案し、学生のみでリハーサルを行います。そこで変更すべき点を洗い出し、本番に間に合うよう修正にとりかかる最後の2週間はとても大変です。しかし、ひとりの学生が企画ごとに、立案側になったりチェック側になったりと、その両方を担当するシステムになっていて、多くの学びがありました。客観的にチェックした経験は、自ら立案するときに大いに活きてくるはずです。

「お兄さん、お姉さん」だから
子どもたちが心を開く

——子どもたちと接するときに意識していることはなんでしょうか

先生ではなく、あくまで「大学のお兄さん、お姉さん」として接することです。全力で遊ぶし、ちょっと失敗する姿もあえて見せるようにしています。学生がなにかやらかすと、子どもたちが笑いながら手助けしてくれることがよくありました。それによって上下関係がなくなり、心を開いてくれるんですね。もちろん、親御さんから大切なお子さんを預かっているのですから、危険な場面ではちゃんと注意もします。そのメリハリを意識するのが大事です。中途半端なスタンスは子どもたちの困惑を招いてしまいますから。

——親御さんに接する機会もあると伺いました

事前にプログラムの内容を電話などで説明します。子どもたちは無邪気に話しかけてくれることが多いので、情報収集という点では楽です。でも親御さんにはこちらから積極的に話を投げかけて、必要な情報を聞き出す必要がありました。意識したのは、企画・運営する者としての熱意を伝えること。事務連絡にとどまらず、「なにかご不安な点はありますか」と伺うようにしていました。特にキャンプのときは、初めて親元を離れてお泊りする子がたくさんいます。親御さんの気持ちを汲み取れるよう、信頼関係の構築に努めました。

あきらめない気持ちが
活動に新たな命を吹き込む

——2020年度の活動状況はいかがでしたか?

2019年の12月頃から準備を進めてきましたが、新型コロナの影響で白紙になりました。気持ちを奮い立たせ、オンラインでの実施を目指して動き始めたのは9月に入ってからです。ようやく11月に、全4回コースの第1回の開催にこぎつけました。すべての回がリモートで、さまざまなクイズ、ゲームをやるというものです。Zoomの画面だと全員の状況が一目でわかるのが利点でした。みんなでポーズを取ったり、クイズの答えを出すときに、ほかの人はどうかすぐわかる。かつてない面白さがありました。「これまでは勇気がなかったけれどオンラインでなら参加できるかも」と申し込んでくれた人もいて、そういう子どもたちをすくい上げることができたのは想定外の喜びです。

——1年を振り返ってみて、率直な気持ちをお聞かせください

活動を来年以降につなげていくにはどうしたらいいのか。総括担当の私を含む3年生でずっと考え続けた1年でした。それは使命感のようなものです。実は1年生の勧誘に力を入れ、かなりの人数が入ってくれました。彼らとは一度もリアルでは会えていません。それでも新形態のプログラムを作り上げることができたのは素晴らしい経験でした。前年のやり方をただ踏襲するのではなく、活動の意義や理念をキープしながら、新しい世代が好きなように道を切り拓いていく。その方がいいのかなと今は考えています。2020年度は限られた条件でやれることをやりきりました。ご協力いただいたすべての皆さんに感謝しています。

掲載:2021年3月

MY MEMORY

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1.2019年度 芋掘り2.2019年度 1年間の活動の振り返り3.2019年度 キャンプのリハーサル4.2020年度 所属学生の集合写真

区と大学が手を取り合って

2005年度から続く「がやっこ事業」。「がやっこ探検隊」のほか、学生が小学校で教員の補助を行う「がやっこ先生」、大学教員が小学生向けに科学教室を開催する「がやっこ科学教室」の3つで構成される。

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