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挑戦する横国の学生たち

VENTURE SPIRIT

032

熱中する楽しさを歌声にのせて。
ハモネプリーグで手にした栄冠。

横国の学生5人からなるアカペラグループ「夜にワルツ」のメンバー、湯ノ谷さんと下城さん。ワルツ調にアレンジした曲で、アカペラの甲子園「ハモネプリーグ」に2度の出場を果たし、2022年春の大会では見事に優勝しました。そんなおふたりに、快挙に至るまでの足どりを振り返っていただきます。

下城 葵 湯ノ谷 那菜

教育学部 人間形成コース心理発達専攻 / 教科教育コース音楽専攻

下城 葵 湯ノ谷 那菜

5人の声が合わさって
化学反応が生まれた

——アカペラグループ「夜にワルツ」に入った理由を教えてください

下城:4年次の4月頃に、所属していたアカペラサークルのメンバーから、ハモネプリーグに出るためのバンド結成に誘われたのがきっかけです。「大学生活の締めくくりにいい思い出ができそう」と、興味本位で引き受けました。後から知ったことですが、集められたのは絶対音感※があるメンバーばかり。楽譜を読んで直ちに歌えれば、効率的に練習できるだけでなく、ハモネプリーグへの出場が叶った場合にリクエストに応じてアドリブで歌うこともできる。人選の裏にそこまでの考えがあったとは、当時は想像もしませんでした。今振り返ると、「夜にワルツ」のメンバーとは初めてバンドを組んだにも関わらず、息がぴったり合ったのです。声の特徴が全員異なるのに、歌声を合わせるときれいな和音になるというか。

湯ノ谷:私も同じく、誘いに応じる形で参加しました。高校の頃までは吹奏楽部で部長や指揮者を務めるなど音楽に没頭してきましたが、大学では同じくらいの情熱を傾けられる活動に巡り会えず、物足りなさを感じていたのです。「ハモネプリーグに出たいから、一緒にバンドを組まないか」との呼びかけを受け、目標に向かって全力を注ぐ楽しさを思い出しました。
※絶対音感:ある音を聞いたときに、比較する音がなくても音程を判別できる能力。

——おふたりの担当パートは何ですか?

下城:「夜にワルツ」に3人いるコーラスの中で、最も高い音域を担当する1stコーラスです。リードボーカルのメロディを伴奏するように支える。これがコーラスの役目ですが、中でも私のパートの魅力はコーラスの中でひときわ目立つこと。高い音を響かせる楽しさは格別です。

湯ノ谷:私の担当は2ndコーラスです。メゾソプラノからアルトの音域をカバーするこのパートは、コーラスの舵取り役。2ndが出す音の高さによって、コーラスの和音の雰囲気が左右されるのです。たとえば、3rdコーラスが「ド」の音を、1stの人が「ソ」の音を発したときに、2ndが「ミ」を歌えば長調になりますが、「ミ」のフラットを歌うと短調になってしまう。責任が重いパートですが、その分大きなやりがいを感じられます。

ハモネプリーグへの初出場が
ターニングポイントに

——2021年の夏、ハモネプリーグに初出場しました

下城:このときは出場できただけで満足でした。テレビの向こう側にあった世界に自分たちが足を踏み入れている。その高揚感を味わいながらのびのびと歌い上げました。結果は準優勝。歓喜に湧きながら、「短期間の練習でよくここまで仕上げられたね」と互いを称え合ったものです。

湯ノ谷:ハモネプリーグの舞台で通用したことは、大きな自信になりました。さまざまなアカペラの演奏会に招かれるようになり、練習にもいっそう熱が入ります。リーダーのむなかたから、「ハモネプに再びエントリーしないか」と提案されたのもこの頃です。口には出さずとも、「優勝」という次なる目標がチーム全員に芽生えました。

——2022年春のハモネプリーグ出場に向けて苦労したことは?

