一覧へ

挑戦する横国の学生たち

VENTURE SPIRIT

009

SDGsの達成をビジネスの力で。
横国から挑む、世界への挑戦。

「学生のノーベル賞」とも呼ばれる世界最大の学生ビジネスコンテスト「Hult Prize(ハルトプライズ)」。そのファーストステージである学内予選大会を、横浜国立大学でも開催できるよう尽力してきたのがBrieckさんです。Hult Prizeを通じて、彼女は何を実現しようとしているのでしょうか。

Ally Brieck

都市科学部YCCS (Yokohama Creative City Studies) Program

Ally Brieck

留学生と日本人がともにチャレンジできる場を

——Hult Prizeについて教えてください。

2009年から開催されている世界最大の学生ビジネスコンテストです。毎年SDGsに関連するテーマが掲げられ、世界121カ国の100万人を超える学生たちが起業アイデアを競い合います。その最初の予選となるのが、各大学で開催される学内予選大会(Hult Prize On Campus)です。

——横浜国立大学で学内予選大会を開催しようと思ったのはなぜですか?

留学した当初から、留学生と日本人の学生とがもっと積極的にコミュニケーションできる場があればいいなと感じていたからです。他大学の友人にHult Prizeを紹介してもらったとき、留学生も日本人学生も関係なくチームを組んでコンテストに挑んでいると聞いて「私が望んでいたのはこれだ」と感じました。そこからすぐに、横国で学内予選大会を開催するために動きはじめます。経営学部の井上徹教授や中村文彦副学長、長谷部勇一学長のご協力を頂き、12人の実行委員会メンバーとともに、2019年10月、無事にHult Prize2020の学内予選大会を開催することができました。

「気候変動」をテーマに多彩なアイデアが飛び出した

——どれくらいの参加者が集まったのですか?

ステージ上で英語でのプレゼンテーションを行う予選大会では、6つのチームがアイデアを競いました。今年のテーマとして掲げられたのは「気候変動」です。「すべての販売、売り上げ、意思決定が環境によい影響を与え、10年以内に100万人以上の消費者を得るような影響のあるビジネス」の創出をめざしました。どのチームも大会本番が迫ると、ほぼ毎週のようにミーティングを開いて最後の追い込みをかけます。ほとんどのチームが留学生と日本人の混成チームでしたが、言語の壁をまったく感じさせず、誰もが対等にアイデアを出し合う姿が印象的でした。

——具体的にはどのようなビジネスアイデアが生まれましたか?

予選大会で優勝したのは「Green Abura」というビジネスを提唱したチームです。彼らが着目したのは、日本ではリサイクル率が50パーセントに満たない食用油。これをコンビニなどと提携を結ぶことで効率的に回収し、車などの燃料としてリサイクルする仕組みのビジネス化を掲げました。「CO2の排出量削減」と「食用油の流失による水質汚染の防止」を同時に叶える一石二鳥のアイデアです。一度仕組みを構築してしまえば日本以外の国でも実現できるビジネスだったため、「10年以内に100万人以上の消費者を得る」という目標を達成しやすいことも審査員の方々から評価されたポイントです。ほかにも環境にやさしい素材を使った生理用品の普及プロジェクトや、廃坑となった炭鉱の有効活用をめざしたプロジェクトなど、多彩なアイデアが飛び出し、充実した大会となりました。

あと10年で何ができるのか。本気で考えたい

——今年度以降も学内予選大会を開催する予定ですか?

もちろんです。現在は、Hult Prize2021の学内予選大会を2020年12月までに開催すべく準備を進めています。今回のテーマは「FOOD FOR GOOD」。食を通じて社会にポジティブな影響を与えるようなアイデアが求められます。実行委員としては、より多くの学生、特に多様なバックグラウンドや経験を持った学生に、学年や所属は関係なく参加してほしい考えています。必ずしも英語が堪能である必要はありません。自らコミュニケーションを取ろうとする意欲と、より良い社会をつくりたいという熱意さえあれば、チームのなかできっと活躍できる。昨年の経験を踏まえ、それをもっとアピールしていこうと考えています。

——Brieckさん自身の今後の目標を教えてください。

横浜国立大学の「キャンパス・ディレクター」という立場では、コンテストに出場できないため、来年は私もコンペティターとしてHult Prizeに参加したいと思っています。そのために、後輩への運営の引継ぎを進めています。

Hult Prizeでの得た学びをさらに深めるため卒業研究のテーマにもSDGsを選ぶつもりです。SDGsで目標達成の期限として掲げられている2030年まで、残り10年。SDGsについてよく分からないと感じる方もいるかと思いますが、実は気づいていないだけで、私たちの身近な生活と密接しています。一人でも多くの人がSDGsを「自分ごと」として捉えるきっかけを持ってくれたら嬉しいですし、私自身プラスチックを使わない、エコバックを利用するといった小さなアクションを実践しながら、社会に大きなインパクトを与えるアイデアを生み出すため、さらに力を蓄えていきたいと思います。

掲載:2020年10月

MY MEMORY

1
2
3
4

1.Hult Prize実行委員会のメンバーとともに。2.参加者を募るために説明会も開催。3.優勝チーム「Green Abura」のピッチの様子。4.審査をするのは現役のベンチャーキャピタリストや起業家など。

若者のアイデアで、持続可能な世界を実現する

世界中の1,000以上の大学で開催されるHult Prize学内大会。そこで優勝したチームは世界各地で開催される「Regional Summit」に進出。勝ち上がったチームはロンドンで開催されるアクセラレータープログラムを経て、最終的に6チームが国連本部で開催される決勝戦に挑む。

TOPへ