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挑戦する横国の学生たち

VENTURE SPIRIT

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理想の教育って何だろう?
学生も教員も一緒になって語れる場をつくる。

教育に関心のある人なら誰でも参加できるカンファレンス「Edcamp(エドキャンプ)」を横国で主催、運営するのが教育学部3年の庄司さんです。彼はなぜ、さまざまな人たちが教育について自由に語り合える場をつくろうと考えたのでしょうか。

庄司 樹

教育学部学校教育課程

庄司 樹

自分が受けてきた教育の
「外側」を考えたい

——Edcampというイベントの特徴を教えてください。

最大の特徴は、参加者が主体的につくりあげるカンファレンスだということです。当日は参加者が話したい教育に関するテーマを持ち寄り、それぞれが関心のあるテーマごとにグループをつくって、ディスカッションを進めます。Edcamp Japanという運営団体はあるものの、名乗りをあげれば基本的には誰でもEdcampを主催、運営できることも特徴です。僕自身がはじめて参加したのは、中高でお世話になった先生が主催するEdcampでした。

——なぜEdcampに興味を持ったのでしょう?

教育学部への進学を決めた頃から、将来自分がどんな教員になりたいのかを真剣に考える必要があると感じていたからです。多くの学生は、自分が受けてきた教育のなかでしか教師像を語れません。僕もそうでした。しかしそれは、実はとても危ういことなのではないか。そんな漠然とした不安を解消するために、教育に携わる人たちの生の声を聞けるEdcampに参加しました。

——参加してみていかがでしたか?

教育の多様性に気づかされました。そもそも現在の学校教育というもの自体が、数ある教育のうちのひとつに過ぎません。過去には多種多様な教育があり、現在もリカレント教育や、社会教育、塾教育などが学校教育と併走しています。学校教育のなかだけでも、学校や先生ごとに指導方針はまるで違います。そうした幅広い視点を得られたことが何よりの収穫でした。

新しい問いに出会える、
開かれた場を

——ご自身でEdcampを主催しようと思ったのはなぜですか?

横国の仲間たちにも、現役の先生たちと顔の見える関係で語り合ってほしいと感じたからです。そんなビジョンに共感してくれた12人の仲間とともに、第一回の「Edcamp横国」を開催したのが、2018年の冬。当日は予想を大きく上回る80名以上の参加者が集まり、さまざまなテーマについて活発なディスカッションが行われました。

——どんなテーマが話し合われたのでしょう?

本当に多彩なテーマが飛び出しました。大学入試改革にどう対応するか。学校に行きたいと思えるような教育とはどんなものか。アクティブラーニングの重要性とは。放課後の教育をどのように考えているか。なかにはデス・エデュケーション(死への準備教育)について、という哲学的なテーマをディスカッションするグループもありました。

——参加者の方の反応はいかがでしたか?

最も多かったのは「これまで考えてもみなかった新たな問いに出会えた」という感想です。学生の参加者からは「現職の先生と対話できる貴重な体験ができた」という声が目立ちました。先生方からのコメントのなかでは「普段の研修とは違って、所属を意識せずに安心して話せました」というものが、特に嬉しかった。会場の導線や席の配置、アイスブレイクのタイミングなど、細かい部分まで工夫して、話しやすい環境づくりに努めたことが報われたようで、ホッとしました。

多様性を受け入れる力を
伸ばせる教員に

——「Edcamp横国」の今後の展望を教えてください

学生参加者の比率を伸ばしたいですね。これまで横国では2回のEdcampを開催してきましたが、現役の先生方が中心でした。とはいえ、一朝一夕で参加者が増えるとは考えていません。「Edcampに参加すればこんなスキルが身につくよ!」と言い切れない分、PRには苦労もしますが、一言で語り尽くせない奥の深さこそがEdcampの魅力。焦らず地道に活動を継続していくのみです。

——庄司さん自身は、どんな教員をめざしたいですか?

多様性を受け入れながらも、一人ひとりが友人の悩みや課題を自分ごととして捉えていける。そんなクラスをつくれる教員になりたいですね。だからこそ、公立学校の教員を志望しています。たまたま地縁で集まった30人前後の子どもたちみんなに、お互いのことを受け入れる力を身につけてほしい。それこそが、社会の分断を乗り越える鍵になると考えています。もちろん、この答えもまだ仮説にすぎません。自分がめざすべき揺るぎない教師像を確立するため、これからもEdcampの運営に力を注いでいきます。

掲載:2020年10月

MY MEMORY

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1.YNUで開催されたEdcampの参加者とともに。2.アットホームな雰囲気が参加者にも好評なトークセッション。3.全国の公務員が集うイベント「よんなな会」の学生メンバーも務める庄司さん。4.よんなな会には教員を含めた公務員・学生が毎回400人以上参加する。

Edcamp

参加者主導で行われる、教育関係者による、教育関係者のための、対話の場

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