挑戦する横国の学生たち
2020年7月にオープンしたキッチンカーのチュロス専門店「CHURROS AVENUE」。SNSで話題となり、横浜の複合施設でポップアップ出店も果たしました。設立者の一人、足立さんは経営学部生。彼女にとって、実際の起業とはどのようなものだったのでしょうか。
経営学部
在学中に、起業にチャレンジしてみたいという気持ちがあったのです。アイデアを練っていくうちに、過去のアルバイト経験を活かせる飲食業で、初期費用を抑えられるキッチンカーがよさそうだな、と思い至ります。主なターゲットは自分と同年代の女性。そんな人たちが来店しやすいライトな雰囲気を目指すと、取り扱うのはやっぱりスイーツがいい。なかでもチュロスは、テーマパークや映画館で親しまれていて、非日常のワクワクする感じを出せます。こうして「ちょっとしたご褒美感を得られるチュロスをキッチンカーで気軽に買える」というコンセプトができ上がりました。
2019年末頃、経済学部の同期とふたりでまさにゼロからスタートしました。中古のワンボックスカーを購入し、仕切り壁や水回りの設置などの工事を自分たちで行いましたが、想定したよりも広範な知識が必要だと痛感したものです。肝心のチュロスのレシピは情報が少なかったため、知り合いのパティシエの方に話を伺って、試作を重ねる毎日。限られたスペースで調理・販売する手順を定めるのも難しく、相当頭をひねりました。この時期には開設していたお店のInstagram経由で、同業の方からご助言をいただいたり器具を譲っていただけたのは本当にありがたかったです。
最初の営業は、2020年7月、とあるスーパーマーケットの店先でした。お持ち帰りの需要を見込んだものです。そこはダンスや体操、英会話のスクールもあってお子様連れも結構多いので、親御さんがわが子に買ってあげることも想定しました。ところが、日常的にスーパーで買い物される方には、キッチンカーで買う習慣があまりないんですね。正直なところ売り上げ面では苦戦しました。販売促進の方策をなかなか打ち出せなかったことは反省点ですが、立地の特性など、実地で学ぶ良い機会になったと思います。
8月頃に始めたTikTokに大きな反響がありました。同じ頃、アソビルさんに出店の問い合わせをしたところ、担当の方も偶然TikTokをご覧になっていて。そんな縁から「中のスペースが空いているのでそこに出店しませんか」とご提案いただいたんです。車から機材を移し、自分たちで内装も行い、いよいよ営業開始。毎週金・土・日、約2ヵ月間の出店期間中、日を追うごとに客足が伸びて、手ごたえを実感しました。SNSの効果は大きかったです。同年代のお客様から「応援しています」「自分も飲食店をやってみたい」と声を掛けられたのは嬉しかったですね。
お店のInstagramをフォローしていただいたら割引するキャンペーンを行いました。関心をつなぎ留め、リピーターを増やすためです。飲食店が開業前からSNSで情報発信するのは珍しく、大学生がお店をゼロから始めるというストーリーに多くの方が親近感を持ってくれたんだと思います。キッチンカーにいる私たちとお客様とで目線の高さがなるべく揃うようにしたのも、互いの距離を縮めたかったからです。ロゴのデザインや車のペイントは、自分たちの好みを押し出すのではなく、どうすれば見る人の印象に残りやすいかを意識して行いました。
静岡は一緒にやっている同期の地元で、大学卒業後も営業を続けやすい環境だと思ったのです。ただ、横浜でファンになってくださった方が大勢いて、SNSでも全国から声をかけていただいていますので、商品のオンライン販売も検討中です。自作の公式キャラクターも完成し、名前をInstagramで募集した結果「チュロル君」に決定しました。今後は、グッズの開発も視野に入っています。キッチンカーの形態、飲食店という業態にこだわるのではなく、多方面に活動の幅を広げていければいいですね。
掲載:2021年3月1.チュロス "Welcome, Have fun!"をモットーにたくさんのワクワクを届けています。2.内装 全て手作りのキッチンカー。こだわりが詰まっています。3.営業 キッチンカーで営業している様子。いつも真剣です。4.アソビル アソビルにてポップアップ店舗をオープン。たくさんの出会いがありました。
TikTok開設2ヵ月で総再生数1000万回突破
経済学部の佐野さんと経営学部の足立さんが立ち上げたキッチンカーのチュロス専門店「CHURROS AVENUE」。ミニサイズの3本セットは、1本ずつ別のフレイバーを選ぶこともできる人気メニュー。
CHURROS AVENUE