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挑戦する横国の学生たち

VENTURE SPIRIT

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「Y’s navi」が目指すのは
キャンパスライフを彩るナビゲーション。

常盤台キャンパスを行き交う多くの在学生や教職員から親しまれている地図アプリ「Y’s navi」。学生が学生視点で開発した、リアルタイム情報×学生目線の地域情報を発信する日本初のデジタルキャンパスマップです。2022年度のオープンキャンパスや常盤祭での案内にも広く使われてきました。開発プロジェクトを牽引した白岩さんと宮内さんに、開発の舞台裏とY’s naviから広がる展望について伺いました。

白岩 元彦・宮内 爽太

都市科学部都市基盤学科

白岩 元彦・宮内 爽太

プロトタイピングを通じて、
真のニーズを探った

——本アプリの開発をスタートした経緯を教えてください。

白岩:まず、構想が立ち上がったのは2年次に参加した地域課題実習のときです。そこでアプリのアイデアを提案する機会がありました。私が「地図アプリを用いた街の情報発信」について提案すると、担当の有吉亮先生から「横国のキャンパス内で、それを実現してみないか」と声をかけていただいたのです。かねてから「都市では施設や交通網を整備するだけでなく、これらを活用するための情報を届けていくことが大事」だと感じていた私は、地図アプリがこの課題を解決する足がかりになる思い、開発に乗り出しました。

——開発はどのように進めていきましたか。

宮内:プロトタイプを作り、在学生に試してもらう実証実験からスタートしました。広大なキャンパス内に立ち並ぶ講義棟はどれも似通っています。建物の中も似たような教室ばかり。新入生がしばしば道に迷うのも無理はありません。まずはここに着目し、プロトタイプには講義棟の位置情報と立体地図、キャンパス内の主要な待ち合わせスポットを載せたのです。被験者からの反応は上々でした。なかでも興味深かったのは「地図としてだけでなく、学内での情報収集にも使いたい」という声です。これが大きなヒントとなって「キャンパス内で役立つさまざまな情報が詰まったガイド」というコンセプトが定まっていきました。

白岩:ちなみに「Y’s navi」という名前は、「横浜」や「横国」の頭文字である「Y」と、地図を超えた賢いアプリの「wise」で、ふたつの意味が込められています。

横国を行き交う人の「知りたい」に
リアルタイムで応える

——アプリの特徴について教えてください。

白岩:キャンパス内の施設や設備の案内が、まず地図としての基本的な機能です。このほかに学生団体アグリッジプロジェクトがお昼休みに販売している大人気のお弁当「和田べん」の販売状況や、キャンパス内を運行するバスの情報もリアルタイムで把握できます。

宮内:キャンパス内のベンチの場所を、定員や日除け・雨除けの有無といった条件で調べたり、自動販売機の位置を対応している支払い方法とともに表示する機能もあります。これらは入学して日が浅い1年生たちの声から生まれた機能。2022年の春のオープンキャンパスに訪れた高校生から「日陰のあるベンチがわかって助かった」という声をもらったときは、大きな手応えを感じました。

——2022年の秋には、常盤祭(大学祭)でY’s naviが使われたそうですね。

宮内:大学祭実行委員会の協力のもと、出店情報や飲食物の提供の有無などがわかる機能を追加しました。より多くの人に使ってもらえるように、準備期間から開催当日までに力を入れたのは、アプリ自体のPRです。SNSやWebサイトでの告知のほか、アプリのQRコードを載せたフライヤーの配布などを行いました。

白岩:常盤祭の終了とともにY’s naviを正式にリリースしたところ、たくさんの反響がありました。「和田べんの販売情報がわかるようになって便利」といった喜びの声も多く寄せられています。なかには、掲載されるべき情報が漏れていることを教えてくれるユーザーも。認知度が高まっていること自体も嬉しいのですが、品質の向上のために指摘をしてくれる方がいることも嬉しいですね。

横国でのチャレンジが
社会をもっと良くする足がかりに

——Y’s naviのプロジェクトを通じて、どんな成長がありましたか。

白岩:最初はわからないことだらけからのスタートでした。どんな機能をつけるのか。どのように開発を進めるか。これらを話し合う過程で、開発メンバーのアイデアを引き出し、まとめるスキルが磨かれたように思います。外注先のベンダーなどに説明するなかでは「伝える力」も身につきました。

宮内:私は授業への取り組み方が変わりました。地域課題実習からY’s naviのアイデアが生まれてたくさんの人に喜んでもらえる。この充実感を味わったことで、他の授業にも「社会にどう貢献できるか」を考えながら臨むようになりました。

——今後の展望について教えてください。

宮内:Y’s naviはリリースしてから1年も経っていないのに、すでに大勢の人に使っていただいています。日頃からY’s naviを使う学生たちをじかに見られる嬉しさは格別です。最近では、学生団体YUCとのコラボレーションで常盤台地域のデジタルマップの制作にまで活動が広がっています。こうした経験を活かすことで、今後は駅やショッピングモール、それらを含む街全体のマップを手掛けられたら嬉しいです。

白岩:目下の目標は、来年度以降入学する学生たちにたくさん使ってもらうこと。建物や道路があり、バスが走って、老若男女が行き交う横国のキャンパスは小さな都市さながらです。ここでの課題を解決できるプロダクトやサービスは、社会に貢献できる可能性を秘めています。横国はアカデミアとして企業や地域への発信力も持っており、ありがたいことに学生の取り組みに興味を示してくださる方々も少なくありません。この恵まれた環境を存分に活用して、Y’s naviをもっと磨いていきたい。Y’s naviを通じてより多くの学生にキャンパスライフを楽しんでもらい、教職員や地域の方々に横国の魅力を知ってもらえたら、開発者冥利に尽きますね。

掲載:2023年3月

MY MEMORY

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1.Y’s naviのロゴ。名称からロゴのデザインまで学生たちで議論し作成しました。2.Y’s naviのホーム画面。3.2021年度末に行った実証実験では40名の方に参加いただきました。4.和田べんの表示機能。アグリッジプロジェクトさんのご協力のもと実現しました。

便利なキャンパスライフをかなえる「Y’s navi」

GIS(地理情報システム)を活用した横国常盤台キャンパス内のデジタルマップ。キャンパス内のルート案内のほか、移動販売のお弁当「和田べん」の販売状況、キャンパス内のバスの運行状況、ベンチや自動販売機の場所などを調べられる。
Y’s navi
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