下城:メンバーがアレンジした楽曲を歌うのですが、その難易度が格段に上がりました。たとえば、複雑な和音や変拍子が散りばめられているとか。アレンジを担当したメンバー本人でさえ「難しすぎるかも、と思いながら楽譜を書いた」と明かしたほどです。加えて、夏の大会のときよりもメンバーの実力が上がっていて、練習が進むスピードも速くなっていたので、置いていかれないように必死でした。上手に歌えない箇所は、コーラスの2人の歌い方をよく観察し、家でその箇所を重点的に練習して次回の歌い合わせに臨む。その繰り返しでした。

湯ノ谷:同じ曲でも、アレンジ次第で難易度が変わります。歌いごたえのある楽譜を書いてくれたからには、その期待に応えたい。そんな思いで練習に励みました。多いときは週に5日集まって、ほとんど私語を挟まずに歌い合わせを続けます。ハードな練習をこなす中で特に意識したのは、何度も録音を聞き返すことと、喉のコンディションを整えること。基本的な習慣ともいえますが、徹底することで練習の効果が最大化されるよう努めました。

ともに夢を追いかけた時間は
人生の財産に

——2022年春のハモネプリーグでは、見事に優勝されました

湯ノ谷:優勝を目指していたものの、気負いすぎないように心がけてもいました。ライバルチームのパフォーマンスと比べて一喜一憂するくらいなら、前回の自分たちを超えることに集中しよう。そんな思いで臨んだ今大会。それでも、決勝の結果発表を待っているときは気が気ではありませんでした。優勝を知ったときの嬉しさは言葉では言い表せません。

下城:「出場するからには、前回の自分たちを超えなければ」との思いで今大会に臨みました。その目標を達成できたことが、何より誇らしいです。楽曲のアレンジが秀でていただけでなく、それをきちんと歌えるまでにメンバーの歌唱力が上がっていたからこそ成し遂げられた快挙だと思います。初出場以降、さまざまなステージで場数を踏んでいたことも功を奏しました。本番では平常心で歌えましたからね。

夏の大会に比べると、チームでひとつの作品を作り上げる一体感も増したと思います。かつては自分のパートをこなすだけで精一杯でしたが、今回は音程やリズムについてのわずかな違和感すら共有し合い、互いを高め合える関係まで成長しました。

——おふたりにとって「夜にワルツ」とは?

湯ノ谷:ひとつの目標に向かってベストを尽くせるチームです。尊敬できる仲間とともに練習する過程を通じて、好きなことに没頭する喜びを取り戻せました。卒業後は、中学校の音楽教諭になる予定です。ハモネプリーグへの挑戦を通じて知った、歌うことの楽しさを伝えられる指導者になりたいと思います。

下城:ひとりでは絶対に成し得ない、かけがえのない体験をさせてくれた存在です。参加当初は、これほど活動にのめりこむとは想像もしませんでした。コロナ禍でサークル活動の自粛を迫られ「このまま大学生活が終わっていくのか」と諦めかけていた私の大学生活は一変したほどです。バンドに誘ってくれたことに、今は心から感謝しています。

掲載:2022年3月

MY MEMORY

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1.結成して間もない時の写真(この頃はまさかハモネプで準優勝→優勝するとは思ってもいませんでした。)2.ハモネプ収録後に撮った写真(みんなの表情に喜びが滲み出ていますね笑)3.Automaticのサムネイル、他大学の映像編集に長けている方にお願いして作っていただきました。4.卒業式に撮った写真(クリスさんは卒業しません!)

さまざまな楽曲をワルツ調にアレンジする
「夜にワルツ」

湯ノ谷さんと下城さんを含む「夜にワルツ」は、ハモネプリーグ出場のために結成された、横国の学生5人による男女混声のアカペラグループ。2022年の春のハモネプリーグでは、予選で星野源の『恋』を、決勝で宇多田ヒカルの『Automatic』を歌い、見事優勝した。
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