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挑戦する横国の学生たち

VENTURE SPIRIT

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クリエイティブ活動を通じて
社会に寄り添う。

ソーシャルクリエイターとして、ロゴマークやポスター、フライヤー、動画、冊子などの制作を手がける村瀬さん。これらクリエイティブ活動を通じて、社会課題の解決に取り組む人々をサポートしていきたいと意気込みます。そんな村瀬さんに、これまでの足どりと活動への想いを伺いました。

村瀬 悠

都市科学部都市社会共生学科

村瀬 悠

「創作」と「社会貢献」の
両輪で

——ソーシャルクリエイターの活動について教えてください

現在の主な活動は、ロゴマークや動画などの制作です。ソーシャルクリエイターの「ソーシャル」に表されるように、クライアントとなるのは、社会貢献度の高い団体ばかり。例えば、国際協力や地域活性化、SDGs の推進といった課題に取り組む自治体や学校、NPO法人などです。そういった団体の広報や情報発信のために使われる制作物を手がけています。これまでには、国際協力活動を行う基金や、横浜市内における交流の場づくりのプロジェクトに携わってきました。

——活動を始めたきっかけは何ですか?

小さい頃から創作活動が好きでした。中学の頃にはボーイスカウトに所属してPR用の動画を制作したり、高校の頃には吹奏楽部で定期演奏会のポスターを作ったりしたものです。加えて、中学の頃に東南アジアの途上国支援を行っている方の講演を聴いたことがきっかけで、国際協力を含む社会貢献にも興味を持つようになりました。大学に入ってからは 「創作活動」と「社会貢献」のふたつを軸に新たな活動をしたい。そんな風に考えるようになっていきました。

大学に入学してしばらくすると、サステナビリティ領域におけるグローバルリーダーが集うイベント「サステナブル・ブランド国際会議」に参加します。サステナビリティを語る上でクリエイティブが果たせる役割があると初めて実感したのがそのときでした。そこで、創作活動を通じて社会貢献に取り組む人とコラボレーションをし、その活動をサポートする方法を模索しようと思ったのです。

「いかに伝えるか」より大切な
「いかに受け取るか」

——印象に残っている活動は何ですか?

横浜市内の再開発地区であるコットンハーバー地区で、マンションの住人同士の交流を図る取り組み「コットンおとなりさんプロジェクト」に、ロゴマークの制作担当として携わったことです。これがソーシャルクリエイターとして最初にいただいた依頼でした。制作にあたって徹底したのは、ロゴに用いるイメージの拠り所となる「インプット」の作業に時間をかけること。クライアントへのヒアリングだけでなく、現地に足を運んで観察したり、遠くから全景を眺めたりして、ロゴにどんな意味を込めるべきかを考え抜きました。

——「コットンおとなりさんプロジェクト」の経験は、その後の活動にどのように活きていますか?

クライアントに喜んでいただき、プロジェクトのシンボルとしてロゴが使われているのを目にしたとき、クリエイターとして活動していける自信を得ました。制作に取りかかる前に、いかに丁寧に活動の趣旨をくみ取るかが重要だと肌で知ったのもこのときです。その後、動画なども手がけるようになりますが、あらゆる制作のベースになるのは、やはり「インプット」を大切にする姿勢。「コットンおとなりさんプロジェクト」での気づきは、その後の活動の礎となりました。

一歩踏み込んで
共感を呼ぶストーリーを

——クリエイティブ活動の醍醐味とは何ですか?

言葉の壁を超えて価値観や目的を共有できることです。南米の新興国パラグアイの農村部に住む女性たちを支援する「パラグアイ農村女性生活改善プロジェクト」で、そのことを強く実感しました。これは、女性たちに向けて農業や食品の加工・販売、コスト計算などの研修を行い、経済的、社会的自立を支援する活動です。私はそのロゴマークの制作を担当しました。このロゴが、今では当初の自分の想像を超えて普及しています。研修を受けた現地の女性たちが作ったジャムやパンなどがロゴマーク付きのパッケージで販売されていたり、プロジェクトのサポートメンバーがロゴの入ったTシャツを着用して現地調査に赴いたりしているのです。パラグアイの公用語であるスペイン語が分からなくても、グラフィックを共通言語として現地の人々に貢献できる。これこそクリエイティブ活動のすばらしさだと感じています。

——今後の目標やチャレンジしたいことを教えてください

目標は「作る」以外の価値提供ができるようになることです。そうやって、社会課題を解決するためにできることを、もっと増やしていきたい。たとえばブランディングにまで踏み込んだ提案ができるとか、誰をターゲットにどう発信すると効果的か提案できるのもそのひとつ。今、ブランディングや広報に関する勉強にも力を入れているのはそのためです。もうひとつ注目しているのは、クライアント特有のストーリーによって共感を呼ぶものづくり。広告賞を獲得するような作品の裏側には、しばしば素敵なストーリーがあります。これを人や社会を動かすコミュニケーションの鍵と位置づけ、今後の活動にどう活かせるかを模索しているところです。

掲載:2022年3月

MY MEMORY

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1. 「コットンおとなりさんプロジェクト」ロゴマーク。コットンハーバー地区の景観をモチーフにデザインした。2.パラグアイの首都・アスンシオンで行われているマーケットの様子。背後のバナーや商品のステッカーにロゴマークが使用されている。3. 自宅の書棚。デザインだけでなく、広報やブランディングの勉強も重ねていきたいと考えている。4.日頃から創作活動に取り組んでいるデスクの様子。作業は長時間に及ぶため、自分にとって最適な環境を整えている。

「創作」と「社会貢献」をかけ合わせたソーシャルクリエイター

「Creative for Social Good 〜ソーシャルグッドな人・もの・ことのためのクリエイティブ〜」 をコンセプトに掲げる村瀬さん。社会活動に取り組む人々やプロジェクト向けにロゴマークや動画の制作を手掛ける。
Yu Murase|Linktree

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