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挑戦する横国の学生たち

VENTURE SPIRIT

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歴史好きの学生起業家が作り出す
観光と地域と教育のつながり。

観光地で無料の音声ガイドを聞くことができるスマホ用webアプリ「GURURI」。その開発を手がけたのは経済学部の学生起業家、中野賢伸さん。いまや大河ドラマ視聴者や歴史好きから人気を博すこのアプリは、どのようにして開発されたのか。そのきっかけと創業秘話を伺いました。

中野 賢伸

経済学部経済学科

中野 賢伸

こだわったのは、
「人の声」によるナレーション

——アプリ開発の目的を教えてください。

もともと関心を持っていたのはオーバーツーリズムの解消です。たとえば鎌倉などでは、特定の有名な観光地に人流が一極集中して交通機関の混雑や渋滞といった問題が生じている一方で、周辺地域との観光客数や消費額の差は広がっています。誰もが知る観光地の周辺には、あまり知られていないが魅力的な観光資源が数多く眠っているはずだと考えました。メジャーな観光地だけでなく、マイナーだけど魅力あるスポットもぐるっと廻って欲しいと思い、アプリの名前をGURURIにしました。

——史跡などの歴史資源に特化した理由は?

父の影響で史跡めぐりが好きだったんです。たとえば城下町を歩いているときに道沿いで古めかしい酒屋さんなどを見つけると、いつから続いているんだろうとつい考えたり。こういった身近なところにも歴史の魅力を感じます。

——開発でこだわったところはどこですか?

特にこだわったのは、「人の声」によるナレーションですね。アプリは基本的にすべて自分たちで制作していますが、唯一外注しているのが音声ガイドの部分です。もちろん自動音声の方が収録も簡単だし、コストも安いんですが、実際にボランティアガイドの方が案内してくれているような風情を再現したかったんです。

創業を後押しした
授業と支援プログラム

——アプリ開発から起業にまで至った経緯を教えてください。

最初のきっかけは、2年生の頃に参加した企業主催の学生起業支援プログラムです。ここで専門家の方のサポートを受けながら、GURURIの核となるアイデアを練り上げたところ、コンペで入賞することができました。受賞後は実際に形にするため、すぐに知り合いを辿って4名の仲間を集めてアプリ開発に注力しました。半年ほどかけてリリースにこぎつける一方で、地方自治体への営業も並行して行って。このころから起業を視野に入れて本格的にビジネスを学び始めましたね。ちょうどそのころ、たまたま経営者の方がゲスト講師を務める授業を履修していたんです。そこであるゲストの方がインターンを募集しているのを知り、1年間インターンで修行を積みました。他にも、学内発のベンチャー支援制度なども活用しながら、開発や営業と並行して準備を進め、アプリ開発から1年ほど経ったタイミングで、思い切って起業に踏み切りました。提携先が増えるにつれ、親も『もうちょっと事業続けてみたら?』という雰囲気になっていきましたね(笑)。

地域に教育にと、
GURURIはさらに拡大する

——どのようなところと提携しているんですか?

今は横浜銀行さんの地域振興担当の部署と連携し、神奈川県は宮ヶ瀬へのアプリ導入を行っています。教育分野も開拓しています。みなとみらいには開港や明治維新の史跡があって、修学旅行生がよく訪れるスポットになっています。アプリ片手に生徒に街歩きをしてもらえるように、学校側が選ぶ修学旅行のプログラムメニューに組み込んでもらうことになりました。自治体がまとめた歴史学習の情報もアプリに組み込んだので、みなとみらいエリアだけでも50箇所ほどの史跡をガイドできるようになっています。

——GURURIが色々な方に利用してもらえると良いですね。

僕の父やその上の世代には歴史好きな人がいます。いっぽう、周りの同世代で史跡めぐりをする人はほぼいない。GURURIを通じて、老若男女幅広い人たちに歴史の魅力を知ってほしいですね。

掲載:2023年3月

MY MEMORY

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1.「GURURI」のアプリ画面。ダウンロードなしで使える手軽さが魅力。2.観光案内所などにQRコード付きのポスターやチラシを置いてもらっている。3.開発のきっかけとなった、幼いころからの趣味である史跡廻り。4.関係者や協力企業に説明するためのプレゼン資料。

耳で楽しむガイドアプリ「GURURI」

GURURIの最大の魅力はこだわりの音声ガイド。QRコードさえ読み込めばいつでもどこでも使用できるのが特徴だ。「現地でなくても音声ガイドを聞けるので、観光の予習に使う方もいらっしゃるようです。」
GURURI

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