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挑戦する横国の学生たち

VENTURE SPIRIT

023

人と自然の幸せな関係を築く。
草刈りから始まったプロジェクト「YUC」。

2020年度から正式始動したプロジェクト「YUC」(Yokohama Univer-City)。都市科学部講義棟裏のエリア「104ura(トシウラ)」を拠点として、大学内の人の交流促進やコミュニティ作りに取り組んでいます。創設者の松田さんに、活動の原点から今後の展望までを伺いました。

松田 拓巳

都市科学部環境リスク共生学科

松田 拓巳

ウラ通りの何気ない草むらに
魅せられて

——YUCを始めたきっかけをお聞かせください

2018年末、都市科学部棟の改修に伴って設置された「104(トシ)スタジオ」に隣接する、日当たりのいいちょっとした草地があります。そこが江戸時代からの植生が残る貴重なエリアであることを生態学の授業で知りました。長年、牛を放牧したり人が草を刈ったりして適度に“干渉”することで、生物の多様性が保たれてきた、と。であるなら「ここで人と人が出会い、人と自然が共生する風景をデザインすることができれば、象徴的な場所になる」と考えたのがきっかけでした。具体的には、一人で草刈りを始めたのが活動の原点です。

——草刈りがスタートとは意外でした。そこからどのように活動が広がっていったのでしょうか

この草むらは、人通りが多いメインストリートから一歩外れた裏通りにあります。このロケーションでこそ新たな意味づけが可能になると考え、104スタジオにちなんで「104ura(トシウラ)」と名付けました。そうして2019年の5月頃、ブックトラックと呼ばれる移動式本屋のプロジェクトに取り組んでいた先輩が主催したプレゼン企画で自分の構想について発表したところ、その先輩が「面白いね」と言ってくれまして。いっしょにアイデアを練り、ベンチを手作りしたり、無料でコーヒーを配ったりしました。104uraに滞留性を持たせて、人の交流を生み出す実験みたいなものですね。

リアルで会えなくても
コミュニケーションは充実していた

——2020年度には、横国の地域課題実習として採用されました。どのような経緯があったのでしょうか

104uraの今後の使い方を話し合う企画が評判になり、同級生や後輩はもちろん、事務の方や学部長までいらっしゃったのです。ついには学長から打診され、2020年初め、1年生の必修科目「都市科学C」で丸々1コマ話をさせていただく機会を得ます。ずっと私がトークするだけではつまらないから、インスタライブを活用し、投げ掛けた質問に意見を返してもらって議論を展開する双方向性を意識しました。すると「自分も一緒にやってみたい」と受講生から反響があり、組織として立ち上げることを検討したとき、地域課題実習の枠組みがうまくマッチしたのです。

——人と人が実際に会うのが難しくなるコロナ禍の中、どのような企画に取り組まれたのでしょう?

さまざまなツールを駆使しました。YouTubeで番組を配信する「104uRADIO」は新しい取り組みです。新入生向けの履修相談や教授を招いたトークセッションがたいへん好評で、YUCに加わってくれた1年生も結構いました。もともとコーヒーを配っていた「104cafe」は、Zoom で気軽におしゃべりするオンラインバージョンへ。架空のマンションをネット上に作り、住人同士が自分の興味関心を写真で共有する「104code」も始動しています。スタッフは20人を超えましたが、互いの都合がつけばいつでもどこでも話せるリモートの利点を活かし、チーム内のコミュニケーションはむしろ活発だったと思います。

「デザイン」することで
はじめて本質を伝えられる

——賛同者、参加者を増やすために心がけていることはなんでしょうか

プロモーションを重視しています。YUC内で共有している認識は、どんなSNSを活用するにしてもそのデザインがカギだということ。建築を専門とする先輩が結成したグループが中心となって、関連知識のインプットに務め、研究しています。例えばチラシのレイアウトの工夫だけでなく、ツイッターの効果的な投稿方法などを含む幅広い概念ですね。企画名の頭を「104(トシ)」という言葉で統一したネーミングも一種のデザインと言えるのではないでしょうか。より多くの人の目を引き、共感を生むために、日々試行錯誤しています。

——YUCとしての今後の展望はいかがですか?

現在は任意団体の位置づけですが、いずれ法人化して、地域の方を巻き込んだり、卒業生が継続的に関われるような仕組みにできればと思っています。先日は、104uraの未来像を複数のグループが教授にプレゼンするコンペティション「104model」を実施しました。屋根を付ける、丸太を置くなどいろいろなアイデアが出ていますが、それを考えるプロセス自体がコンテンツだと捉えています。104uraに愛着を持つ人が増え、そこでたくさんの交流が生まれるといいですね。関わる人みんなでコミュニティを育てていくという感覚が、今後もYUCの根幹をなすものとして引き継がれていくことを願っています。

掲載:2021年3月

MY MEMORY

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1.2019年7月最初のプレゼン 2.2020年2月インスタライブを用いた都市科学Cの授業 3.2020年5月 104uRADIO#1 4.2019年8月104uraベンチ制作@秦野

学生主導のプロジェクト「YUC」

「大学をまちに」「自分たちが楽しむために」をコンセプトに、2020年度から横国の地域課題実習として本格的にスタートした「YUC」。2020年度は5つのチームに分かれて各プログラムに取り組んだ。
Yokohama Univer-City

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