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挑戦する横国の学生たち

VENTURE SPIRIT

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個々の力を結集して自作した
世界にひとつのロボットで全国の頂点を目指す。

大学や高専の学生による自作ロボットのコンテスト「NHK学生ロボコン」。本大会で全国制覇に挑むサークル「Robo+ism」のおふたりに、ロボット作りの舞台裏を伺いました。

齋藤 礼人 萩原 蓮斗

理工学部 機械・材料・海洋系学科機械工学EP / 数物・電子情報系学科電子情報システムEP

齋藤 礼人 萩原 蓮斗

不完全燃焼の新人大会が
本当のスタートラインだった

——Robo+ism加入のきっかけと当初の意気込みをお聞かせください

齋藤:大学入学直後の5月に、NHK学生ロボコンを見学しました。実物を間近に見たのはこれが初めてです。仕組みにさまざまな工夫が施され、考え抜かれていることに感銘を受け、入部を決意。ロボット作りの経験はなく、先輩に一から教わり始めます。座学で学んだほか、夏の部内ロボコンで実際にマシン本体を製作する機会を得て、少しずつ基礎を固めていきました。

萩原:高校の頃、市販のキットで自作したロボットの世界競技会「WRO」の予選に参加して、とても楽しかったのです。大学でもロボット作りに関わりたくて入部を決めました。それまでと違い、回路の設計から手掛け、プログラムを一から書く必要があることを知り、難しさをあらためて実感します。一抹の不安を抱きながらも「学部の専攻が役立つはずだし、なんとかなる」と楽観的でした。

——9月の新人大会「F3RC」はいかがでしたか?

萩原:予選を通過できませんでした。スケジュール管理がうまくいかず、機体が想定通りに完成しなかったのです。準備不足を痛感しましたが、工程のコントロールも製作の大事な要素だと認識できたのは収穫でした。

齋藤:ロボコンに参加するためのマニュアルがあるわけではありません。部の伝統として、先輩方のスタンスは「自分で調べて試して、わからなかったら聞いてね」というもの。結果は振るいませんでしたが、自分たちで考え抜く覚悟はこのときに芽生えました。

1ヵ所のミスが命取りになる
ものづくりの奥深さ

——ロボット作りが本格化する中で、どのような発見がありましたか?

萩原:3月に新人が再び競う「関東春ロボコン」は、新型コロナの影響で途中辞退することになります。機体はほぼでき上がっていたので残念ですが、プログラミングの奥深さを知ることができました。延々と続くコードの1ヵ所が間違っているだけで、センサーやモーターがピクリともしない。こればかりは先輩に聞いてすぐにわかるものでもないため、根気強く見直すしかないのです。

齋藤:手作りする部品の精度には気を遣いました。穴の位置が少しずれるぐらいならわかりやすくてまだいいのですが、全部組み合わせたときにうまく歯車が回らないときはかなり手こずります。ねじの締め方ひとつが全体に関わってくるんです。時間の制約がある中でトラブルをどう解決するか。楽ではありませんが、ものづくりの手ごたえがそこにありました。

——NHKのロボコンに向けてはいかがでしたか?

萩原:新型コロナの影響は大きいです。2020年大会はオンラインで開催されましたが、横国は辞退。気を取り直し、私たちの代が中心となる2021年大会に向けて作戦を練り始めましたが、製作の実作業は滞っています。メンバーをオンラインでつないで講習を開催するほか、制御に関わるシミュレーションに取り組むなど、やれることを模索する日々です。部内のライブラリー整理も始めました。プログラムのコードは一度作ればその後も活用できるため、部内で一括管理しています。ただ、それぞれが見にくかったり、使いづらい形のままでしたので、少しずつ改良しているところです。

ちょっとした雑談から
アイデアが生まれることもある

——コロナ禍でもやれることをやるということですね

齋藤:部内のコミュニケーションを活性化するべく奮闘中です。オンラインミーティングを定期的に実施し、タスク管理のソフトで進捗状況を共有しています。私たちの代としては、後輩との交流をもっと増やしたい。新たな試みとして、自分がライブラリーの整理に取り組む様子を、Zoomをつなぎっぱなしにして公開してみました。「質問があったらいつでもどうぞ」というわけです。それこそロボットのことに限らず、雑談でもいいんです。サークルになじむこと自体が容易でない状況ですから。

——今後の展望を教えてください

齋藤:リアルでのやりとりがままならない中、技術の継承が課題だと感じています。ちょっとした設計のノウハウを「仕組み化」して、誰でも簡単に扱えるようにしたいです。そうすれば新人の負担を軽減できます。苦労した末に実際にロボットが動く感動はやはり格別です。それを後輩のみんなにも味わってほしいですね。

萩原:Robo+ismには、元からロボットに詳しかった人はそれほどいません。みんなが一からコツコツ勉強し、それぞれが役割を担い、協力してひとつのものを作り上げる。そんな醍醐味を仲間と分かち合いたいですね。やり遂げたと思えるよう、今後も前向きに活動を続けていきます。

掲載:2021年3月

MY MEMORY

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1.2018年度NHK学生ロボコン出場時2.2018年度NHK学生ロボコン出場時 ロボットMR23.回路基盤4.機体の動作制御の話合い

一致団結してロボコン制覇を目指す

1年に一度開催される「NHK学生ロボコン」での優勝を目標として、2012年7月に設立されたRobo+ism。マシンデザイン、ソフト、回路、マネジメントの4部門に分かれて専門性を究め、チームに貢献する。
Robo+ism

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