カレー店の名脇役を主役に。
日本初のラッシー専門店の飽くなき挑戦。

「タピオカの次」が
カレー店でひらめいた

——ラッシー専門店を立ち上げた経緯をお聞かせください

五十子：「タピオカの次は何がはやるだろう」とかねてから思案していました。そんなとき、たまたまカレー店でラッシーを頼んだ際、「そういえばラッシーっておいしいし知名度もあるのに、専門店はないな」と気づいたのが発端です。プチブームになったドリンク、例えばレモネードより腹持ちがよく、バナナジュースほどありふれてもいない。いけるかもと直感しました。

柴田：近年はやるドリンクは見栄え優先の傾向があります。クリームを多用し、どうしても糖分・脂肪分は多くなりがちです。でもラッシーはヨーグルトがベースの「健康飲料」。そのイメージも強みになると思いました。

——メニューへのこだわりを教えてください

柴田：砂糖の代わりにはちみつを使ったり、無添加なのが特徴で、豆乳をミックスするのが私たちのおすすめです。ただ、ヘルシーさにとらわれず、ケーキで使われるフランボワーズを取り入れるなど、スイーツとしての魅力も大事にしています。「ふつうのラッシーと違うね」と評判は上々。常連さんからのリクエストで杏仁味も開発しました。

五十子：開業前にも、グーグルフォームでアンケートを行い、好みの味を調査しています。ご協力いただいたのは大学生や20代を中心に100人以上。タピオカでも使われる黒糖が人気だったので、実際にメニュー化しました。

装飾も通販も
一から自分たちの手で

——キッチンカーで営業をスタートされたそうですね

五十子：車を購入したのは１年ほど前。そのまますぐに使える状態ではなく、棚の設置から装飾まで自分たちで行ったので、時間もかかり大変でしたがいい経験になりました。装飾で心がけたのは、パステルカラー系を身にまとったはやりの「淡色女子」のお客様にマッチするような、淡く白っぽい色味やシンプルなデザイン。ペンキ塗りに思いのほか苦心しつつも、「おしゃれな手作り感」が出せたかなと自負しています。何人ものお客様から「とても素敵ですね」とお褒めいただいて、苦労が報われた思いです。

——2022年2月には横浜高島屋でポップアップ出店が実現しました

柴田：きっかけは、お客様からのご要望を受け、ラッシーの「もと」を全国発送する事業に着手したことです。クラウドファンディングで資金を集め、ECサイトの開設にこぎつけました。そのWebニュースをご覧になった横浜高島屋の方から、ポップアップ出店の打診があったので、喜んでお受けした次第です。ここでは新たな発見もありました。いつも想定している年齢層より上、健康を意識されているような主婦の方やお年寄りにも興味をもっていただけたのです。幅広い層に訴求できる魅力がラッシーにはある。それを実感しました。

学部の学びが
相乗効果を生む

——経営学部の学びは活きていますか？

柴田：商品企画から製造、販売、宣伝、顧客対応まで、一貫して管理するにあたり、学部での学びが役に立ちました。組織マネジメントの授業も参考になったと感じています。運営を手伝ってくれている横国の仲間たちの力を活かし、事業を発展させるのは私の責務です。どのようなリーダーシップが求められているのか、常に自問しています。

五十子：私の場合、授業が「復習」になっていた部分もあります。実践が先にあったから理解が深まりましたし、LACCIでやっていることは基本的に正しいんだという「答え合わせ」にもなり、自信につながりました。

——お二人にとって、LACCIとは？

柴田：自分の考える「社会のあるべき姿」とLACCIは連動しています。人はモノを消費しますが、個人的にはモノに人が左右されているのではないかと感じることも。みんなが雰囲気に流されず、本当にいいと思うものを選べる社会であってほしい。そんな健全な消費社会を目指し、LACCIの活動に取り組んでいます。

五十子：LACCIの活動ほど情熱をもって取り組んだことはほかにありません。苦しいこともあったけれど、その分成長することもできました。現在は、キッチンカー運営のノウハウを共有する、横国の枠を超えた学生コミュニティの立ち上げに奮闘しています。